「幸せ者」
担当:大重正人
大きなニュースをリリースしました。まず今日は、ネルシーニョ監督とレアンドロ ドミンゲス選手の契約更新をお知らせいたしました。ブラジルから遠く柏に来てくれたこの2人が、ピッチの外側と内側から、今季の柏レイソルの躍進を支え続けてくれたことは言うまでもありません。来季J1で戦うには絶対に欠かせない主柱が、2011年も仲間でいることは、我々もサポーター皆様も大変心強いことでしょう。
8日の後援会パーティーでチームの大きな行事は終了し、9日朝に柏を出発。レイソルバスに、監督以下、エドゥーコーチ、そしてブラジル人選手と、その家族が一緒に乗り込んで「とても賑やかでしたよ?(公文通訳)」と一路成田へ。来月中旬の再来日まで、今年1年の疲れをとって、家族サービスもたくさんこなして、最高の英気を養って。そしてまた来年、レイソルの一員として共に闘っていきましょう!!
そしてチームを離れる選手もいます。栃木SCへの期限付き移籍が決まった渡部博文選手。パク、近藤のセンターバックコンビは大きな壁ではありましたが、日々のトレーニング、井原コーチとの居残り練習で努力を続け、トレーニングマッチを重ねる中で、力を付けてきたからこそ、シーズン終盤になって、初出場初先発のチャンスをつかみました。
天皇杯ガンバ戦のあと、中2日の連続アウェイ、負傷者が続出、近藤選手が出場停止という苦しい状況で、初出場を感じさせない堂々のプレー。大きな体格を生かした力強いヘディング、両足共に長短のパスを使いこなし、ビルドアップの起点にもなれる現代型のDFです。栃木SCとは、今季2試合で2引き分け。チームワークが大変良く、組織的な守備がとても印象的でした。そこに渡部選手がどう割って入るか。「栃木SCのJ1昇格に貢献して、成長して戻ってこられるように頑張ってきます」。試合経験を積めば、もっともっと成長が見込める弱冠23歳。レイソルと同じ黄色のユニフォームをまとって戦うナベに、来年も変わらぬ声援をよろしくお願いいたします。
そして3日前の8日、藏川選手の契約満了を発表いたしました。皆様へのお知らせが最終戦、最後のトレーニングの後になってしまいましたことを深くお詫びいたします。一日も早くという思いはありましたが、結果的にサポーターの皆様に一目会う機会を設けることができず、申し訳ありません。
最初はすっごくしゃべりづらかったけど、いつの間にか犬の話とかで、気兼ねなく話せるようになってました。つかみどころがなく、いつも一人でいるようで、でも気づけば周りに誰かが輪を作っているような。しんみりと不思議な存在感をいつも出していました。「クラ!」「クラさん!」。年下の選手に慕われるというか、むしろイジラレっぱなしの最年長。
ピッチでは、強烈な印象を毎年残し続けてきました。ネンイチかもしれないけど、だからこそ記憶に深く刻まれる。そんなスーパーシュートばかり。もう1年早くレイソルに関われたら、2006年仙台戦のスーパーゴールをこの目で見ることができたのに。それが一番悔しい。2007年の甲府戦と、ナビスコのマリノス戦、2008年のマリノス戦、2009年は一休みで、今年は17日前の横浜FC戦。すべて利き足とは逆の、左足でした。
横浜FC戦の前から、決定的なチャンスが何度も彼の足下に転がっていました。フリーなのにことごとく決め切れず。試合前、監督から「クラのところには、ずっとチャンスが来ている。また来るから、落ち着いて打て」と助言されていたにもかかわらず、7分の決定機はGKブロック。コーチや仲間は、激しくズッコケたそうですww。でも12分後にチャンスがやってきて、DFに当たって入ってしまう。。。「当たってなきゃ入ってないっしょ!」と生放送でタニにイジラれる最年長。
今シーズンはリーグ戦で71点、天皇杯9点。80ゴール、どれもがすぐに思い出せるすばらしいゴールばかり。でも他の選手には申し訳ないけど、キタジやクラのゴールは、どうしてこんなに嬉しいのだろう。人の心を揺さぶるのだろう、と。
「あまり試合に出られなくていろいろあったけど、最後に昇格や優勝が決まるピッチにいられて、僕は幸せ者です」
ヒーローインタビュー。あの状況で自分は「幸せ者」と言い切ったクラ。自分のことを「幸せ者」と言える人が、どれだけいるのでしょうか。感謝の気持ちを、カッコつけずにサラっと言える藏川洋平。彼には、たぶんまた幸福が訪れると思います。これからも心から応援したいと思います。