フリーキック秘話
本日の担当:横井孝佳
最近電話を受けたり、声を掛けられるたび、ほとんどの方が第一声で「調子いいですね、レイソル!」とおっしゃってくださいます。ありがとうございます。
開幕からリーグ戦とカップ戦通算で3勝1分。練習試合を含めれば、今季通算で対外試合10勝1敗4分ですから、結果を見れば調子がいいのは歴然です、今は。
そう、今は調子がよくても、それが1年続くとは限らない。昨年のJ2、心身ともに極限状態までしんどくなった第3、第4クールの戦いの日々を思い出せば、「このまま行ける!」と楽観できるはずもない。“調子が悪くなったときにどう乗り切るか”。そのとき、真のチーム力が試されるはずです。ここで言うチーム力とは、われわれフロントスタッフやサポーターの皆さんも含めた総合力のことですよ。
幸い、今のチームに浮ついた空気はありません。「勝点45」を目標に、挑戦者の心意気を忘れず、日頃のトレーニングから全力を尽くそうという雰囲気が漂っています。
唐突ですが、昨日のナビスコカップ、ホントに勝ててよかったなと思うのです。
なぜなら、練習で頑張っている選手が結果を出したから。ほぼフルメンバーと言える清水を相手に、水谷選手、小林祐三選手、石川選手、永井選手、阿部吉朗選手、谷澤選手、李忠成選手、小林亮選手、ドゥンビア選手ら、リーグ戦でスタメンから外れた選手が出場し、それぞれいいところを見せてくれた。
練習で骨惜しみせず頑張ればチャンスをもらえる、そして自分たちがやろうとしているサッカーはJ1でも立派に通用する。そういう自信を得られたと思いますし、今回惜しくも出場できなかった選手も、「もっと頑張ればいつかチャンスが巡ってくる」と闘志を新たにしたことでしょう。そこまで計算してメンバーを組んだ石さんに、またまた畏敬の念が沸いてくるのです。
個人的には、俊太くんが活躍したことがとてもうれしい。昨年来、彼の明るさに、何度助けられたことか。
フィジカルが弱いというイメージで語られてきた印象がありますけど、昨日は相手に当たり負けすることなく、頻繁にサイドチェンジパスを繰り出し、「中盤でのサイドチェンジ」というチームの狙いの一つを見事にやり遂げた。このところ出番に恵まれなかったにもかかわらず、しっかりと練習に取り組み、石崎サッカーを体現してみせた。
そんな選手にスポットが当たるのは、裏方としてうれしいものです。
その俊太選手、試合後冗談めかして怒ってました。菅沼選手に対して。
後半、菅沼選手が左足で惜しいFKを放ちましたよね。鋭く弧を描き、ゴールマウスの左上を掠めるように外れた、素晴らしくも惜しいシュートでした。
FKは永井選手の得意科目。近藤選手の、オフサイドに終わった幻のゴールも、永井選手のFKが起点でした。じつはあのFKも、俊太くんが蹴ろうとしていたらしいのです。間合いを計っていたら、「あれ、俊太くん蹴らないのかな?」と思った実くんが「行っちゃえ!」と蹴ってしまったと。
それを聞いた後で、スポーツニュースで確認してみたら、確かに俊太くんが一歩踏み出している。わたくし、夜更けの会社のテレビの前で大笑いしてしまいました。
実くんはチュンソンにも「(オレはレフティなんだから)左取らないでくれる?」なんて責められてました。とはいえ、責められている実くんも含めて、皆笑顔。勝利の後、クラブハウスでのほほえましい風景でした。