2010年9月12日

日立台

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担当:大重正人

今日はたいへん暑い中にもかかわらず、開場前から多くのみなさんがゲートに並ばれました。「日立台ドリームマッチ」と題したOB戦をご覧いただけるよう、急きょ開場を5分早めましたが、大変珍しいことです。これまでレイソルをずっと応援いただいてきたサポーター方々の熱く、温かい思いが、拍手と声援に代わって、ピッチに表れた選手たちに注がれました。そして選手も観客も、みんながニコニコしているように見えました。レイソルを愛し、ずっと関わってきたみんなだから作り出せた幸せな空間でした。

しかし、選手は楽しむだけじゃなく、「やっぱり勝ちたい」と勝負にこだわっていたのは、元選手としての矜持でしょう。相手は一回り以上若い選手がほとんど。体力で劣ってしまいます。スタンドで見ていた小林選手と仙石選手は「パスやポゼッションがやっぱりうまいです。無駄に走らないで、少しずつつないで、押し上げながら相手の陣地まで攻め込んでいるのはすごい。でもトップにボールが入ってから、追い越す動きがまったくないですけどね(笑)。そこまでパワーが残ってないみたいですね(笑)」

しかし随所に見せ場がありました。渡辺毅、根引選手の高く力強い守備、そして「後半には間に合う」と長野からわざわざ駆け付けてくれた薩川選手。右サイドからの突破で魅せた酒井&渡辺光輝選手。吉田、下平選手の展開力は、まさにレイソルアカデミーに受け継いでいるパスワークそのまま。永井選手のスルーパスはやっぱり変わらず美しい。1トップ平山選手のキープ、スルーパス、クロスバー直撃のFK、そして決定的チャンスでの宇宙開発キック...。「パパ、がんばって?」と50分間ずっと続いていた愛娘の声援にはゴールで応えられませんでしたが、やっぱり華のある黄金の左足は健在でした。そしてクロスを押し込んだ広庭選手、CKから根引選手のヘディングで2-0と見事な勝利。またいつか、こんな夢のある一戦が実現するといいですね?

トップチームは、5月同様にカターレに土壇場まで追いつめられました。「相手は自分たちと同じシステム。マンツーマンのようだった」と今回も研究されていたと選手たちは口々に振り返りました。前半は、本当にプレーしづらそうな時間が続きました。ハーフタイムに「もっと闘え!!」とネルシーニョ監督の激しい檄を受けた選手たち。そこに投入された北嶋選手が、試合の流れをグッと引き寄せました。得意のポストプレーはもちろん、裏へのスルーパスにも反応してクロスを入れるなど、前線でのプレーメイクがすばらしかった。

ゴールが生まれず、引き分けも覚悟した後半終了間際。41分、ペナルティエリアで倒されて起き上がれない酒井選手を「時間がないんだぞ!」と強引に抱き起し、最後の苦しいところでイレブンをもう一段鼓舞した振る舞い。昨年の大分戦で菅沼選手を起こしたシーンを思い出します。近藤選手とのアイコンタクトでクロスを呼び込み、ホジェル選手にヘディングでアシスト。出場機会に恵まれなかった2人が、この土壇場で大きな仕事を成し遂げ、ホジェルがキタジを抱き上げるシーンが今もまた思い返されます。

しかし林選手、工藤選手、田中選手を含め、彼らは試合が始まるまではライバル。でもいったん試合が始まればチームの勝利のために、相手をサポートし合い、1点をめざして戦う仲間。複雑です。「アシストはしたが、やっぱり点が取りたかった。ゴールを取った選手が偉いので、今日はホジェルが一番です。」キタジは、やっぱり悔しがっています。先発の2人も悔しさは一緒でしょう。これから彼らはまだまだ競い合って、チームを強くしてくれるはずです。

18歳からアラフォーまで。今日は本当にいい試合を見せてもらいました。これからもこの日立台でレイソルの黄色い血を受け継いでいく選手、スタッフたちに感謝したいと思います。

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