節目
担当:大重正人
「震災から再開する試合ということ、そして2009年にJ2降格が決まった相手、スタジアムということで、自分たちのモチベーションはすごく高かった」。大津選手の言葉どおり、日本サッカー界にとっても、そしてレイソルにとっても、大変深い意味合いのこもった今日の試合でした。
しかしアルディージャのサッカーは、前半から非常にテンポよく、ラファエル選手とイ・チョンス選手のテクニックとキープ力をいかした見事なパスサッカーでした。レイソルはなかなか強くボールにいけず、密集を突破されると、大きくあいた逆サイドへ展開されてチャンスを作られました。「ピンチは試合の中で何度かあるもの。そこで後ろが焦っちゃうと、そのバタツキが自然と前線の選手にも移ってしまうものなんですよね」。先日のon the wayのインタビューで大谷選手が教えてくれました。
ゲームを支配されながらも、GK菅野選手のファインセーブ、そして濡れたピッチのスピードシュートを弾かずキャッチする力。そして4バックにダブルボランチがゴールラインだけは絶対に割らせないという守備と気持ち。猛攻にさらされながらもゼロに抑えたことが、後半の立て直しにつながりました。
状況を打開するため、ネルシーニョ監督がさずけたシステム変更の作戦が選手に落着きを取り戻させ、今日唯一の決定機をレアンドロ選手がこれ以上ないフィニッシュを沈めてくれました。そして監督が途中から送りこんだ澤、工藤、増嶋の3選手は、ボールを簡単に失わないよう、監督がゲームを落ち着かせるための意図をしっかり意図した働きを見せ、まさに「全員勝利」という試合でした。
大谷選手は「今日は特別な試合でした。サッカーができるという歓びを感じながらプレーしていました。そして今日無事に試合がおこなわれたことをいろんな感謝したいです」。またワグネル選手は「地震のあとオフになってブラジルに帰りましたが、クラブが正確な情報を伝えてくれましたし、この1年をすばらしいものにするために、みんなで日本に戻ってこようと監督やレアンドロ、ホジェルとも話していました。自分はほかのブラジル人に比べるとまだレイソルに来て間もないけど、本当にレイソルのことが好きだし、ここが自分の居場所だし、いろんな困難を乗り越えてやるべきことを遂行していきたい」。
レイソルにとって、1年半ぶりのNACK5スタジアム。あの日と同じ席で速報を打ちました。橋本選手のシュートがレイソルのゴールに決まったとき、フランサ選手のむずかしいシュートが右隅へ決まり突き刺さり、菅沼選手のボレーシュートがわずかにマウスを超えてしまう。羽をもがれるように残留をかけた時間が刻一刻となくなっていく焦燥感。無情のホイッスルとうなだれる選手に声をかけ続けるサポーター。いろんな記憶が蘇ってきました。でも、今日から新しい一歩です。
同じ相手、同じ場所での一勝。再出発の一勝。J1通算200勝を達成した一勝。そして300勝へ向けて、第一歩の一勝です。ここから共にまた新しい歴史を築いていきましょう。
最後に、、、
ロアッソ熊本の仲間選手、プロ初ゴールおめでとう!!タケも負けるな!!
そしてベガルタ仙台の鎌田選手、あなたのゴールはベガルタサポーターの人はもちろん、それ以外の東北地方の方々にも、大きな力と勇気と感動と喜びを与えたことでしょう。誰が何と言おうと、今日の日本でイチバンのヒーローです。7月に3度も会えることを楽しみにしています。