天皇杯ファイナル
担当:大重正人
きょうの国立競技場、62837人の観客数は大会決勝レコードとなりました。黄色と水色に塗り分けられたスタンドは最高の決勝戦の雰囲気そのままでした。試合前、陸上自衛隊中央音楽隊のみなさんによる応援歌の演奏がありました。レイソルは、おなじみ宇宙戦艦ヤマトのテーマ。リズムに合わせて、スタジアムの右半分がイエローのエリアのタオマフが舞い、演奏が終わったあとは最高の雰囲気でした。よさこいと和太鼓によるパフォーマンスも素晴らしかったですし、今日はきっと良い試合ができる、そんな予感のする試合前でした。
事実、「自分たちの戦い方ははっきりしていましたから」と立田選手の言葉通り、前線の選手がタイミングよく相手の背後をとり、立ち上がりからフロンターレを自陣にくぎ付けにしました。CKも6本ぐらいあったと思います。ピッチ状況もあってか、フロンターレのパスワークvsレイソルのプレッシングという構図は、試合を通してレイソルが優位だったと思います。レイソルのチェイスに、相手のパスがラインアウトする場面がとても多くありました。
レイソルの守備がしっかり機能したまま、0-0で試合は推移していきます。後半になり、レイソルにビッグチャンスが何度か訪れました。細谷選手といういまや絶対的なトップが相手を蹴散らし、ゴールへと迫りました。「倒れていたらDOGSO(決定機会阻止による退場)だったかもしれませんね。でもあそこで倒れないのが彼の凄さでした」。メディアの方からも、マオに向けて最大限の賛辞があった一方で「自分が決めていれば勝てていた。ミスをしてドリブルが大きくなってしまった」と、チームを優勝に導けなかった悔しさを強くにじませていました。
しかし、相手GKのチョンソンリョン選手のセーブがそれを上回った、相手を褒めるべき、そういう高いレベルの紙一重の勝負だったとも思います。延長終了間際のレイソル松本選手のビッグセーブもこの試合最大のプレーでした。PK戦、決められれば敗戦と追い込まれたところから2本連続セーブで、レイソルの優勝をすぐそこにまで引き寄せました。両チームGKのすばらしいプレーによって、これほどまでに最後まで緊迫した決勝戦になりました。
最後の場内一周、マツケンは自分たちを待ってくれていたサポーターの姿に涙をこらえきれませんでした。率直に言えば、あの表彰式、優勝したフロンターレの歓喜を見続けるのは、これほどまでに戦い、倒れた選手たちには酷なことでしたし、それはサポーターの皆さんも同じ気持ちだったことでしょう。でも、決勝戦まで勝ち残れたからこそ、決勝戦でしか味わえない悔しさを彼らは今日感じることができた、一生忘れようがないはずです。それは私たちも一緒です。次こそ勝ちたい、サポーターと一緒に喜びたい、そう思ってみな目をそらさず、目に焼き付けました。そして今日のレイソルの選手たちを誇りに思います。胸を張ってほしいと思います。
その表彰式が終わるまでスタンドで待ち続けて下さったレイソルサポーターの拍手、そして温かい声に、マツケンをはじめ選手たちは期するものを感じたはずです。日立台で常日頃から受けていた声援が、さらに国立競技場で、こんなにも多くのサポーターに自分たちは応援してもらっているんだ、と。今年1年、常に支え続けてくれた皆さんに、来年こそ多くの勝利を届けなければいけない。それが選手たちの、柏レイソルの使命です。辛くもJ1残留となりましたが、そこにまでたどり着いた力、フロンターレに対し前半のシュート数は11対1、試合を通しても19対7と優位に進め、最後まで失点しなかったという力、十二分に戦える力をしっかり知らしめたと思います。だからこそ「来季」です。同じことを繰り返さず、攻守で着実にレベルアップしていけるよう、チーム編成やキャンプからのトレーニングを進めていかなければいけません。
明日のファン感謝デー、優勝カップを日立台に持ち帰って迎えたかったです。しかし井原監督からも「明日は今年応援してもらったサポーターの皆さんにしっかり感謝を伝えよう」と選手たちへの言葉がありました。今年最後の活動日、われらの家「日立台」で思い出となる一日を一緒に過ごせたらと思います。柏レイソル一同、お待ちしております。今日は最高の応援をありがとうございました。