2008年7月24日

鞄の中身

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担当:桜林 舞

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トレーナーバッグの中身を知っていますか?

試合時に、ベンチに控えているのは監督やコーチ、通訳、チームドクターとメディカルスタッフです。選手が負傷したとき、チームドクターとメディカルスタッフはピッチのライン際まで駆けつけます。そのとき、メディカルスタッフが肩から提げている黒い大きなバッグ。それをトレーナーバッグと呼ぶそうです。

クラブにいる人間も改めては覗いたことがないこのトレーナーバッグ。
そんな素朴な疑問に答えるのが、CSフジのプロサッカーニュース「Jのギモン」コーナーです。


最初にこの取材依頼があったときには「『ドクターボックス』の中身を見せていただきたい」と記載されていたので、「あの黒いバッグはドクターボックスと呼ぶんだ。なるほど」と思っていたいところ、「トレーナーバッグのことだよね?いつも試合時に抱えているやつだよね」とメディカル陣に訂正されてしまいました。『ドクターボックス』というネーミングも結構いい線をいっていると思うのは私だけでしょうか。

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中身を説明してくれたのは、大津正夫メディカルスタッフです。
選手の治療を終えた夕刻にバッグの中身を広げてひとつひとつ説明してくれました。

包帯、ハサミ、バンソウコ、氷嚢、冷却スプレー。患部を冷たくする軟膏や、暖める軟膏など。

意外だったのは、粘着スプレー。包帯がプレー中にずれないように、患部に包帯を巻きつける前にシュッと一振りするのだとか。また、プレー中にスパイクと足先がずれにくいように、スパイクの中に吹き付ける選手もいるのだとか。

「ピッチ上では長い時間をかけていられないから、ここにあるものは必要最小限」と大津メディカルスタッフ。

トレーナーバックの中身だけでは補え切れない治療を、ハーフタイム時や試合終了時に行えるように、タンスのような治療セットがトレーナールームには置かれていました。「トレーナーバッグ」ならぬ、「トレーナーボックス」ともいうべきものでしょうか。なんて呼ぶんですかと聞いたところ、「特に名前はないですよ」とのことでした。稼動式になっており、試合時のロッカールームには常に控えています。

「ケガから復帰して、元気にピッチを駆け抜ける選手をみることが、なによりの励みだよね」と大津メディカルスタッフ。

F1レースのときによく目にする、タイヤ交換や燃料補給のためのピットイン。
そのピットクルーにあたるのがサッカーでは監督や、コーチや、チームドクター、そしてメディカルスタッフなのでしょう。

「選手には、自分のケアは自分でするように、いつも口を酸っぱくして言っているんです。生活のすべてがプレーには出る。ケガをしてから治療するだけでなく、ケガをしないように、コンディションを崩さないように、自分自身で、日々の生活をコントロールすることが大事。最後は、自分です」と大津メディカルスタッフ。

取材終了後、すでに周回を始めていたほかのメディカルスタッフに合流し、西日が厳しいグラウンドでランニングを行いに向かいました。

「この年になるとさ、体力も衰えるからさ」。

医者の不養生ならぬ、メディカルスタッフの不養生にならないように。
選手に指導するからには、自分自身が見本をみせるように。
コンディションのキープに励むのは選手だけではありません。

すべては最良の結果を生み出すために。
スタッフ一同、心血を注いで、チームの状態を高めています。

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