2007年9月26日

菅沼実の話。

昨年の暮れ愛媛に飛んだ。
竹本GMの依頼で、レンタル移籍中の菅沼実に会う為に。

愛媛FCの練習場は、小高い山の上にあり、向かう途中には
みかんの樹がなってたりして、のんびりした雰囲気が印象的だった。

すでに、練習は始まっていて、愛媛ののんびりした雰囲気とは
対照的にトレーニングはすごく活気があった。
その活気あるトレーニングや練習内容を見てて
「石さんの練習と似てるなぁ」
なんて思いながらながら、実を目で追った。

全体練習が終わってからも、黙々とシュート練習を続ける実。
愛媛FCの望月監督は
「ああやって、いつもシュート練習してるんだよ」
「キャラもいいし、チームのムードメーカー的な存在だし
いい選手貸してもらってますよ」
と信頼され、可愛がってもらっているのが伺えた。

昨シーズンの実は、レンタル1年目から愛媛FCでレギュラーを確保し
同じJ2だったレイソルにも、恩返しとばかりに得点を挙げる活躍。

そんな活躍もあって、レイソル復帰への要請をしに行ったが
実は即答しなかった。

実には、節目節目で関わっている。


初めて会ったのは高校生の時。
レイソルユース所属でトップ登録され、一緒にプレーしたが
「物怖じせず元気なやつだな」
っていう印象。
高校生ながらトップの試合にも出場し、公式戦で実のゴールで勝利した時
選手みんなで小遣いあげたのを覚えている。

トップに昇格したが順風満帆とは行かず、ブラジルへレンタル移籍。
強化部に入りたての自分が、成田空港まで連れていき
見送りに来てた、お母さんの目を盗んで少し大人向けの雑誌を
餞別で渡したこともあった。

ブラジルに行ってる間もメールでやりとりしていたが
異国の地で苦労しながら頑張っていた実。

ブラジルから戻り、すぐに愛媛FCのオファーを受け
悩んだ挙句、出場機会を求めて、再びレンタルで愛媛へ。

その愛媛で、やっと掴んだレギュラーのポジション。

古巣のレイソルから来たオファーとはいえ、即答できない
理由もわかる。


「で、今日は実を連れ戻す為に来たの?」

と、望月監督が淋しそうな顔で言う。


「この子は、菅沼選手の大ファンなんです!」
 
「実を連れて行かないで!」

と、数少ない練習見学者の親子に訴えられる。


本当は少し心配していた。
実がレイソルに戻ってきて本当に活躍できるんだろうか・・・。
このまま愛媛でプレーしたほうが幸せなんじゃないかって・・・。

そして迎えた今年の開幕戦。

実の大活躍で、開幕戦を勝利で飾ったレイソルは
今も好調をキープし、実もレギュラーへ定着している。


開幕戦の夜、望月監督に電話を入れた。

「実、やりましたよ!」 

「いやいや、ここまで成長するとは思わなかったから
こっちも嬉しいよ」

って、望月監督の嬉しそうな声。

あの時の、親子連れも、今はきっと喜んでくれていると思う。

あの日、悩んだ挙句

「俺、愛媛もいいんですけど、レイソル好きなんですよ」

って最終的に復帰を決意した実。


本当に、良かった。


実がゴールを決めたら、この話をブログで書こうって思って
たから、やっと書けたよ。
残りの試合、新たな目標に向かって頑張れよ。


みんな応援してるから。