2021年8月29日

横浜FC戦

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担当:大重正人

立ち上がりから優位に進めて1-0とリード。しかし、一発のセットプレーで同点に。そしてクリスが勝ち越しのPKがまさかの枠外に外れてしまいました。

今日のポイントは、ここでどれだけ気落ちせずプレーできるか。そこに尽きると思って、試合を見ていました。今日のレイソルは、守備に追われたここ数試合と比べ、攻守にわたって見違えるようでした。だからこそ、焦らずやり続ければ必ず結果が出るはずだと信じられました。そして、こういう時のクリスは、必ず自分で借りを返してくれるとも。こういう時にこそやってくれる男だと。たしかそんなシーンが記憶にありました。いつだったかなぁ?という疑問は、オフィシャルライターの鈴木潤さんが試合後の会見で「2016年の鹿島戦で同じようなことがありましたね」と解き明かしてくれました。

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クリス自身も「ミスは起きてしまうものだが、私自身PKを外した後に集中力を切らしてはいけないと思っていた。前半も後半も良い形で攻撃が作れていたので、PKを外したからと言ってそれを全て台無しにするわけにもいかなかった」。決勝点の場面は、クリスが瀬川選手へ鋭い縦パスを送り、すばらしいトラップからキープ。「セガワー!セガワー!と大きな声で彼が分かるように呼んでいた」という声に瀬川選手が優しいベルベットパスで応えると、クリスらしい豪快かつ強烈な一発が柏熱地帯のゴールネットに突き刺さりました。

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横浜FCの選手が「今日はビルドアップで3バックの優位性を活かせなかった」と試合を振り返っていましたが、細谷選手、瀬川選手、そしてクリスティアーノ選手がコースを限定したり、プレッシャーをかけたり、それに中盤の選手が続いて、何度も前向きでボールをカット。そして得意のカウンターに結びつけていました。球際のファイトでも、前向きに走り出すスピード、運動量も相手に勝っていたように見えました。

ネルシーニョ監督もハーフタイムに「やれていることを継続すれば自ずと結果はついてくる」と選手たちを自信付け、後半戦へと送り出しました。「後半も、ゲームテンポと活力も衰えることなく、非常に良い入り方ができた。序盤からの選手たちの献身的な闘いぶりと仲間意識というものが今日の結果をもたらしたと思う。チームとしての今日の戦い方は勝点3にふさわしかったと思う」と胸を張りました。

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誰もが勝者にふさわしい働きを見せていたことは間違いありませんが、でも今日は戸嶋祥郎選手を取り上げたいと思います。前線のプレッシングをうけて、判断良く、そして思い切りよく縦パスにアタックし、そのまま奪いきってカウンターへ。またレイソルのカウンターのピンチには懸命に帰陣して、相手に食い下がる場面も光りました。そして、瀬川選手の先制ゴールにつながるボレーシュートも放つなど、攻守にわたる大きな働きを見せてくれました。

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去年の大きな負傷から復帰して、初めての90分フル出場。試合後の会見にはサチを呼ぶべきだと、真っ先に思いました。そこでこんな話がありました。「徳島戦を終えて監督から、1対1でボールを奪いきったり、ボールにチャレンジをするところができていない、本来はそこにお前の良さがある、と喝を入れられました。後がないと思い、より気を引き締めました」。

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ネルシーニョ監督にも、サチについての質問が寄せられると、これほどの言葉が返ってきました。「祥郎は徳島戦が終わった後に、長期戦線離脱を強いられていた分、なかなかゲームに入れていない印象を持った。球際のところで、本来であればもう1歩2歩足が伸びるところで、もう少しアグレッシブに守備にいけるのではないかと話をした。1年近く足の複雑骨折で戦線離脱していた選手なので、「この現状を心配することない、ただただ思いきりやってほしい。毎試合自分の力の100%でやってくれ。それを積み上げていくことでしか、自信や技術的な部分・戦術感もリカバリーしていけない。60分でも70分も自分の力を出し切ってほしい、それがいつか100%になる」と話をした。今日は見事100%で90分戦いぬいてくれ、且つ非常にゲームの中でキーになる活躍をしてくれ、素晴らしい出来だったと思う。戦術的な理由で代えなければいけないことがあるかもしれないと伝えていたが、良い意味でこちらの期待を裏切ってくれた。非常に素晴らしい出来だったと思う」

そして、会見の順番を待つサチのそばを監督が通りかかると、直接こんな言葉も贈っていました。
「今日のお前は、オレの知っているサチだったぞ」。

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