いよいよこのすばらしいスペイン・ヴィジャレアル遠征も、今夜の3位決定戦を最後に閉幕となります。
ということは、毎日散歩に出かけたこの海岸ともお別れです。
選手は前日の試合が遅くなったこと、連戦の疲労を考慮し午前中はフリー。
その時間スタッフは、ヴィジャレアルのホームスタジアム「El Madrigal」へ。
「El Madrigal」は2万5千人収容、
我が日立台のスタジアムに似た雰囲気を漂わせ、本当に普通の町の
中にそびえます。ロッカールームやピッチなどを見学し、記念撮影などをして
つかの間の「OFF」をやっぱりサッカーで過ごします。
選手は21時45分という日本では考えられないようなキックオフに合わせ、
3時間前にパスタ、シリアル、フランスパンなどスパニッシュスタイルの試合食を摂り、
試合に備えます。
3位決定戦の相手はあのセルティックF.C、あの中村俊輔選手の所属するスコットランドの強豪です。
セルティックはこれまでのレイソルの試合を分析してか、それまで採用していた4?4?2の布陣から、島川・茨田の両センターバック間のパスコースを1トップが消しながら中盤にスペースを与えないことを意識したであろう4?3?3。中盤にスペースがないものの、数的優位となっているDFラインから中盤のラインに上手く進入し、この試合でも中盤を優勢に進めます。CBの島川・茨田の二人に仙石、畑田、武富が絡んで相手DFラインの前にスペースを生み出し、工藤、指宿、山崎に加え両SBの御牧&酒井がアグレッシブにオーバーラップを仕掛け、多くのゴールチャンスを作り観客を沸かせます。しかしスコットランドの大男たちの体を張った守備にも阻まれ、無得点で後半へ。
その後半、セルティックは2トップにすることでレイソルの攻撃のスタートを防ぎに来ましたが、レイソルの攻撃テンポは更に上がり、前に出てきた相手を完全に押し込みます。
何度も御牧&酒井がサイドを割り、シュートの場面を迎えますがヒットせず、観客からも完成とともにいつ点を入れてくれるんだ!?という声が上がります。その後も日本のチームらしい素早い動きを生かしたコンビネーションから後はゴールだけという時間が続きます。
そんな中、この試合何度目かわからないというくらいにサイドを突破した御牧がまたもサイドを割りゴール前にクロス、逆サイドから走りこんだ酒井のシュートがGKに弾かれたボールに詰めていた指宿でしたが一歩届かず、またかと思ったその先に待っていたのはベテラン山?。右足で冷静に押し込みついにゴール!観客も立ち上がりその一連の動きに惜しみない拍手を送ってくれました。
その後も最後まで2点目を狙いアグレッシブに攻めましたが結局1対0で試合を終え、3位で大会を終えました。
ちなみに先に行われたFAINALでは、我々が敗れたレアル・マドリーがホームヴィジャレアルを2対1で下し2年連続の優勝となりました。
そして、ここから驚きが待っていました。
両チーム3,4位の表彰を受けた後、場内アナウンスのスペイン語がしゃべっていましたが、
選手たちはほとんど何を言ってるのかわからないため気にも留めていない様子でしたが、
そのアナウンスからいきなり
「REN SENGOKU!!!」
という声が。その意味とはなんと「大会MVP」。
これには誰もが驚きました。スタンドでもホテルでも「カシワ レイソル・ムイ、ビエン」と言われてましたが、まさか大会MVPが3位のチームから選ばれるとは誰も思っていませんからね。レアルやビジャレアル、AJAXなど蒼々たるチームと選手がいる中で、「Kashiwa Reysol」が目の肥えたスペイン人を魅了し、その中心選手がMVP。本当にすばらしい夜になりました。ちなみに裏話ですが、仙石でなければMVPは畑田だったそうです。
更にちなみにですが、2年前のMVPはバレンシアで活躍するアルゼンチン代表のバネガだそうです。
とにかく、選手たちの見せたサッカーは多くの注目を集め、本当に多くの賛辞を頂きました。
レアル・マドリーに敗れた後はヴィジャレアルの会長が尋ねてきてくれて「素晴らしいサッカーをありがとう」
と何度も言ってくれ、スカウトの方は「今までの大会でもベストなサッカーだ」と話してくれました。
そして、何より選手たちが肌でトップレベルを感じ、それに本気で打ち勝って行こうとする姿勢をどのゲームでも貫けたことが収穫ではないでしょうか。とにかくプレッシャーの速さと強さは未体験ゾーン、イージーミスは根こそぎ持っていかれるということも十分に感じることができたと思います。
また、良いプレーには惜しみない賛辞を送ってくれるとともに、消極的なプレー(ここの場合は前線への蹴り込みやプレッシャーに慌ててボールロスすることなど)やミスジャッジには容赦ないブーイングが浴びせられます。その良いものは良い、という正直さに心地よい感触を覚えました。
優勝という結果ではなかったものの、選手たちが感じたその「経験」こそが宝なのでしょう。
CL出場チームのユースチームと親善試合ではなく本気の大会で対戦できたこと、ユニホームに臆する事なく「プレー」できたこと。その全てが自信につながるはずですから。
このような経験を得ることができたのも、招待を頂いたヴィジャレアルCFをはじめ、多くの
方のご協力があってだと思います。関わってくださった全ての方に感謝したいと思います。
この興奮、余韻をヴィジャレアルに残し、チームは明日朝バルセロナに移動し、CL予備予選「FC Barcelana vs Wisna」をカンプノウで観戦し、その翌朝帰国の途に着きます。
しかし、本当に素晴らしいトーナメントでした。
「ムーチョ・グラシアス!!!」
ということで、明日も時間があれば更新したいなぁと考えているところであります。
松本