2007年2月26日

期待と課題と光明と

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本日の担当:横井孝佳

いよいよ開幕まであと1週間。リーグ戦に向けて最後のテストマッチ(水曜日に法政大学との練習試合が組まれましたが、開幕に向けてのシミュレーションより調整の意味合いが強くなると思われます)、大宮アルディージャとの練習試合を行いました。結果は、ニュースのページでお知らせしたとおりスコアレスドロー。光明と課題、双方が見えた一戦でした。

この試合の注目点のひとつは、マルシオ・アラウージョ選手が実戦でどんなプレーをするのか。これは石さんも断言していたことです。今日はトップ下の位置で65分プレーしました。キレのあるドリブル、労を惜しまず守備をする姿勢、惜しくもセーブされましたが枠を捉えたミドルシュートなど、随所に光るモノを見せてくれましたが、総じていえば「まだまだこれから」といったところ。
何しろまだ、チームに合流して1週間しか経っていないのですから。なおかつ、初めてブラジル国外でプレーするんですから。Jのサッカー、レイソルのサッカーに馴染むまでには時間が掛かります。「アラウージョを開幕から? わからん。今日の試合より、ちばぎんカップの後半のほうが(チームは)機能しとった。これから1週間(練習を)やって、様子を見る。今日のアラウージョは『見ただけ』じゃから。見てみんと改善点もわからんから」と試合後の石さん。
チームへの合流が遅くなり、開幕には間に合わないかもしれませんが、それでも「彼の力が必要」だと判断したからこそ獲得した選手です。「既にブラジルで2試合やってきた。コンディションはいい」とアラウージョ選手本人が話すとおり、身体は出来ていますから、あとはどれだけ早くフィットできるか、です。

今日の試合で最大の収穫は、アルセウ選手がフィットしてきたことでしょう。
以前にも記しましたが、鹿児島での初期のトレーニングマッチでは「大丈夫かいな」と不安になるほど息の合っていなかったアルセウ選手。しかし試合をこなすごとにチームに馴染み、今日の後半途中からは1ボランチでプレー。危なげなく守備をこなしました。日本のサッカーを理解しアジャストしてきたのが、はたから見ていてもよくわかります。「アルセウについては目途が立った」と石さんも合格点を与えていました。
圧巻は後半に2度あったフリーキック。前評判どおりの強烈なキックを見せてくれました。アルセウ選手が助走するため後ずさりすると、スタンドがざわついて。そして右足から放たれる弾丸シュートには「おおぉぉぉ」とどよめきが。アルセウ砲は間違いなく、今季のレイソル名物になるでしょう。

チーム全体としては、「ボールを奪ったら、すばやく相手のゴールを目指す」という速攻のみならず、ポゼッションから崩す、という意識が浸透してきたことが収穫。大宮が「リトリートしてカウンター」という戦術をとってきたためもありますが、レイソルがボールを保持する時間のほうが圧倒的に長かったと思います。
ただし、相手の守備陣形が整ったその前でのパス回しは出来ていても、そこから崩してフィニッシュ、という展開があまり見られなかったことは課題。「(ポゼッションしていて)どこからスピードアップするか、ハッキリしてない。キープしてるだけじゃ点は取れない。まだまだ」と不満顔の石さんでした。

守備については、格段に安定しました。後半の終了間際にきわどいカウンターアタックを喰らいましたが、セットプレー以外でひやりとしたのはそれくらい。近藤選手を中心に、じつに頼もしい壁をつくっていました。
なお、前半終了間際に退いた古賀選手。削られて右足首を負傷したようです。
「『痺れた』言うから交代させた」と石さん。古賀選手本人は「いや、やろうと思えば出来たんですけどね。痺れて感覚がなくなっちゃって」。自ら交代の意思を示したわけではないものの、古賀選手が『感覚がない』『マヒした』と言っているから、周りの選手が心配してベンチに伝えた、というのが真相であるようです。試合後のクラブハウスで「『マヒした』なんて言ってないよ」と古賀選手が釈明?すると、近藤選手や藏川選手が一斉に「い・っ・て・た」と突っ込んでましたから。試合後には少し足を引きずっていましたが、日も暮れる頃には普通に歩いてました。たぶん大丈夫でしょう。

2年ぶりのJ1。しかも以前とはまったく異なる顔ぶれ、戦術。外国人は2人がJ初体験ですし、チームの主軸は20代前半の若手選手たち。正直、不安もあります。しかしそれ以上に、期待感、ワクワク感が強くありませんか? このチームは成長途上なのです。どこまで行けるか、どこまで伸びるか。今は完成形ではないにしても、可能性で言えばJ1でも一番ではないかと、ひいき目抜きに感じるのです。

大丈夫。現状でもJでナンバーワンのプレーヤーがいます。今年のフランサ選手はちょっとヤバイです。来日以来最高のコンディションを維持し、今日もキレキレのプレーを連発。なおかつ、石さんに心酔し、そのサッカーを体現しようと努力していることでは今、チームで一番かもしれません。

それにしても、フランサが日本の、しかも二部リーグでプレーしていたなんて、のちのち伝説になるんだろうなあ。先日、欧州チャンピオンズリーグの「レバークーゼン対レアルマドリッド」戦のDVDを見ながら、心底そう思いました。彼の存在、それ自体が光明です。