必勝祈願
担当:大重正人
今日の朝は必勝祈願から。J開幕までちょうど1週間、この季節の恒例行事です。朝10時に、選手、スタッフ、フロントスタッフが日立台稲荷に集合。神前に整列し、礼を繰り返し、手を合わせ、チームの飛躍を祈る大切な儀式です。大谷キャプテンからは「勝ち点55が獲れますように」の言葉。選手たちが自ら決めた目標へ、気持ちを新たに、この1年をこのメンバーで戦っていくんだという気持ちをひとつにします。
来週の開幕戦を前に、最後のトレーニングマッチが14時から行われました。チームミーティングを終えた選手たちが、なにやら玄関のテレビをいじっています。何かと思えば「ゼロックススーパーカップ」でした。J1王者の鹿島と天皇杯王者のガンバが争うカップ戦。昨日のJリーグキックオフカンファレンスでも、この大会と参加する2チームをフィーチャーするイベントがありました。
「あの試合に勝ってたら、マスコミの注目を集めて、そして国立の大舞台でまた戦えたんだなあ」と、ふと思いがよぎります。限りなく大きな、あと一歩。でも自分たちは、そのチャンスを掴めるか、という舞台には到達したのです。これは自信をもっていいと思うし、でも悔しさは忘れてはいけない。今年1年、またあんな痺れる試合に臨むため、選手たちは日々精進しています。
今日のソニー仙台戦。高橋監督がベースとするプレッシング、前線からのボールを奪い取る守備は実践できていました。ミノル&チュンソンコンビがディフェンスでも激しく動いて相手にプレッシャーを与え、波状攻撃につなげるプレー。攻撃のホットラインも利いていました。李選手のヘディングは菅沼選手の突破&クロスから。菅沼選手のゴールは李選手との鮮やかなワンツーパスから。お互いのゴールをお互いがアシスト。今年もゴールゲットを期待して良さそうです!
さらに、動きが目立っていたのは北嶋秀朗選手でした。「今日はキタジさんがトップだったので、やっぱりポストプレーがうまいし、ボールを受けてくれるので、キタジさんを活かすようなサッカーができたと思います」と石川選手。高橋監督や竹本強化本部長からも「キタジは良かったよ」とすぐに名前が挙がりました。その北嶋選手は「調子のバロメータは、ポストに入った時のトラップだったりするんですけど、今年はそれがいい感じです。今年は新しいチームになって、競争もあるし、湧き上がるような気持ちがあります」ととても前向きな言葉が聞かれました。
そして最後は、このルーキー。
比嘉厚平選手が、ついに実戦復帰しました。ユースながらトップ登録された矢先の昨年1月、飛び級で参加したU-19アジア選手権で両ひざを負傷。ここから手術やリハビリを乗り越えて、ついに対外試合に出場するまでに回復しました。「いきなり30分はキツかったです。でも足の方は問題ないし、ゲーム感覚も1年休んでいた割には、想像してたより良かったです」。右サイドで持ち味である果敢なドリブルを試み、ゴール前では左足での決定的シュートも。惜しくもキーパーがブロック。それでもこの日一番の拍手が彼に送られました。
試合後スパイクをクリーニングしているところに、「おおッ!」と威勢のいい声で駆け寄ってきたのは、吉田達磨U-15監督と井上敬太GKコーチでした。吉田監督は、昨年までU-18を率い、比嘉選手とは6年の師弟関係が続いています。言葉はほとんどなく、がっちりと抱擁するだけでしたが、吉田監督のあんなに嬉しそうな顔、見ているこっちも嬉しくなるし、心から写真に収めたかった感動的なシーンでした。井上コーチは「涙が出そうだったよ」と教え子をねぎらいました。普段は明るさが長所の比嘉選手も「ずっと見ててくれた人ですから」と神妙な表情。言葉はなくとも、深い信頼関係を築き上げてきたことがすぐにわかりました。今日一緒にプレーしたユース出身仲間も感じるものがあったはずです。もちろん、比嘉選手の本領発揮はまだまだこれから。とにかく無事に、そして温かく、その成長を見守っていきましょう。