2016年4月11日

FC東京戦

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担当:大重正人

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水曜日のナビスコカップに続き、今日はJリーグ戦で、待ちに待った初白星を、このホーム日立台で挙げることができました。日立台のグラウンドを囲むように咲き誇った桜の木から、強い風にあおられて、白い花びらが夜空に舞う、幻想的で美しい試合前から一転して、FC東京との一戦は文字通りの激戦となり、0-0の時間が長く続く、拮抗した忍耐を強いられる試合でもありました。

立ち上がり、最初のビッグチャンスを作ったのは、FC東京でした。サイドからの攻撃から決定的なシュートを許しますが、GK中村航輔選手が柏熱地帯のサポーターの目の前で、身体を一杯に伸ばしてゴールを死守します。「ピンチもあったが、いい間合いで防ぐことができた。毎試合毎試合ゼロに抑えたいと思っているが、今日に関してはみんなが勝つことだけを考えて、必死に守ってくれたし、ひとりひとりのハードワークがチームにうまく循環していた。自分も流れを変えるプレーができたかと思う」。

レイソルに復帰して、何よりも勝利と結果にこだわってきた中、なかなか勝ちをもたらせられないことへの責任も感じていたかもしれません。前半の失点が多かった今季のレイソル、彼のビッグプレーをきっかけにして、前半無失点で終えられたことで、後半も自信を持って戦えたことは間違いないでしょう。柏熱地帯から見えるその背中、大きく頼もしく見えたはずです。

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後半、少しずつレイソルの攻撃の時間が増え、ボールを展開し、奪われたらすばやく切り替える。ハーフタイムで下平監督からの守備面での指示を全員がしっかり実行し、攻撃のサイクルを生み出していきます。中山選手、田中選手が加わって、球際でのぶつかり合いもさらに激しくなり、レイソルはそこでも戦い続けました。メディアの方からも球際の強さについて下平監督へ質問が寄せられました。

「球際に強く行くとか、絶対に1対1で勝つというのは選手同士で話し合っていましたし、そういうところで1個1個勝っていかないと、こういうゲームは戦術以外の部分をやっていかないと勝てないというのは選手自身が本当に知っていますから。もちろんチームとしてやらなければいけないことは話しましたが、僕が伝えて変わっていくものではなく、彼らの中から自然と出てくるもので、それを選手たちが感じてやってくれたと思います。選手も僕も、本当に今は危機的状況だと認識していて、選手たちもここで絶対に勝たなければいけないというのは周りの空気感や雰囲気で、当然伝わっていたと思います」

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下平レイソルらしいボールを大事にするサッカーを目指しながらも、そこに必死さ、がむしゃらさ、勝負へのこだわりが加わって初めて、勝てるチームになっていく。後半36分、激しいチェイシングもあってか、ボールロストが続いていたディエゴ選手にエデルソン選手との交代カードが切られようとしていたところで、ディエゴの残った力をすべて出し尽くすようなペナルティエリアへの果敢な仕掛けがPKを呼び込みました。

キッカーは、田中順也選手でした。自分は彼のレイソルでの試合はすべて見てきて、その左足でPKをしっかり決めてきてくれた。背番号9を志願して背負い、自分が得点を獲る、自分がチームを勝たせるという責任を自らに課してレイソルに復帰しました。前節、チームによるPKの逆転チャンスを逃した直後。とてつもないプレッシャーがあってもおかしくありませんでした。

それでも「決められる」という自信がピッチの外にいても感じられるほど、落ち着いたゴールゲットでした。「PKは、みんなが良い試合をしてくれている中で、ここで僕が決めないと入った意味がないと思った。ディエゴが身体を張って獲得したPKだったので、気持ちで決めた」。自分のことのように拳を突き上げるエデルソン選手、彼の心にも明るい光を届けました。

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今日は途中出場、ベンチから心強い仲間の存在を感じていました。「今日は前半からみんな気迫が溢れるプレーをしていた。勝ってよかった。勝ちたいと全員が思っているなか、戦術が浸透してきて、チーム全体で勝てるという自信がついてきている。今日勝ったことで良い循環ができた。ここから何連勝できるか、そこが目指す所。下平監督は大学時代からお世話になっていて、プロになる道を作ってくれた人。そういった意味で監督にJリーグ初勝利を届けることができて良かった」

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リードしてからは、自陣で跳ね返す時間も長くなりましたが、ACLで苦々しい経験を味わったあのムリキ選手の突破にも、一人二人三人と、粘り強くアタックして、ついにタイムアップ。今季初めてのクリーンシート、完封勝利は若い選手が多いレイソルにおいて、大きな自信をもたらすことでしょう。

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これまでの苦しい時期を忘れさせてくれるような勝利の美酒。喜びの笑顔に満ち溢れるサポーター、そのみなさんからの拍手を全身で浴びるウイニングウォーク、中村航輔選手の初めての日立台でのレッツゴーカシワの音頭。喜びに浸る時間を分かち合いながらも、大谷キャプテンは「喜びすぎるな」とチームの気持ちをグッと引き締め、14位という順位の現実と、15日のガンバ戦へ向けての戦いのなかに引き戻しました。スタートラインからようやく一歩を踏み出したところ。この前進を次の一歩へ繋げなければいけません。今日も日立台はホームの雰囲気が充満し、力強い応援、サポートをいただいたサポーターの皆様、本当にありがとうございました。

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