福岡戦【追記】
担当:大重正人
勝ち点3を願うアビスパとそのサポーターのうねりに巻き込まれたような試合でした。激しい守備から、切り替えの速いサッカー。レイソルもそのテンポに乗って、ボールが左右のピッチをすばやく行きかうアップテンポな試合でした。多くの選手から「自分たちのリズムでなかった。苦しい試合だった」と聞かれたとおりの試合に見えました。
そんな試合、まず手を打ったのがネルシーニョ監督でした。システム変更で相手のサイドバックをしっかり抑え、カウンターを抑えようという戦術。今季は初めてのシステムだったかもしれませんが、選手たちがよく口にする「去年からの積み重ね」としっかり根付いたオプションのひとつをしっかり遂行し、徐々にレイソルのペースに持ち込みました。
そんなときに生まれたのが、田中順也選手の先制点でした。大谷、レアンドロと右サイド寄りで作った起点から茨田選手の浮き球のパス。サイドに引き寄せられた相手の裏側で田中選手がフリーになっていました。「一瞬トラップしようかと思ったんですが、読まれるかもと思って、ダイレクトでダイナミックに振り抜いた方がいいと切り替えました。実際は振り抜くというよりコンパクトにミートしたという感じでした。GKの位置がもっとニアに来ると思ったんですが、意外と真中にいて。シュートコースにいてヤバいと思いましたが、バウンドしたシュートが雨で濡れた芝でスリップしてうまく横を抜けてくれました。ラッキーでした!」と値千金の先制弾を決めてくれました。本当にコンマ何秒か一瞬の出来事を事細かに説明してくれた田中選手。非常に周りの状況が見えていて、思った通りのプレーができていることの証でしょう。
※スポーツ雑誌「Number」WEB版の木崎伸也さんのコラムで田中選手が大きく取り上げられています。そのなかにも「自分のプレースタイルを、ここまで言語化できているFWも珍しいだろう」とありました。まさにその通りに今日のゲームを丁寧に説明してくれました。記事はこちらからご覧になれます!
http://number.bunshun.jp/articles/-/133787
1点をリードしてからも、ホームの大声援に圧されたアビスパに勢いはなかなか止まりません。DFの身体を張った守備はもちろん、全員の高い守備意識で1-0の状況をキープしました。そしてアディショナルタイム、試合を決定づける一発を兵動選手が決めてくれました。うれしいうれしい移籍後初ゴールを決め、ゴール裏のお立ち台に立った兵働選手。「清水にいたときは他にこういう役目をやってくれる選手がいたんで、初めての経験でした。今までのレッツゴーカシワの流れを見ていたので、何とかやってみました!」。今日は試合練習を通じてレイソルに来て初めて右サイドでプレーしたはずです。それでも「清水ではここでプレーしていましたし、問題ないです」と試合状況に応じて求められる役割をきっちり果たしてくれるのは、本当に心強いことです。
そのゴールをアシストしたのは村上選手でした。「この前の試合は全然いいところがなかった」とせっかく得たチャンスを活かしきれなかった悔しさを胸に秘めていました。そしてもう一度得た機会に「相当気合いを入れて」試合に臨みました。身体を張った守備、持ち味の攻撃参加。ジュビロ戦とは違う彼らしいプレーがアディショナルタイムに実を結びました。北嶋選手は「ムラはこの前の試合、相当責任を感じていたと思う。だから今日、アシストという結果を残してよく乗り越えてくれた」。増嶋選手もブログに「ムラさんと組んで、マジで勝ちたかったからさ」と仲間からの思いに応え、2試合目で結果を残してくれました。「でもこれが最低限のプレー、スタンダードとして、これからもっといいプレーを見せたい」と会場を後にしました。
次は水曜日にガンバ大阪戦を控えます。アドリアーノ選手が移籍するという報道がありますが、今日マリノスにきっちり勝利して、やはり変わらぬ力を持っていることを証明しています。2008年以来ガンバ戦は勝利がありません。昨秋の天皇杯もいい試合はしましたが善戦どまり。今度こそ!最高の強敵相手に今のレイソルの力が試される試合になります。
※そして日曜はU-17メキシコワールドカップの初戦。レイソルU-18のGK中村選手、MF秋野選手が出場します!そして夜にはロンドン五輪予選クウェート戦に酒井選手が出場します。日の丸戦士にも大きなご声援を。そして6月19日は稲田選手、26歳の誕生日です!ハッピーバースデー、イナ☆