2020年9月 3日

ルヴァン準決勝進出

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担当:大重正人

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8月13日。ルヴァンカッププライムステージのドローに呉屋選手が出演してくれたときのこと。「クラブ的にはやっぱりホームを当ててくれるとありがたいねー」なんて伝えながら、ヒロトが引き当てた番号は4番。準々決勝も準決勝も「アウェイアウェイになっちゃいました」と苦笑していたところ、隣の3番に入ってきたのがセレッソでした。そこでポツリと「でも、長居はけっこう相性良いんすよねー」。

立ち上がり早々、セットプレーのピンチから一転してのカウンターに抜け出して絶好機。自分の形に持ち込んで狙いすました左足のシュートは惜しくもゴールマウスにヒット。さらに戸嶋選手や高橋峻希選手にビッグチャンスがあり、ヒロトにもラストパスが何本か入って、惜しいシュートが続きました。前半でなんとか先制できれば、という前半40分でした。江坂選手からのボールを受けると「上手く足元にボールを収めることができて、その後は流れに身を任せてトラップからシュートを打てた。DFとの距離が少し遠いなと思ったので、打てるかなと思った。相手のGKがとても良い選手なので、良いコースを狙うことは意識した」とヨニッチ選手、キムジンヒョン選手というリーグ屈指の守備陣、先日のホーム戦でも苦しめられた2人を破る素晴らしいゴールでした。

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そして、喜びに駆け寄った三丸選手と合わせて、頭上に掲げた3本指。「同期(呉屋、三丸、瀬川、高橋祐)のLINEのグループで昨日パフォーマンスをやるよという話をしていたんで、点を取って実行できてよかったです」。昨日お知らせした通り、高橋祐治選手が非常に大きな怪我を負ってしまった中、日立台通信でもお伝えした通り、とても仲の良い93-94年同期組との約束を果たすゴールセレブレーションでした。

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「ミカも結果を出しているし、それが僕にとっては良い刺激にもなっていたけれど悔しい気持ちもあった。その気持ちに折り合いをつけながらずっと練習をしていた」。8月23日の大分でした。0-0の死闘を終え、ロッカーに戻ってくる仲間を迎えながら、ランニングシューズを手にしてグラウンドへ戻るヒロトの姿がありました。ブルーのトラックレーンを黙々と走る様子が大分サポーターのSNSで広められ、その思いや努力、執念は相手サポーターにも伝わるほどでした。

この試合の前に、長居での記録を検索したところ、すぐに関学大、呉屋大翔の名前が出てきました。ガンバU-23のJ3リーグでは、隣のキンチョウスタジアムでしたがゴールを決めています。オンライン会見の後に改めて彼に聞いてみると「大学の時、長居でめっちゃゴールしましたよ。多分50点ぐらい行ってると思います」。自分の存在を示し、チームを勝利に導き、そして仲間との約束を果たす、まさに有言実行の活躍でした。

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ヒロトのゴールは、単発的偶発的なものでなく、この日は立ち上がりからレイソルのチームが素晴らしく機能していました。ネルシーニョ監督です。「今チームの現状を考えた時、手元で抱えている戦力で考えられるオプションが今日の相手に向けての準備だった。現状本職のセンターバックが1人しかいない中で、今日のゲームプランは3センターバック。前日のトレーニングでその意図を選手たちに伝え、その意図を選手たちが理解しピッチに立った選手たちがしっかりと遂行してくれた」。呉屋&江坂の2トップが相手の最終ラインを牽制し、追い込んでいきながら、中盤に入ってきたボールに3人のボランチが鋭く寄せ、幾度となくカウンターのチャンスを作り出しました。

そして最終ラインは、サイドの2人が下がって5枚のブロック。本職サイドバックの4人を束ねたのは、鎌田次郎選手でした。彼のコーチングはこの応援スタイルの中で非常に響き渡って、チーム全体の守備をコントロールし、セレッソの攻撃を封じました。特に前半、シュート数は7対1、素晴らしい内容でした。「5バックでマンツーマン気味に(マークに)ついて出どころを制限しつつ、(ボールが)収まるところは潰そうという狙いがあった。太陽と健吾がかなり2列目のところを潰してくれていたので、自分は後ろでカバーするだけだったので助かった。前線や中盤で引っかけてショートカウンターということは監督もよく言っているし、今日は何度かそのような形でチャンスが作れていた。サチ(戸嶋)も含めて走れる選手も今日は多かったので、横のスライドだったり縦にカウンターで出ていくところだったり、今日はみんな頑張ってたのではないかと思う」。この日が復帰戦でいきなり負ければ終わりのノックアウトステージ。「最後は足をつって迷惑をかけたけど、航輔や健吾、太陽に助けられながら、みんなが一丸となって戦って結果が出てよかった」。

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中3日で先発し、守備のタスクもこなしながら、ヒロトへのアシスト、そして試合を決定づける2ゴールの江坂選手。先日のインタビューで「数字には現れなくても、こいつがいたからチームが勝てたという選手になりたい」と言っていましたが、この日は数字でも示すMOMのプレーでした。後半はセレッソの猛攻を受けながら続いた1点リードという苦しい場面でチームを助けたのはGK中村航輔選手。柿谷選手の飛び出しへの反応、後半佳境での顔面でのセーブ。勇敢という表現がふさわしいビッグプレーの連続でした。連戦の中、先発のピッチに立った11人、そして4人の交代選手が後半の苦しい状況を立て直すプレー強度を見せました。

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「今ケガ人が多く、ピッチに立てない選手の分もピッチに立った選手が最後まで闘う姿勢を見せてくれた。選手たちは要求した戦術的なポジショニングの部分など、本当に最初から最後までしっかりと落ち着いてやってくれた。これまでなかなか実戦に絡んでこれなかった選手もここにきて出場機会を得たことで、これからまたさらにゲームに入っていきやすい状況が作れたのではないか。今日ピッチに立った選手1人1人が与えられた役割をしっかり理解して遂行してくれたと評価している」。

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そう監督が振り返るだけの、素晴らしい勝利でした。アタルが2点を決めて「3」得点になったのも何かの力が働いたのかなと思いますし、このヤンマースタジアム長居では2018年11月24日以来の試合でした。この日と同じ3-0と素晴らしい内容の勝利なのに喜ぶことが許されず、悔し涙にくれたあの日の分まで、我々やサポーターの皆さんに勝利の喜びを届けてくれた選手とチームに心から感謝したいと思います。