2020年12月19日

最終戦とキリ

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担当:大重正人

まず、開幕戦を除いて、観客数制限試合が続いた今シーズンで最多となる5137人の皆様にご来場をいただきまして誠にありがとうございました。今季のホーム最終戦、そしてチャンピオンチームのフロンターレを迎えての一戦に多くの期待を込めて、スタンドの座席が等間隔にきれいに埋まりました。結果的に2-0から逆転されたという悔しい試合をこう評すべきではないかもしれませんが、それでも川崎を相手にして特に前半からの戦いぶりにはとても高揚感がありました。

一部休養を挟んでいた選手もいましたが、極寒のアウェイ広島戦から移動日込みの中2日にもかかわらず、フロンターレのパスワークに前線からのプレッシングがはまり、「何回か良い形で前向きにボールを奪うシーンを作れていたので、試合の入りは悪くなかった(古賀選手)」という言葉通りでした。そこで生まれたオルンガ選手の先制点、自陣北爪選手からのフィードをクリスがワンタッチで流すと、フィフティフィフティのボールを相手と1対1で競り合うというミカにとってはあつらえ向きのシチュエーションに。強靭なコンタクトで相手を跳ね飛ばし、飛び出してきたGKも軽やかにかわし、あとは流しこむだけでした。99%確定していたといっても過言ではなかった得点王、さらに1点を積み重ねる28得点目をマークし、堂々のタイトル獲得となりました。おめでとう、ミカ!!!

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1点リードで迎えた後半開始早々には、北爪選手の前への推進力がゴールにつながりました。あの場面は、ケンゴやミカなど前から奪いに行くという姿勢がセカンドチャンスにつながり、最後蹴りこんだのは瀬川選手が豪快にネットを揺らしました。写真を見て思いましたが、セガちゃんのゴールはここまで味方を嬉しくさせるのかと。

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だからこそ、このリードした時間帯を少しでも長く運びたかったという思いです。セットプレーとビルドアップの乱れからの連続失点。9分間で振り出しに戻したところに、好機を見逃さない今年のフロンターレの強さを見たような気がします。このクラブを負かさないと上には行けない、タイトルは獲れない。その大きな指標として、立ち向っていかなければならない相手です。

試合後には最終戦セレモニーがありました。秋山浩保柏市長からは大きなエールをいただき、瀧川社長、ネルシーニョ監督、大谷選手からは皆様の応援への感謝がありました。そして最後に壇上に立ったのは桐畑和繁選手でした。ユースから数えて18年間、柏一筋で進んできた道にここで一区切りをつけることになりました。

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「みなさん、こんにちは、桐畑です。
突然の発表になってしまうんですが、ユースから含めて18年間お世話になった柏レイソルとお別れすることになりました。あと2年やれたら20周年でキリがいいなと思っていたんですが、そんなに甘くありません、、、、」

神妙に耳を傾け、静まるスタンドに向けて「笑ってください!」と言えるのが、一番のキリらしさです。基本は明るくて、ムードメーカーで、でもナイーブなところもあって、声をかけづらいという時もありました。でも、それは大好きなサッカーに真剣に取り組んできたからこそで、選手だからちょっとうまく行かないときもあるだろうし、そんな時に険しくなるのは仕方ないことだと思って見守ってきました。と思っていたら、急に超絶天才的なイジリを浴びせてきたりもします。

「今年コロナウイルスが流行り、皆さんにとっても本当に大変な1年だったと思います。大好きなレイソルを大きな声で応援できなかったり、スタジアムに気軽に来られないなか、こういう状況でもスタジアムに来て柏レイソルを支えてくれた皆さん、本当にありがとうございました。

柏レイソルの選手になって15年間という長い時間を考えると、僕の出場した試合数は本当にさみしい数字です。それでも試合に出たい、負けたくない、そう思いながら毎日を過ごしてきました。数としては決して誇れる数字を残せたわけではありませんが、少ない試合数だからこそすべての試合、自分の中で、大切な宝物になって、ずっと心の中に残っていくと思います。

そんな試合にも多く出なかった僕にも日立台のサポーターの皆さんは大きな声援と、大きな愛を僕にたくさんくれました。今年はいまゴール裏には人がいませんが、いつもだったら熱いゴール裏のサポーター、そして同じぐらい熱い気持ちを胸に秘めながらメインスタンド、バックスタンドで応援してくれるサポーターに囲まれてプレーできるこの日立台が大好きでした。

もうここでプレーできないというのはさみしいですが、ここでプレーできたことを僕の人生の宝物として、ずっと持って生きていたいと思います。伝えたいことがいっぱいあるのに、うまく言えませんが、本当に皆さんに感謝しています。

2021年1月4日、柏レイソルは絶対にタイトルを獲ります。みんながこの苦しんだ1年、そして来年がもっといい方向に行けるように、ここにいる最高のチームメイト、スタッフ、会社のみなさんと1月4日まで全力で戦うので、会場に来る来ない関係なく、テレビの前で柏レイソルを応援してください。

これだけは言いたかったんですけど、2018年、たくさんのチャンスをもらい、サポートをしてもらったのに、自分のプレーのふがいなさで大好きな柏レイソルを降格させてしまってすみませんでした。これだけは言いたかったんです。ずっと大好きな柏レイソルだったからあの2018年、自分がレイソルの力になれなかったことをみんなに謝りたくて。でも、今言えたんで、ちょっとすっきりしました。

最後になりますが、自分の私事で、ちょっと一言しゃべってもいいですか?あ、その前にあったんです。ほんとは手紙を用意してたんですけど、航輔が読むなって言うから、自分を見失ってました。選手のみんなにここであいさつしたいんですが、まだ終わりじゃないんで、ここではあいさつしません。1月4日までよろしくお願いします

それと家族のみんなにレイソルのユニフォームを着てかっこいい姿を見せられないのが悔しいけど、これからもかっこいい父として生きていくのを約束します。そしてこんなにでっかく健康でプロサッカー選手になれるように育ててくれた両親、小さいころから支えてくれた兄弟、本当にありがとう!

みんなとお別れするのは悲しいんですが、本当に15年間、18年間だ、ありがとうございました!1月4日ルヴァンカップ獲るぞ、柏レイソル、ありがとう!」

DAZNの下田アナウンサーが触れて下さったのがとても嬉しかったです。「降格した時の話をしていましたが、2011年、レイソルがJ1即優勝した時、菅野がケガをしていたときには、彼が頑張って優勝してますから」と。今日はフロンターレにやられ返されましたが、2011年8月の日立台川崎戦、0-2から3得点挙げて逆転した試合が、私個人的に最も思い入れの深いレイソルのベストゲームです。そのゴールを守り、勝たせてくれたのがキリでした。

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「まじめやつが...苦手」と言いながら、悩んで一生懸命しっかり考えてくれたんだろうなという公式サイト向けのコメントです。「本来ならこの日でシーズン終了ですが、幸せなことにルヴァンカップ決勝まで柏レイソルの一員としてみんなと一緒にサッカーできる時間があります」。キリと私たちレイソルにはまだアディショナルタイムがあります!