2019年6月10日

愛媛戦

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担当:大重正人

心身、またサッカーでは戦技体(戦術、技術、体力)と言い換えられるかもしれませんが、その要素がバランスよく充実して選手たちは躍動できます。それだけの理由ではないのかもしれませんが、とにかく愛媛でのレイソルの選手たちが躍動していると感じられたのは前半からほとんどなく、後半26分にクリスの同点ゴールが決まってからの数分間だけだったと思います。躍動していたのは間違いなく愛媛の選手たちでした。失点はセットプレー、カウンター、リスタート。レイソルが集中して守れていれば防げたものもあったでしょうが、何よりシュート数が7対20と圧倒され、前半キックオフからの内容からみても、妥当な結果、完敗でした。

オルンガ選手はケニア代表へ。定められた既定よりもずっと遅い3日前になってから招集レターが届く事態に、話し合いを続けてきましたが、結果的には彼を送りだしました。これまで主として戦ってきた3バックの3選手、染谷選手は累積警告で、古賀選手は代表招集による負傷で、田上選手、杉井選手が先発し、そして上島選手にかわり、中川創選手が出場のチャンスを掴みました。ルヴァンカップの仙台戦でトライし、いいプレーを見せた形、中盤にボランチタイプの選手を3枚ならべ、その前に2トップというシステムで臨みました。ただこの愛媛戦キックオフから、守備で相手をはめることができず、ボールを支配され、シュートまで打たれるという状況に。ネルシーニョ監督は前半26分で早くも手を打ち、江坂選手を入れ、3トップに変更。懸命に沈静化につとめ、GK中村選手の好守もあって前半はなんとか無失点に終えることができました。

しかし後半立ち上がり早々にセットプレーで失点。相手は勢いづきました。レイソルも良い内容ではないながらもそこで粘り、後半26分に田上選手の激しいアタックからのカウンターで、投入早々に瀬川選手がチャンスメイクし、この日唯一最大の好機をクリスがしっかりゴールへ流し込んで同点。それまでの停滞したムードが一変し、ようやく目を覚ましたかのように躍動した選手が見せたプレーは「逆転するぞ」という雰囲気を大きく膨らませました。ただそれまでの苦しい時間帯でのダメージがあったのか、残り10分を切っての連続失点、そしてそれを跳ね返すパワーがありませんでした。

試合後、DFラインの選手たちに話を聞きました。もちろん反省の言葉、悔しい思いばかりでした。杉井選手は「今日は自分のところを狙われて、潰しきれず、入れ替わられた」と潔く自分の実力を認め「自分が目指すところに行くためにはまだまだ足りない」と話しました。ルーキーがトップの舞台に立ち、身をもって体感できたことで、また日々の練習で取り組むべきことを再認識、必死になってやっていくはずです。

そしてみんな一様に感じていたのは、後ろから見ていて上手くいっていないこと、そしてその状況を声を出して改善できなかったこと。ピッチ上で起こっていることを感じ取り、それを周りに伝えて、味方を動かせる選手に。大谷選手、鎌田選手、染谷選手といったベテラン選手たちはその経験と方法を持っていて、悪いながらも粘り、少しずつ好転させていく術を知っています。彼ら不在のなかで、立て直しがなかなかできないまま90分が過ぎてしまった。この日先発したDFラインの選手たちは自分の役割、プレーで、本当に必死で懸命だったと思いますが、まず個人のところで相手を抑え込みながら、さらに味方を動かしチームを勝たせられる選手になってほしいですし、これからもそこをめざして努力していってくれるはずです。

チームとして良い守備なくして、良い攻撃はできない。この完敗を代償にして、失った勝ち点を取り戻す勝利を。スタジアムからの帰路では柏ナンバーや野田ナンバーの車をみかけました。市内には黄色いユニフォームを来た方がいらっしゃいました。その応援に対して、感謝の思いや言葉だけでなく、何より勝利という結果をお届けしなければいけません。