山形戦はドロー
担当:大重正人
0-0のスコアレスドロー。シュート数はレイソルが12本、山形が10本。記録自体は激しく打ち合ったという数字ではありませんが、レイソルがオフサイドを取ったものの山形のシュートが2本ネットを揺らしましたし、両チームが走りあって、球際でぶつかり、攻め合って、90分死力を尽くして激しく戦いあったというゲーム。勝ち点1の痛み分けでした。
立ち上がりからの山形らしいラッシュのなか、まず輪湖直樹選手のファイトが目立ちました。8月12日の神戸戦で頭部を強打して、脳震盪の診断。「少し頭痛が続いたりして」と静養する期間が続きましたが、徐々に身体を動かし始め、控えていたヘディングも慎重に再開して、約40日ぶりのゲーム復帰を果たしました。「試合勘が心配だったけれど最初の入りから、すんなりと入れた。最初のヘディングの時は恐さがあったけれど、それを乗り越えてからは大丈夫だった」。相手の大柄な前線の選手に対しても、小さな体で勇敢に挑み、足元深くへタックルやチャージを見せ、持ち前の「闘う姿勢」を見せてくれました。
山形は守備的なシステムでなく、前線に枚数をおき、またサイドの選手が勢いよく飛び出してくることで、レイソルは難しい守備の対応を求められました。そんな中、経験豊かなベテランが中心となって無失点に抑えました。
7月11日鳥栖戦以来の先発となった近藤直也選手。「後ろの枚数が足らない場面もあったが、クリさんがうまくカバーして枚数を増やして、なんとか防げた。クリさんがサイドに釣り出されたときは、タニを戻すようにしたり、流れの中で話し合ってやれた」。大谷選手も空中戦に強いアルセウ選手に渡りあい、相手の決定的なラストパスをたしか2回カットしましたが、これも大きなプレーでした!
その栗澤選手の起用やプレーについてメディアから吉田監督へと質問がありました。
「1月からトレーニングを地道にやって、本当に小さなことをコツコツ積み重ねてきて、いつ行っても大丈夫だと。若い選手がたくさん出てくる中で、その中でもめげず、腐らずやり続けてきた。練習のパフォーマンスや目の色を感じ、山形という事故の起こりやすい、たくさんの予想できない危険がはらんでいるようなサッカーになる中で、クリが今まで積んできたもの、彼の経験というもので、今日はチームの真ん中にいてほしいと思った」と起用の意図、今日への期待を話しました。72分までのプレーでしたが、危険を察知し、自分の判断で空いたポジションを埋め、時にはハードにぶつかりに行く。彼の特徴が発揮され、チームの粘りと踏ん張りをもたらしました。
相手のシュートがポストに当たり、またカウンターからのピンチ、際どいオフサイドもありました。レイソルにも大きなチャンスがありました。前半35分、左サイドから中央の大谷選手へ。ここですばらしい縦パスがゴール前に入り、相手DFの間から工藤選手が抜け出します。トラップを決め、GKの脇を抜くアウトサイドのシュートはほんのわずか右へ。また後半10分、右サイドでのパス交換で起点を作り、クリスの鋭いクロス。中央でボールウオッチャーになった相手DFの背後から、完璧なタイミングで工藤選手がボレーシュート。「これは決まった!!」という一撃は、無情にもポスト直撃。ともにシュートまでの作りや動き出しが完璧だっただけに、エースには大きな悔しさが残りました。次こそ、勝利を呼び込むエースのゴールを!!
0-0のスコアレスドロー。勝ち点1は得たものの、日立台のスタンドからはブーイングも聞かれました。後半開始のときには「柏から世界へ」の応援歌が歌われました。この日の一戦がどういうものか、ACLで敗れ、再びACLの舞台へ立つために再スタートを切った一戦。それを強く肝に銘じてピッチに入った選手たちに、改めて思い起こさせるような応援がありましたが、結果として現在最下位のチームからホームで勝ち点1しか取れなかった。勝ち点25で首位を争う、広島と鹿島の差を3に縮めるチャンスを逃してしまった。このサポーターの声と思いを受け止めなければいけません。「それが当然とか、残念とか、そういうことではなく、応援してくれていることは事実で、それだけ期待値も高まっている。『もっとやれよ』と」(吉田監督)
次は、9月26日、アウェイ万博でのガンバ大阪戦。上位を争う強敵のひとつが相手ですが、1点を奪い、1点を守り、1点にこだわって、勝利にこだわる姿勢を。残された6試合でこれまで以上に見せなければいけません。