横浜FC戦
担当:大重正人
7月、ホームで3失点の苦杯を喫した横浜FCに、今度はアウェイで3得点の勝利。前回の借りを返すことができました。
今日は私たちが待ちに待っていたクリスティアーノ選手が復帰し、そしてオルンガ選手と2トップを組むという、夢見てきた組み合わせがついに実現しました。立ち上がりの5分、中盤でボールを受けたクリスの前方で、ミカが敵陣のスペースへ駆け出します。見逃すことなく出された浮き球をおさめ、まるで開幕の札幌戦を見るようなミカの最もストロングな面が発揮された先制ゴール。
「三原選手からいいボールが入ったのでうまくディフェンスラインの裏にボールを出し、ミカが得点することができチームの勝利に貢献することができた。」
「クリスからの良いボール、アシストがあって初めの決定機を決めることができた」。
クリス→ミカのホットラインの復活。今日は江坂選手が欠場した中、代わりに出場したクリスがしっかりを仕事を果たしてくれました。58分間の出場でしたが「やはりクリスティアーノが前線にいることで相手の脅威であることは間違いない」と監督も大いに称えた柏のもうひとりのエースが、10月から大暴れしてくれそうです!
これは、ミカの先制点のあとのシーンです。この強烈な2トップに対し、横浜FCは4バックの2センターバックが同数で構えています。ミカとクリスに対し、同数で対応するのは簡単な仕事ではないと正直思いましたが、それでも後ろに人を余らせず、攻撃的な姿勢をキープする下平監督。一方で、1トップではなく、2トップをそのまま前線に残して、追加点のチャンスを伺うネルシーニョ監督。形は違えど、攻撃的精神を忘れず、自分たちのスタイルやプランを貫こうとする両監督の信念。ピッチ脇からたいへん興味深く見させてもらいました。
ただ、1点リードで後半に入り「前半はレイソルの左サイドのところで起点を作られてから攻撃を仕掛けられるということが続いていたので、そこの修正を加えて選手たちを送り出した」という、勝利のために最善の手を考え即座に手を打つネルシーニョ監督の戦術も、また監督らしさが現れていました。前ががりなって攻め込む横浜FC、その裏をカウンターで狙うレイソル。アグレッシブでゴール前の攻防の多い、白熱の後半戦が続きました。
前節のマリノス戦。1-0から1-3とひっくり返された試合が頭をよぎりました。ただ、攻め込まれてもしっかりゴール前で跳ね返すDFラインは本当に頼もしかった。今日のGKスンギュ選手からはゴールを割られそうな雰囲気を感じさせない堂々のプレーでした。相手の左サイド、前節2ゴールの松尾選手の仕掛けは、古巣相手に意気込んでいた北爪選手が走力自慢の他攻防で奮闘。神出鬼没、変幻自在のレアンドロドミンゲス選手を監視し続けたボランチたち、また後半30分のカウンターのピンチに駆け戻った三丸選手の帰陣もすばらしいプレーでした。
そうした守備陣の粘りが、最後の2得点につながりました。今季リーグ戦2度目の先発起用だった川口選手は守備から一転して、果敢な攻め上がりも見せていました。後半31分にはアーリークロスからミカの2点目をアシスト、アディショナルタイムにはファーへのクロスを大谷選手がヘディングシュートでダメ押しの3点目。「どちらも決めてくれた人が上手かったのでラッキーでした(笑)」と謙遜していましたが、それでも守備だけにとどまらず、すばらしいスピードとスタミナで駆け上がった攻撃精神が2アシストを生み出しました。
そして、今日一番驚いたのは、古賀太陽選手のゲームキャプテンでした。プロになってからは当然初めて、彼も同じようにたいへん驚いたようです。「ロッカーに行ったらキャプテンマークが置いてあったんです。びっくりを通り越してました。これ間違えてないよな?と思いながら、いつもより緊張してました」。ただそんな心のざわつきのようなものはまったく感じさせない堂々のプレー、ユースの恩師であるシモさんの前で成長の姿を見せられたのではないでしょうか。
「今日こうしてキャプテンマークを巻かせて頂けてとても光栄でしたし、実際に巻いた時には身の引き締まる思いでした。今日は何より試合に勝てたことが一番ですし、チーム全員の力あってのことだと思っているので、皆に感謝の気持ちでいっぱいです。引き続き試合が続くので少しでも多くの勝ち点を積み上げられるようチーム全員で戦いたいと思います」
若手の心身の成長、移籍加入組のフィット、健在のベテラン、負傷者の復帰。決して万全の状況ではないなかでも、こうした様々なポジティブな要因をつなげ、後半戦に向けて、そして水曜日のルヴァン準決勝、マリノス戦へ大きな弾みのつく勝利となりました。リーグ戦の雪辱、そして国立ファイナルへ、レイソルは前をむいて突き進んでいきます。キャプテンにこうして集まってくる選手たちの顔を見ていると、今日はいい試合ができたんだなあとしみじみ思えてきます。