イワオ×コガ
担当:大重正人
リーグ戦再開からハードスケジュールの6連戦。その半分を終えて2勝1分で勝ち点7。これは上々の滑り出しと言えるでしょう!この3試合を無駄にしないために、今後のジェフ、アルディージャ、Fマリノス戦の戦いが重要になってきます。今日のビデオミーティングでFC東京戦を振り返りましたが、「苦しい試合でよく勝ってくれた。4月のマリノス戦と同じぐらい厳しかったけど、長いシーズンを考えると非常に大きい勝ち点3だ。ただ、これを繰り返してはいけない。切り替えてしっかり改善しないと」と石崎監督の表情が緩むことはありません。
午後の戦術練習。李選手に続き、昨夜急遽U-22代表に招集された小林祐三選手が不在の中、通称「ペナペナ」、少々狭いコートでの紅白戦です。ピッチ内で鋭く目を光らせる石崎監督、このゲーム中、いったい何回「GO!」と叫んだことでしょう。相手ボールになった際、前線もディフェンスも関係なく、ボールに一番近い選手がファーストディフェンダー。ボールが動く間を見計らって間合いを詰める。そこで「GO!オオタ!」とか「GO!ジャンボ」などと絶えず声が響いていました。転じて攻撃側は、相手のプレスをかいくぐるすばやい判断とミスのないパス出しが求められます。
監督はよく言います。「ワシのサッカーは特別なことはしてない。切り替えとかも、サッカーの原則を守っているだけ」。「シンプル!」というのも攻撃時によく叫びます。無用なボールタッチをせずに、味方にパスを預けてスペースへ走りこむ。今日も変わらず、選手たちに徹底するトレーニング。中盤の要、山根選手が次節出場停止となるだけに、代わりとなる選手を含めて、より基本的な動作の正確性を求める様子が目立ちました。
その練習後、今日は雑誌「サッカーJ+」の企画で、「山根巌×古賀正紘」対談が行われました。先に取材部屋に入っていた山根選手、なにやらソファーの右手に小さな器具が。「昨日、ゲームセンターで、クラ(藏川選手)と一緒に獲った」という代物の正体は。。。ボタンを押すと「ドンダケ??」と皆様ご存じの言葉が鳴り響くんです。それを、心から嬉しそうな様子で準備して、古賀選手を待ち構えていました。
練習後、やや遅れてきた古賀選手。「イワオさん、サッカーの話してくれるかなぁ」という不安どおりに、ゴルフや夏祭りの話など一向に真剣モードにはなりません。そして満を持して「ドンダケ??」を繰り出して室内の爆笑を誘い、「これ、マジ使えるよ。コガちゃんも取材で使ったほうがいいよ」とメチャメチャお気に入りの様子。なんとかレイソルの話へ引き戻しながら、山根選手のユーモアが古賀選手の新たな一面を引き出すと、古賀選手の真面目なサッカー談義に「コガちゃんが来たからレイソルは変わったんだよ」など、山根選手は短いけれどとても重く深みのある言葉を残します。
取材後、スタジアムのベンチでの撮影に向かうとき、2人は並びながら「やっぱり、この日立台のスタジアムが一番いいんだよね」と沈む夕陽を向こうに語っていました。そして山根選手、「やっぱり岡山劇場がレイソルを変えたよ」と。「オカは何かやろうって言うとき、絶対オレに聞いてくるの。これやってもいいかなぁ?」って。
Jリーグという厳しい舞台で何年間も戦ってきた選手たちは、やはりそれだけの何かを持っていて、そして今レイソルの礎となるものを確実に残してくれています。その振る舞い、言動、心意気を、若い選手たちが感じて自分のものとする。こうして、強く愛されるクラブに少しずつ近づいていくのでしょう。ベテランと言われることを彼らは嫌がるかもしれませんが、今日はベテランのとてもいい話を聞くことができました。誌面をお楽しみに。