岡山
担当:大重正人
「今日は全員で勝ちに行った」
石崎監督の試合後会見は、この言葉から始まりました。
サンフレッチェのパスワークは十分警戒していたはずですが、レイソル守備陣の対応は後手にまわらざるをえない前半でした。3トップのサンフレッチェの攻撃陣を捕まえ切れず、サイドに追い込んでアタックをかけてもかわされる。バイタルエリアを自由に使われて、佐藤選手に2点を奪われました。その中でセットプレーから古賀選手のヘディング、また相手GKのパスミスをポポ選手が奪い、菅沼選手がきっちりと決めた2得点。前半のシュート数はたった3本でしたが、前半をタイスコアで終われたことは、非常に大きかった。
石崎監督は、後半早々に山根選手を投入。彼はベンチから戦況をしっかり見ていました。「クリとアレックスを前に出して、自分がその後ろで余るようにした」。石崎監督は先日のインタビューでこんなことを話していました。「イワオは、実はコーチ向きよ。選手の組み合わせとか、言う通りに変えてみたら、それが当たってることが多い」。味方と敵と試合の状況をしっかり把握できる力、それをこの大一番で遺憾なく発揮しました。
「イワオが入って中盤が安定した」。これでセンターバックコンビも本来の落ち着き、粘り強さを発揮。特に祐三選手がゴールラインで強烈シュートをブロックしたシーンをはじめ、再三身体を張っての気持ちのこもった守備。GK菅野選手も1対1のシーンを何度もブロック。目を覆いたくなるような大ピンチの数々、味方が味方をカバーしてゴールを割らせませんでした。
粘っていれば、絶対にチャンスが来る。そんな守備陣の思いを、攻撃陣が最後の最後に結実させました。フランサ&チュンソンコンビのダイレクトプレーから、フランサ選手がチップキックで相手GKを舞うように飛び越えた瞬間、多勢だった広島サポーターが静まり返り、レイソルイエローが飛び跳ねて喜びを爆発させました。
試合後のミックスゾーン。昨日19日に誕生日を迎えたチュンソン選手。昨日はホテルでバースデーケーキのお祝いを受けたそうです。石崎監督に「23歳になりました!23歳でサッカーができるのは監督のおかげです」と報告。「一生、そう言っとけ」。石さんとチュンソン選手らしい掛け合いを話してくれました。
そしてチームをまとめた大谷キャプテン。「この前のミーティングで石さんが、『ワシは昇格を決めた時にも涙は出なかった。日本一になったら涙が出るかも』と言っていました。だから国立で“泣かしたい”です」。いたずらっぽい笑顔で会見を締めくくりました。国立に石さんを連れていきたい。これは、いまレイソルに関わる人たちすべての願いです。でも、ここまで来たら連れて行くだけでは終われません。準決勝進出、ベスト4。国立に行くだけじゃなく、決勝で勝って天皇杯を掲げる。そう宣言してもいいところまで昇ってきました。頂上まであと2つです。
激闘を終えた選手たちは、今頃帰京したところでしょうか。明日のトレーニングは11時スタートに変更となりました。連絡が遅くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
個人的に、とても思い入れがあった岡山での試合。
最高の勝利をもたらしてくれた選手、スタッフ、サポーターの皆さん。
12月20日、最高の思い出をありがとうございました。