守備から
担当:大重正人
「キックオフ前のコートチェンジで、大宮戦のいやなイメージが思い出されました」。試合後に橋本選手が口にした言葉、記者席で私もまったく同じことを思ってしまいました。それでも、キックオフからの流れで、レアンドロ選手と酒井選手がワンツーで果敢にしかけてCKのチャンスをつかみとります。その時のスタンドの盛り上がりが本当にすごかった。入場時にサポーター有志皆さんによるフラッグ応援で、いつも以上に熱が高まっていたせいか、「ゴールゴール!」の声援が、そんな悪い予感を微塵もないほど忘れさせてくれました。ここ最近で一番の試合の入り方だったのではないでしょうか。数々のジンクス、鬼門を打ち破ってきた底力を選手たちが今日も見せてくれました。
いい守備からいい攻撃が生まれる。レイソル選手たちから常に聞かれる言葉です。「僕か工藤が慶行さんにマークに付いて、気持ちよくプレーさせないように心がけた」と北嶋選手と工藤選手が献身的なディフェンスで攻撃の起点から自由を奪います。そして相手のフィード攻撃にも、DFが懸命に競り合って、ボランチが身体を張ってセカンドボールを拾う。そこからレアンドロ&ジョルジのブラジルコンビが攻撃のスイッチを入れる。そんな守備から攻撃への流れを作り出し、前半に2点を先行する優位な試合運びができました。
先制のPKゴールが決まった瞬間。喜びの輪が解けると、選手たちはベンチの方へ駆け出しました。何事かと思いきや、6人の選手がゆりかごダンス。すると公文通訳が照れくさそうに歩みだして、深いお辞儀で応えました。一昨日生まれたという公文家の次女誕生をみんなでお祝いしたのです。しかしそのゴールを決めたレアンドロ選手が驚きの発言。「ゆりかごダンスは、得点するまで知らなかったけど、PKが決まった後にキタジに言われて、『あ、エイジの子どもが生まれたんだな』とわかりました(笑)」。その脇で、記者さんに言葉を伝えているのは公文通訳本人。自分で訳しながら照れる公文通訳と笑顔がこぼれる記者さんの輪。ニ―ヤンの天然とエイジーニョの絡み。ほほえましい一幕でした。
今日で4試合連続先発となった増嶋選手。今日の出場で、J1通算150試合出場を達成しました。センターバックでボールを跳ね返し続けると、途中から右サイドバックへ。相手はガンガン1対1をしかけてきましたが、フェイントにもぐっと足腰を入れて踏ん張り、最後は力強いブロック!「センターでやりたい気持ちはあるけど、監督が使ってくれるポジションで求められる役割を果たしたい。今日は150試合目。区切りの試合で勝てたことはうれしいです!次は『300』めざして頑張ります!」。サポーターの方から頂いた花束をかかえて、まだまだ上を見続けているマス、今日は150試合出場おめでとう!
今日の勝利で、ACL出場圏内のリーグ戦3位以内が確定しました。「クラブとしての目標に到達することができた」とネルシーニョ監督が会見で話しました。しかし、あくまで来年の話です。報道陣から選手たちにも同様の質問があっても、一様に残り3試合に勝つことしか頭にありません。ガンバもグランパスも強さを見せています。上回るためには1試合1試合をこれまで通り戦って、勝ち点を積み重ねていくこと。ブレることなく、選手・サポーターが同じ志を持って戦い抜きましょう。今日も心強い後押し、本当にありがとうございました。