2016年7月31日

磐田戦

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担当:大重正人

前半23分、セットプレーからジェイ選手のヘディングシュートがレイソルのゴールへ。レイソルは先制点を許してしまいました。ジュビロは立ち上がりから、ジェイ選手の高さ、アダイウトン選手のスピードを生かしたフィジカル勝負を挑んできました。身体を張って懸命に跳ね返そうとするも、自陣でのファウルが続きます。

前半18分には輪湖選手のアタックにホイッスルが鳴り、PKに。ところがここはGK桐畑選手が完璧なシュートストップ。「前に6点取られたからね。打たれたシュートが全部入りましたから」。2011年の苦い思い出を払拭しようとする意地と集中力と成長が、このビッグプレーを生み出しました。下平監督はこう振り返りました。「桐畑らしいPKの止め方、ジャストでピンポイントで止める彼らしい持ち味を感じました。失点をした中で、彼なりに落ち着かせてゲームを運んでくれた」

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キリのビッグプレーで勢いに乗れそうだった矢先の失点。レイソルは今季リーグ戦で先制された試合は、1試合も勝っていません。これまでは先制を許すと、闘う気持ちが少し落ちてしまうような雰囲気に覆われていたような気がします。しかし今日のピッチ上の選手からは気落ちするどころか、「まだまだここからだ」と桐畑選手や中谷選手が手を叩いて鼓舞する姿がありました。ここ2試合の勝利の自信もあったのか、力強い反撃がここから始まります。

「前半の途中から自分達がボールを持てるようになって、形が見えていた。PKを止めたところは、自分は点を取ることができないけれど、あの1点を止めることができたことで、悪い流れの時間帯を踏ん張ることができた。ただその後すぐに失点してしまったけれど、そういった相手が強い時間帯に何点も取られなかったことは良かった」(桐畑選手)

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ジュビロも縦に速く、ロングボールを使うダイナミックな攻撃を仕掛けてきましたが、レイソルも真っ向勝負で受けて立ちました。相手の3バックの両サイドのスペースへ、右サイドは伊東選手、左サイドはクリスティアーノ選手が構え、後方からのフィードから起点を作り、1対1に自信を持つ2人の突破からチャンスを作り出します。特に伊東選手のスピードとアタックはキレキレで、そのクロスから3回ほどビッグチャンス。ディエゴ選手のヘディングは本当に惜しかった。

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ハーフタイム。監督からは激しい檄が飛びました。相手のフィジカル勝負に押し込まれ、ファウルがかさんでの失点。「奪われた瞬間から、切り替えを速くして、もっと高い位置から行け!前線からもっとパワーを出せ!!」。前半途中でつかんだ流れを後半開始からはさらに強め、ゴールの予感が強く充満していました。

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しかしゴールを生んだのは強力な3トップではなく、伏兵と言ったら失礼かもしれませんが、相手にとっても予想しづらいところだったでしょう。この日、久々の先発復帰を果たした茨田選手、ポジションはいつものボランチではなく右サイドバックでした。前半から伊東選手の走り出すスペースへ再三すばらしいパスを供給していました。後半13分、サイドチェンジを受けてルックアップ。逆サイドの裏へ走りこむ輪湖選手をとらえます。「ジェイにはPKを取られるなと言っていたのに。きつく言いましたよ」という大谷選手の叱咤を受け、ここぞというチャンスで果敢に勝負。バラからのすばらしいフィードをヘディングで折り返すと、GKが弾いたところを詰めたのは、栗澤選手でした。

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「練習から裏にボールを入れることはやっていて、その流れで上手く走ることができて得点できた。茨田がフリーな状態で逆サイドに浮かすようなボールを出して、輪湖とも目が合って、輪湖からパスがくると思って走り込んだけれど、輪湖はシュートを打って、それが逆に良い結果につながった」。先ごろのクラブ通算1000ゴールのうち、クリのゴールは2008年の1点のみで、以来8年ぶりの2点目。2ndステージに入り、彼の球際へのアタック、そして何より勝利や結果への執念がチームに好影響をもたらしています。

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今日もアウェイ磐田まで駆けつけてくれた黄色いサポーターの強力な後押しを受けて、ここまで来れば逆転まで行けるというレイソルの勢いはさらに増しました。そして後半26分、クリのフィードをクリスが落とし、ここからワコとのワンツー。ワコから見事なワンタッチのラストパスがディエゴへ届きます。

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「輪湖が機転をきかせて、ダイレクトで中にボールを出して、自分の周りに相手選手が誰もいないのを確認できていたので上手くシュートに体勢を持っていくことができた。ここ何試合かチームで良い試合をできていたと思うので、相手に先制点を許した後もクリスとはここは忍耐強く我慢して必ず同点もしくは逆転まで持っていこうと話していた」。得意の左足、巻き込むようなシュートは、ここしかないという狭いニアサイドを打ち抜き、今節のノミネートゴールにも選ばれたファインゴールで、レイソルはついに逆転しました。

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この試合を最後に、中谷選手はレイソルを離れます。2週間、リオ五輪チームへ。報道陣に囲まれたシンはまず第一声。「世界に行くにはジェイのような選手も抑えないといけないと思う。やられっぱなしだったので悔しい」。世界の舞台をめざしてきたシン、常にそういう意識を持っているからこそ、「世界」という言葉が自然と出てきたのでしょう。世界で戦う自分をイメージし、成長しなければという必死の思いが、今季の彼からはひしひしと伝わってきます。

「今日勝ったことでリオにもスッキリして行けます。レイソルを任せて、自分の仕事を全うできる状態でリオに行けるので頑張りたい。バックアップとして、まずは誰かが怪我をした時を考えて常に良い状態にしておくのが第一だし、チームが良い状態になるように声をかけることはやっていきたい」

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今朝、チームより早く、一人でリオへの長い旅路に出発したシン。ブラジルではGK中村航輔選手がネイマール選手率いるブラジル代表と対戦しました。ディフレクションとセットプレーから2失点。キーパーにとっては2本とも厳しいシュートでした。柏から世界へ。レイソルアカデミーから巣立った2人が、自身とレイソルの成長のために、大きな大きな経験と財産を得て、無事に帰ってきてくれることを祈っています!