2021年8月10日

神戸戦

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担当:大重正人

待ちに待った先制ゴールの余韻も冷めないうちの同点ゴール。ホームスタジアムの盛り上がる雰囲気にいろんなことが頭をよぎりましたが、一方でノエスタのメインから向かって左側のゴールには、大津選手とか、2年前のこの8月の三原選手とか、頭が真っ白になるような劇的な決勝点が決まったことも思い出しました。最後まで全員が信じて戦った結果、最高の結末が待っていました。

イニエスタ選手を中心にボールを保持して運んでくるヴィッセルに対して、レイソルは常にネルシーニョ監督が繰り返す「組織的な」守備で応戦しました。立ち上がりを過ぎると、相手がポゼッションして押し込まれる苦しい時間帯に。この時間帯を無失点で落ち着いて耐えられたことが大きかった。敵陣でのビルドアップ、2センターバックとボランチの1枚が絡むところに、ペドロ選手、そしてこの日レイソル初出場の武藤選手がプレッシャーをかけ、自陣では5バックと中盤で中央のエリアをクローズして、決定的な場面を作らせません。

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3ヶ月分ぶりの出場となったDFエメルソン選手、いいプレーを見せてくれました。対面するFWに激しく応戦して跳ね返すだけでなく、ビルドアップの際には相手のプレッシャーがかからない良いポジショニングをとり、右サイドからボールを前進させて敵陣へ。後半にはオーバーラップから目の覚めるようなロングシュートも。惜しくも相手GKの攻守に阻まれましたが、攻守に渡り、今後の活躍を期待させる活躍でした。ネルシーニョ監督も「いいポジションを取りながら対人のところは厳しく、攻撃ではボールをしっかり動かしながらアクセントをつけることもできていた。この3ヶ月ゲームに絡めなかったのは彼の状態が戦術的な部分・技術的・体力的な部分も含めまだ100%ではないという状況にあったが。その間もしっかりといい準備をしてくれて出場機会が訪れた。こういった機会がくるであろうと信じて準備していたと思う」と大きく称えました。

公式記録を振り返ると、ヴィッセルのシュートは前半1本、後半5本。レイソルは前半4本、後半9本。ボールポゼッションは6割半ほどで相手優位でも、強固なブロックを作ってカウンターに出ていくという狙い通りの戦いができていた証拠でしょう。ついに実った後半20分。相手のキーマン、イニエスタ選手にプレスバックした武藤選手、「イニエスタ選手からボールを奪ったところからだったが、サンペール選手とイニエスタ選手が真ん中でボールを受けるので、フォワードの選手もそこにしっかりとプレッシャーをかけるようにというのは監督にも言われていた。そこで取ってからのカウンターという形で、狙い通りだった」というナイスカットからのミドルカウンターでした。前向きにボールを奪って、一気に前に。ペドロ選手がタメを作り、左サイド三丸選手への展開からのアーリークロス。最後は高く上がった難しい浮き球を、クリスがしっかり叩きつけてキーパーの脇を見事抜きました!このシーンを見返すと、ボランチの椎橋選手を含めて、4人がクロスに飛び込んでいました。守備に追われながらも好機を見逃さず、そして体力的にも厳しいところでの見事なカウンターでした。

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同点とされてから。苦しい時間帯でしたが、ネルシーニョ監督が次々と選手を投入。高橋祐治、瀬川、三原、そして細谷選手。それまでハードワークしてゲームを作ってきた先発選手たちのゲームボリュームを落とさないよう、試合をつなぎます。そしてアディショナルの5分でした。GKキム選手からのボールが起点でした。ここで素晴らしかったのが瀬川選手でした。フェルマーレン選手を背負いながら懸命のキープ、三原選手のサポートから細谷選手へボールがつながるところで、相手よりも先に立ち上がってさらに前方の最高のスペースへ飛び込んで行きました。おそらく「ミツー!!」と呼びながら。前半の椎橋選手のおしいヘッド、そして先制点と、高い精度を誇っていた三丸選手の左足から最高のパスが通りました。瀬川選手は首を振って寄せてくる相手の動きを見て、瞬時に回避。右サイドのクリスへ送り、実質キーパーとの2対1の場面を完璧に演出しました。

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「クリスはシュートを打つかなと思ってました」。試合後の細谷選手は笑顔をこぼしました。GK飯倉選手も思い切り飛び出して行きました。先制点の場面と同じような角度でしたし、今日だけでなくこれまでどんな場所からでも狙ってくるクリスの積極性が刻まれていたのではないでしょうか。そしてクリスはここぞの場面で冷静でクレバーでした。大事に大事に流し込んだ細谷選手、「クリスが上手く自分を見てくれていて、あとは流し込むだけだった。やはり今チームが苦しい状態だったので、チームの勝利に貢献できたことが一番嬉しい。今は途中出場が多いけれど、結果を出していけばチャンスは来ると思っているので、そういったチャンスを自分のものにしていきたい」。

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上位チームとの対戦が続きます。次は首位、川崎フロンターレ戦です。相手のクオリティーの高さ、勝負強さは結果が示している通り言うまでもありませんが、この日下位チームが上位チームを倒す試合が続いたように、3ポイントを狙えるチャンスは必ずあります。今日よりももっと厳しく急所を突かれるかもしれませんが、ヴィッセル相手にこれだけやれた、ハードワークできたという自信を胸に、川崎→鳥栖という上位相手の連戦に挑んで行きます。日立台のホームの力、選手への後押しを引き続きお願いいたします!!