総力戦
担当:長谷川
先日、アウェイでタイトルを争う神戸との一戦に臨みました。結果は皆さんもご存じの通り、上位対決に相応しい常に緊張感があるヒリヒリするような90分でした。
順位の近い相手との試合は、今後を行方を占う意味で数字上の「勝点3」以上の価値があるいわゆる「6ポイントゲーム」と呼ばれるものでしたが、お互いのスタイルを発揮しながらも譲らない「意地」も見せた結果のスコアレスドローでした。
今シーズンここまでのレイソルは「勝てば首位浮上」「上位との直接対決」といった試合でなかなか結果が伴わず、実際に第29節終了時点(一部クラブは30試合消化)で勝点50以上積み上げているチームとの対戦では、残念ながらここまで勝点3獲得には至っていません。(vs京都/2分、vs鹿島/2敗、vs神戸/1分1敗、vs町田/1敗、vs広島/1分)
首位との勝点差は「1」と好位置につけていること、今後生じるACLE参加クラブとの日程の差、それに伴う消化試合数などタイトル獲得に向けて前向きな要素はいくつもあります。
しかしその状況でも誰一人驕ることなく、勝っても引き締めた表情をしている選手たちは、常に向上心を持ちながら目の前の試合での「勝利」を掴むことだけにフォーカスして日々、良い準備を続けています。
そんな中で明日のアウェイゲームから3連戦を迎えます。特に第30節C大阪戦から第31節の広島戦は中2日というタイトな日程の中で戦わなくてはなりません。
どうしてもコンディション面での不安要素は拭えませんが、戦う前から言い訳を探すようなチームではないことは皆さんもご存じかと思いますし、「戦力になる選手が11人しかいない」なんてことがあり得ないことはもっとお分かりではないでしょうか。
先日の取材対応にて、この3連戦でどの試合を重要視しているか問われたリカルド監督は「3試合全てを重要視しているし、選手たちには常々伝えているが、試合は11人だけで戦うものではない。
勝つためには全員が必要だし、このシーズン終盤戦に『チームの勝利に貢献したい』という選手がより多くいた方がチームとしては強い。そういう意味でも11人だけではなく、全員でこの連戦を乗り越えていきたい」と話しました。
そうチームを評していることの裏付けとして、今シーズンは出場停止やコンディション不良の選手が出てしまう状況で迎える試合がいくつかありましたが、その度に代わって出場した選手たちがチーム力を落とすことなく補って余りあるパフォーマンスで幾度となくチームを勝利に導いてくれた経験があることが大きいのではないかと思います。
「交代枠が3人から5人へ変更になり、どのチームもより強度が高くなった現代サッカーにおいて、11人だけで勝つ試合というのはほぼ起こりづらい。
途中出場の選手が試合の勝利に大きく貢献していることは国際大会などの主要大会でのレポートにもある通り、それは明白な事実。スタメンで起用できる能力を持っていても、あえて途中投入することも時にはある。
そんな中で我々のチームにはエゴイスティックな選手はおらず、誰もがチームのために仕事するということを理解した上で日々取り組んでくれている。プレーする時間が多くない選手の方がチームの中では多いにもかかわらず、誰一人嫌な顔をすることもない。
私が指導してきたチームの中でも最も素晴らしいチームであると同時に、こういった選手たちを揃えてくれた強化部の素晴らしい仕事もあって今シーズンの成績に繋がっていると思う(リカルド監督)」
明日の試合を含めたリーグ戦9試合、ルヴァンカップも含めて最大で残り12試合。ここからもこれまでと同じく、苦しい状況が発生する可能性はあります。誰一人として欠けることなく戦うことがベストではありますが、一方で誰かがいなかったとしても試合は待ってくれないし、前に進まないといけません。
今だって負傷で悔しい気持ちを持ちながらピッチから離れている選手もいます。そういう選手の気持ちを背負いながらも「誰かがいないから」と不安に思うのではなく、「誰が出ても大丈夫」と思えるだけのチーム力を今シーズンは見せてくれているので、連戦であっても自信を持って乗り越えていけると思っています。
古賀太陽選手は「ここからは総合力で上回るチームが上に行く。耐えないといけない場面でどれだけ全員が身体を張れるか。この9月の連戦をどう乗り越えるかで優勝争いの最後の最後まで食らいついていけるかどうかに関わってくる」と話す通り、選手たちはこの成績であっても慢心や緩みを見せることは一切しません。
ここから先は真のチーム力が問われます。どれだけ自分たちを信じてやり続けることができるか。チームはもちろんですが、ピッチに立つ選手たちを信じてレイソルに関わる全ての皆さまと一緒に戦っていきたいと思います。
明日も力強い後押し、よろしくお願いいたします!