横浜FC戦
担当:大重正人
0-1のビハインドで、このまま負けるわけにはいかない、という監督の采配と選手たちの気迫、そして久々にアウェイに駆けつけて最後の最後まで後押しを続けてくれたサポーター皆さんの執念が届いて、ついにゴールネットを揺らし、なんとか勝ち点1を手にしました。
対する横浜FCは今季リーグ戦未勝利で、レイソルと同じく本来の試合がなかなかできていない状況で、今日は守備の意識が高く、GK南雄太選手からのビルドアップを目指すものの、レイソルがプレスに来る裏を狙うような動きだしやロングボールも絡めて戦ってきました。レイソルは横浜FCのビルドアップに対して「前からのプレッシングはうまくハマっていた」と監督が振り返る通り、パスコースを限定しながらのチェイシング、また縦への楔を受ける選手に対して、守備陣が激しくあたり、なかなか前進させない前半戦でした。
ただ30分すぎだったでしょうか、辛抱強くビルドアップを続けていた横浜FCに対し、少し剥がされ、そしてカバーにいかざるを得なくなった右サイドを突かれ、サイドバックのオーバーラップを許してから、相手に押し込まれる時間となりました。そしてセットプレーから押し込まれて失点。手塚選手らしい素晴らしいプレイスキックからでした。
「前半なかなか守備から攻撃にいい形で攻め上がることができなかった」。監督は前半の内容を踏まえ、サヴィオ選手を一列下げてボランチに据えました。これまでの試合ではなかったと思いますし、正直驚きの起用でした。「相手も後半に入って相当引いて守備を固めてきていたし、その中でクオリティがあって前線にボールを運べる選手を投入する必要があると思った」とその意図を明かし、そして明らかにボールの回りや支配率が高まって主導権を握りました。さらにヒシャに変えて仲間選手、本職のボランチがいないということにすぐに気づきましたが「ヒシャのところでボールを奪って攻撃を仕掛けることができていなかった。もともと攻撃的な選手である隼斗が入ってからは、サイド、中央から良い形で攻撃の崩しができていたし、しっかりボールを握れていた。二人が、守備を安定させてから攻撃につなげる役割を果たしてくれた」
そこからは、もちろん相手のどこを狙うとか、自分たちはこうやって攻めようという戦術は当然あったうえで、それを超越するような「このまま終われない」という意地や気迫、必死さがあったように見えました。上島選手のダイビングヘッド、サヴィオ選手の左足のミドル、決まったと思ったシュートはことごとくGK南雄太選手がファインセーブ。間合いの作り方、時間のコントロールを含めて、キーパーとして勝利のためにできることはやり尽くした、今日のマンオブザマッチにふさわしい仕事だったと思います。ただ、そのすばらしかった南選手の守るゴールを、最後の最後、ついにこじ開けたのは混戦から蹴りこんだ大南選手でした。
「いま自分たちは厳しい状況が続いていて、セットプレーでやられてはいけないといった注意をしていたにもかかわらず、自分のところからやられてしまったので、責任を感じていた」。新しい右サイドバックのポジションにチャレンジし、攻守にスケールの大きさを感じさせる新たな一面を見せてくれていましたが、この苦しい状況で、チームに貴重な勝ち点1をもたらした、プロ初ゴールでした。次は、勝って喜べるゴールになりますように。
「選手たちにも伝えたが、今日の試合はこの状況を抜ける兆しが見えた試合だった。負け試合ではなく勝てた試合だと見ているし、相手と分かち合った勝ち点1は、今後勝ち点を積み上げていく一歩として非常に意味のある勝ち点1であることは間違いないし、こういった拮抗した試合を取りこぼしのないように、この先私たちがやるべきことをもう一度見直して引き続き戦いを続けていきたいと思う」。簡単ではない難しい試合が続いていますが、監督の言葉や自分たちを信じ、辛抱しながらも前向きにやり抜くこと、その先に勝利があります。次は水曜、アウェイでの鹿島戦に今季2勝目を懸けます。