2006年12月21日

日光は寒かった

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本日の担当:横井孝佳

広報日記はレイソルのチーム情報や選手の情報を提供するメディアです。だからこそ、レイソルとは異なるクラブのことをお話しするとお叱りを受けそうですけど、シーズンオフでネタもないことだし、いいですよね?

じつは昨日20日、午後に半休をいただいて、日光へ行って来たんです。栃木県の日光。世界遺産の日光。えのきどいちろうさんのお誘いを受けて、アジアリーグアイスホッケーの、日光神戸アイスバックス対西武プリンスラビッツの試合を観てきたんです。
えのきどさんはファンとして、日光神戸アイスバックスを熱烈に応援しているんです。サッカーの仕事で知り合ったセルジオ越後さんを引き込み、今年からついにセルジオさんは、アイスバックスのシニアディレクターに就任してしまった。しかも無償で。えのきどさんも手弁当で、マッチデープログラムに文章を寄せたり、チームのアドバイザー的なこともしてらっしゃいます。
私もぜひ一度、アイスホッケーの試合を体験したいと思っていたんです。Jリーグとの違いも気になりますし、他のスポーツを観るのも勉強になるかと思いまして。それで昨日、ついにそれがかなったわけです。

しかしわたくし、アイスホッケーのゲームを観るのも初めてならば、アイスバックスについての知識もほとんどありません。東武日光駅から乗ったタクシーで、
「しもふりアリーナお願いします」
「しもふり? 霧降(きりふり)でしょ」
と突っ込まれる始末。会場名すらうろ覚えでした。和牛に飢えてると思われたらヤだな。

試合会場の霧降アイスアリーナでは、アイスバックスのキャプテン村井選手に直々に、試合前のロッカールームを案内していただきました。Jリーグではありえないことです。思ったよりもピリピリしておらず、穏やかな雰囲気。でも、これはフェイスオフ(試合開始)2時間前のこと。これからだんだんと、コンセントレーションを高めていくのでしょう。えのきどさん同様手弁当でアイスバックスをサポートしているYさんによれば、「試合直前は、サッカーよりもピリピリしてますよ。やはり『氷上の格闘技』と呼ばれるほどボディコンタクト強いですから」だそうです。なるほど。

試合前にはセルジオ越後さんにもご挨拶。「レイソルの広報? ああ、おめでとう。よかったね」と笑顔で握手を求められました。ホッとしました。なぜか、根拠もなく、怒られるような気がしてました・・・。
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そして19時、フェイスオフ。初めてのアイスホッケー、サッカーとはまた違う魅力に圧倒されました。何と言ってもスピード感、特に攻守の切り替えの速さはすごい。めまぐるしく攻守が入れ替わり、なおかつ選手交代も随時行われますから、最初はその展開に戸惑いました。でも第3ピリオドに入る頃には、戦術的なこともおぼろげながら理解でき始め、俄然面白くなりまして。氷が削られる音、プロテクターがぶつかり合う音、スティックでパックを叩く音などなど。音で興奮する、という経験も新鮮でした。

しかし、アイスバックスは惨敗を喫しました。えのきどさんによると、西武との対戦は「浦和かガンバと、J2下位のチームが対戦するほどの実力差」があるそうです。淡々と得点を重ねていく西武に、ホーム霧降のサポーター(アイスホッケーでサポーターがついているのは、市民クラブであるアイスバックスだけだそうです。他は企業チームで、会社の応援団が主だとか)は声も沈みがちでした。しかし「アーイスバックス!!!」と声とメガホンで選手を鼓舞する様に、サポーター魂を見ました。選手もそれに応えます。明らかに劣勢ながらも、諦めることなく氷を蹴り、相手選手に必死にぶつかっていく。気持ちの上では上回っていたと思います。そして第3ピリオド、結果的にこの日唯一の得点をアイスバックスが挙げたときには、爆発的な歓喜がアリーナにあふれました。

また、このアイスバックス、非常に厳しい財政状況で運営されているのです。アリーナ内の運営係員は、全員高校生のボランティア。売店で豚汁をよそっているのは、地元の校長先生でした。皆ボランティアで、売り上げもクラブへの寄付金になるそうです。涙ぐましいほどの努力を重ねてらっしゃいました。
しかしそれでも、ついに12月と1月の遠征費が底をつき、このままではクラブ解散の危機なのだそうです。今、えのきどさんとセルジオさんが中心となって、寄付金を募る活動を行ってらっしゃいます。お二人とも、月曜日から宇都宮に泊り込んで、栃木県内の企業やマスコミを回っていらっしゃる。銚子電鉄かアイスバックスかという危機的状況です。

私もわずかばかりのお金を寄付してまいりました。正直、Jリーグとは規模が異なり、単純に比較できない部分もあります。しかし、底冷えのする霧降アイスアリーナに響いたサポーターの声援、それは日立台と何ら変わらない熱さでした。きっとこの危機を乗り越えてくれるはず。あのサポーターの声援がある限り。同じスポーツの世界に身を置く者として、そして地域密着の素晴らしさとサポーターの力を実感する者として、心からアイスバックスを応援したいと思った日光の夜でした。