ACLベスト8!
担当:大重正人
アディショナルタイム。GK菅野選手がボールを保持してタイムアップの笛が鳴った瞬間、水原三星の青いユニフォームがピッチに崩れ落ち、あおむけにバタバタと倒れる光景。レイソルの選手たちの喜ぶ様子、ウォームアップからタイムアップまで、レイソルを後押しし、相手を圧倒し続けた黄色のサポーターが歓喜に立ち上がる様子。深く一礼する水原イレブンに向けて起こった場内の拍手。第1戦で見せられた強さは日立台でも変わりなく、非常に強敵でした。今日の90分、まだノックアウトステージの途中ですが、両チームがこの試合に挑む意志の強さ、また非常に大きなものを懸けて闘っていたことを改めて深く感じさせられました。
1-2。今日の90分は敗れたものの、3-2で勝った第1戦アウェイと合わせ、1勝1敗。合計スコアも4-4で並びましたが、敵地でのアウェイゴールを3つ奪ったレイソルが、このラウンド16を勝ち上がりました。
水原のキャプテンであり、大黒柱であるヨムギフン選手が負傷するアクシデントが起こりました。吉田監督は「ヨムギフン選手が立ち上がりに負傷退場して、彼らの武器、大きなストロングポイントがなくなったことは我々にとっては幸運だった、と言わざるをえないようなレベルの選手でした。ただそこから両ワイドにアタッカータイプの選手が入ってきて、そこに多少苦しんで何回もサイドを割られた。変わったことによる想定外のことも起こりました」
最低でも2点が必要な水原の迫力ある攻守に、レイソルもどちらに転ぶか分からない戦いを続けますが、左サイドからの大きなクロスを、第1戦と同じく鄭大世選手の強烈なゴールが決まり、1-0。後半立ち上がりには、CKからのこぼれ球を必死に跳ね返しますが、最後押し込まれて2-0。これで第1戦のリードは逆転され、レイソルはまさに窮地に追い込まれました。
「でも1点を取れば進出できる状況だったので、あきらめずにゴールを狙っていった」という小林祐介選手。先週の水原では頭部が腫れ上がるほどの衝突を受けながら、今日も球際での勝負に全身で果敢に飛び込み「相手が来るということは分かっていたので、そこで怯んだら負けだと思っていました。怪我をしようが思いきってやろうと」と気迫十分のプレーが目を引いていました。そして20分、左サイドからクリスティアーノ選手の見事なパスからレアンドロ選手が中央から飛び込んでシュート、GKにブロックされたところを小林選手がダイレクトで蹴りこみました。
吉田監督は、彼の中学時代に一度指導し、そしてトップチームで再び監督と選手の関係に戻りました。「彼は去年、ここの夏の新潟戦でデビューを飾り、成長を続けている選手の1人です。もちろん経験値で言えばまだまだ浅いですけど、ボールを奪う力、ボールを前に運んでいく力、あとはセカンドボールがこぼれてくる場所を嗅ぎわける力というものは、経験ある選手と比べても見劣りするものではないです。また、ある程度の舞台に立たせても自分のやるべきことは全力で出し切るファイターですね、ファイター気質を持っているので、これからちょっと荒い部分を丁寧にしていく。あとは今日は点をぶち込みましたけど、キックの部分、ボランチとして、中盤の選手として、キックの質がより上がってくると、もう1ランク上に行ける準備ができている選手だと思っています」。メディアから求められた彼への評価についてこうコメントしました。
そして、この2試合、ラウンド16を勝ち抜いたこと、そしてここまでのACLの戦いを吉田監督が振り返りました。
「まずホーム&アウェイの2試合を終えて、勝ち抜けたことに安堵と喜び、両方を感じています。今日は水原の圧力を終始感じながらの90分というなかで、ウチも選手の配置、ボールの動かし方、守備の仕方を少しずつ修正しながら、うまく時間を凌げたり、プレーを進められた時間もありました。
ただこの勝ち抜けたということに関しては、非常に我慢強く、おそらくこれぐらい攻め込まれるだろうと予想された展開の中で、最後ネットを揺らさせずに、準備してきたカウンターでゴールを脅かしたという選手の頑張りは評価したいと思います。選手たちは良く戦い、走ってくれた。このあと8月の終わりに次のラウンド8になりますが、いったん今夜でACLモードはスイッチオフにして、Jリーグに向かおうと選手にも話しました」
今日行われたラウンド16の東地区、北京国安vs全北現代はアウェイの全北が1-0で勝利し、全北現代が2戦合計1勝1分でベスト8へ。明日はガンバvsFCソウル、広州恒大vs城南の第2戦が行われ、ベスト8の東側半分が出そろいます。そして来月6月18日の組み合わせ抽選により、準々決勝以降の対戦が決まる状況です。
そして、Jリーグは5月30日にアウェイFC東京戦、6月3日にホーム浦和戦、7日にホーム広島戦と、現在リーグ上位5位以内の強敵との連戦が控えています。明日からは切り替えてリーグ戦へ。アジアで見せているレイソルの力を、今度はJリーグで。引き続きのご声援をどうぞよろしくお願いいたします。今日は平日にも関わらず、9000人を超えるサポーター皆さんの応援、大変ありがとうございました。