浦和戦
担当:大重正人
立ち上がりからは、先日の広島戦と違って、ボールを敵陣にしっかり運んで、そしてシュートで終える、相手のクリアを拾って攻撃のターンを続ける、そういったいい流れで序盤を進めることができていました。守備の勢い、セカンドボールの奪い合いにも激しくファイトを続けていました。ただメディアの方から浦和のロドリゲス監督に「飲水タイムから流れが変わりましたが」という質問があったように、徐々に相手の対応を受けて徐々に膠着した状況になっていきました。
高橋祐治選手が復帰して3試合目、4-4-2、または4-5-1の形で組織的に守れてはいたものの徐々に押し込まれ、後半19分。左サイドバック山中選手のクロスに、最後は右サイドバックの宇賀神選手がシュート。後方からの厚みのある攻撃を防ぎきれず、そして36分にはセットプレーから失点。相手にとっては理想的な展開、今のレイソルにとってはあまりにも重い追加点となり、リーグ戦4連敗となりました。
今日は先発発表されていた仲間選手にアクシデントがあり、瀬川選手が急遽先発のピッチに立ちました。難しい状況ではありましたが、しっかりと意志を持ち、そして自分の持ち味を出そうとする姿勢が見えました。「3ヶ月くらいずっと外から見ていて、みんなが気持ちよくサッカーしていないと思ったし、迷いながらサッカーしているなと感じていた。前節の広島戦は、前線の選手がピッチで歩いている時間が多かったし、あんなに押し込まれながらも70分過ぎまでゼロで抑えてくれていた後ろの選手のセカンドボールも全然拾えていなかった。バラバラで人任せになっているなと感じていた。僕が入ったらとにかく人よりも走ってセカンドボールを拾って、当たり前のことを当たり前にやるというか、戦術云々の前にサッカー選手として大事な部分を出せればいいなと思っていた」
こうした思いから生まれたプレー、相手に寄せていくスピードや勢いが、特に前半はレイソルに勢いを与えていました。2018年の降格を経験したひとりとして、今のチームは失点に敏感になってしまって、切り替えようと声は出しているけど、やっぱりメンタルに来てしまっていると胸の内を話しました。その上で「自信を積み重ねること、成功体験を増やすことが大事で、練習でも試合でもそうだけれど、試合の結果だけではなくて、試合の中の色々な部分で"勝つ"ということが大事だと思う」。試合に勝つということは、早く走る、高く飛ぶ、ボディコンタクト、そういったひとつひとつの戦いでの勝利が積み重なって、最終的にスコアとなって表れるもの。そして一人一人が目の前の敵に勝つ。そうした細部へのこだわりが、今はまだまだ相手に劣っているからこそ、勝利から見放されているのかもしれません。
待ちに待ったこの日を迎えた彼に、この状況を背負わせて希望を寄せてしまうのは心苦しくもありますが、それでも戸嶋祥郎選手が長く厳しい道のりを進んで、日立台のピッチに帰ってきてくれたことは本当に嬉しく、喜ばしいことでした。去年9月下旬の大きな骨折から9カ月ぶりの復帰戦でした。「リハビリ期間の苦しさはあまりなかったですが、自分の中ではもっと早く治したかったし、治ると思っていたが、思ったよりも痛みが引かず焦れてしまった。いつ治るんだろうという感覚はあったのでそこが苦しかった」。場内からの大きく温かな拍手に「色んな人が支えてくれたり、気にしてくれていることすごく感じていたので、少しでもそういった方々に恩返したいという思いでピッチに入りました」
瀬川選手と同じようにピッチの外からチームを見て「強度が低いというのは感じていた。自分たちはどんな戦術であろうと、まず強度を保ったり、相手より一歩早く動くといったところで優位性をとっていくチームだと思う。そこは自分の良さでもあるのでチームの力になっていければと思っています」とチームの今と、自分がやるべきことを決意をもって話してくれました。
今日、1点目を決めたレッズの宇賀神選手。会見では「こんなに試合に出られないことはありませんでした」という厳しい状況のなかで、チームメイトを見習ったり、おかれた状況の中でも諦めずやり続けてきたことが、今日のゴールにつながったと思わせられる話がありました。レイソルでも今日は山下選手がリーグ戦今季初出場、これまで試合メンバーから外れた際に、しっかり走りこんでコンディションを上げていこうという練習を見かけたことがあります。チームが勝てていない今だからこそ、出場機会が多くなかったメンバーや、メンバー外の選手たちの取り組みに目が向けられ、光が当たることもあるかもしれません。この状況を変えたい、必ず変えられると信じて、一日一日の練習、ひとつひとつの細かなプレーに「勝つ」というこだわりを持って、戦っていかなければいけません。そして声を出す、力を出し尽くす、仲間を助ける。いまはまずその原点に立ち返るしかありません。