広島戦
担当:大重正人
5月29日以来、約3週間の中断期間を経て迎えたリーグ戦。さあここからもう一度という試合でしたが、1点が遠く、重く大きな1点の差に甘んじて、勝利を逃しました。立ち上がりはしっかり前から守備ではめていこうという狙いと意志がよく見えました。アンジェロッティ選手が「ユウタ!!」と名前を激しく呼んでアタックを呼びかけたところは、そういう意志や、またコミュニケーションの深まりが見えた場面でもありました。ビルドアップでも最終ラインやドッジ選手を中心に、ボールを動かして、敵陣へ運んで、リズム良く攻撃ができていたように見えました。
しかし20分ぐらい経ち、そして飲水タイムを経てからは、広島に攻め込まれる時間が続きました。「良い守備からのカウンターを狙いとしてゲームに挑んだ」とネルシーニョ監督。守備を固めながら、ボールを奪って、素早く前に出ていく。アンジェやクリス、神谷選手が抜け出してゴール前に迫る場面もありましたが、シュートを打ち切るところまではいけません。シュート数は1対16。ここまでの圧倒的な数字を突きつけられました。これが今のレイソルの力、相手との差です。
ただこの苦しい試合をイーブンで保てたのは、監督の言う、組織的に献身的に戦うこと、選手たちがやり続けたからこそ。特に最終ライン、そしてキーパーの佐々木選手はこれだけのシュートを許しながら、身体を張り、そして素晴らしい反応の連続でゴールを割らせませんでした。「シュートに対してもよく反応出来ていたし、よく見えていた。ディフェンスの背後のケアの部分で良いプレーもいくつかできていたと思うので、それは継続していきたい」(佐々木選手)
後半に入っても、マサのビッグセーブが良くも悪くも目立ってしまう展開が続きました。攻撃のフェースを増やさなければ、どうしても守備の時間ばかり長くなってしまいます。カウンターならしっかりシュートで終わる、そこまでいけなくてもなんとかボールを収めて、後ろからのサポートに繋げる。またビルドアップからボールを運んで、相手を自陣へと後退させる。いくら最終ラインが踏ん張っていたとしても、あれだけの回数をゴール近くに侵入されると、どうしても防ぎようのない事故も起こってしまいます。「クロスに対して準備していましたが、コースが変わって、反応できませんでした。あの1点さえなければ」と悔しさを滲ませたマサ。この日が初めてのJ1、ルヴァンでの5試合を経て、ルーキーイヤーの19歳が着実に前に進んでいることは間違いありません。
「組織的に戦うこと」。ネルシーニョ監督が求めることを選手たちがやろうしている姿勢は十分伝わってきます。攻撃に守備に、ハードに戦った神谷選手も「やろうとしていることはみんな頭の中にあるが、それがまだまだチームのものになっていないだけだと思いたいしそう信じたい。またここで別のことをやってブレるよりは、今のやり方を継続して結果に繋げることが一番だと思う。相手がどこであれ、自分たちのやるべきことをやるのが今の僕たちのテーマ。監督が出してくれるアイディアを自分たちが上手く実践できればいいけれど、まだそれができていない。もちろん監督中心にですが、自分達でもコミュニケーションを取り合いながらやっていかなければいけない」と現状から逃げず、向き合っていく姿勢を話しました。水曜には中3日でレッズ戦が控えています。この日の守備の強度を続け、そして5/5のルヴァンカップのようにゴールを打ち破るところを次こそ見せて欲しいです。