鹿島戦
担当:大重正人
両チームともタイトル獲得経験がありながら、今季ここまで勝利から遠ざかっている中で、なんとかこの状況を打開しようという気持ちがぶつかり合っているような前半の拮抗した戦いでした。ゴール前までボールを運ぼうとするも、すぐに守備に切り替えて、またボールを奪い返そうとする争いが続き、大きな決定機にまでなかなか至らない時間が続きました。
「前半は守備が安定していたが、ビルドアップの改善と、より守備を安定させるために」とネルシーニョ監督は仲間選手とイッペイ選手を投入し、システムを4バックから3バックに変更し、状況の打開をはかります。後半8分に背後を突かれ、痛い先制点を献上。気落ちしそうな状況でしたが、途中出場の仲間選手の気迫が一変させました。「アタルがいいボールをくれたので決めるだけでしたが、その前のプレーで全員が連動した守備ができていたので、相手のミスを誘発できた。その形からゴールを決めることができたのでチームの意識としては良い得点シーンだった」。前線からの守備で高い位置でボールを奪い、ショートカウンターを狙うというのは、ネルシーニョ監督が植え付けてきた理想的な形の一つ。染谷選手が負傷退場し先制される苦しい状況の中、すぐに試合を振り出しに戻し、まだまだ戦えるという勇気を与えた1点でした。
そこからのゲーム展開はより激しくなり、レイソルはサイドを起点に何度もチャンスを作り出しました。右からはイッペイ選手、左からは三丸選手が仕掛け、また2トップのクリス&江坂コンビもチャンスメイクにフィニッシュにと、鹿島ゴールに迫りました。後半30分以降は、3回のビッグチャンスがありました。江坂選手の左足のシュートとダイビングヘッド、また江坂選手のクロスがイッペイ選手にあっていればという場面もありました。上島選手のCKからのヘッドもありました。特に江坂選手の立て続けのシュートは決まったと思いましたが、最後の局面で身を投げ出したレオシルバ選手のブロック、GK沖選手の右足でのブロックも素晴らしく、逆転ゴールを決めることはできませんでした。最後まで死力を尽くして選手たちは戦い抜いてくれたと思います。ですが最後踏ん張りきれず、力及びませんでした。
今いる選手たちの特徴と、相手を分析した上で、変化や微調整を加えながら、ネルシーニョ監督以下チームは懸命に戦っています。攻撃も守備も形となってきている部分も見られますが、勝利という結果には届かない試合が続いています。「ここで下を向いても仕方がないし、ひとつになって戦っていくしかない。ここでバラバラにならず戦っていきたいです」。ゲームキャプテンを務める江坂選手もピッチやロッカーでも声をかけ、勝利という結果を出すためにやれることを続けています。苦しい今だからこそ、我々チームが前を向いて、最後の最後まで戦う姿勢を応援してくれるサポーターの皆さんに見せなければなりません。次は日曜日、3月21日以来のホーム日立台でのガンバ戦です。