会心
担当:大重正人
「今日は遠いところ、雨で寒い日に、アウェイまで来てくれた。試合前のアップの時の応援、胸に来ました。今日はサポーターのためにも、球際でファイトしなければという思いでした。それがいい形に現れて、3-0というスコアにも反映されたと思います」。工藤選手のミックスゾーンでの第一声でした!
いま羽田へ向かう機内。「到着の東京の天候は雨、気温は7度」というアナウンスがありましたが、九州も本当に体がこわばってしまうような寒い一日でした。そこに雨と風が加わるあいにくコンディションでしたが、選手たちとサポーター皆さんの熱く激しく闘う気持ちがひとつになり、その寒さを忘れるかのような会心の試合になりました。
とはいえ、立ち上がりから、めまぐるしいスピードとボディコンタクトの嵐で、まさに「激戦」でした。立ち上がりの失点を気にするあまり、選手たちが少し慎重になってしまうのではという心配は、まったくの杞憂でした。腰がひけるどころか、相手の激しい当たりを逆にぶつかり返す。栗澤選手が前半途中に味方が傷つけられて相手に食ってかかったシーン。しかし警告をもらってしまった直後の局面ではしっかりと自制。となりにいた渡辺光輝強化部スタッフも「クリはちゃんとわかってるよ」と名古屋戦の失敗は繰り返すことはありません。チーム全体が熱くそしてクールにゲームを支配しました。
試合後の「レッツゴーカシワ」の音頭に呼ばれたのは、やはり渡部選手でした。目下リーグ得点王の豊田選手をはじめ、相手が蹴り込んでくるロングボールを自慢の高さと強さをことごとくブロック。「自分のやる仕事は、はっきりしていましたから。」チームの失点ストップのためにこの窮地に起用されたわけですが、ネルシーニョ監督の思惑と期待にこれ以上ない返答をかえしました。「自分が出ている時間は無失点が続いています。今日も続けられて、また自信になりました」。天皇杯決勝戦、ACL貴州戦、そして今日。スタンドの上から見ていても、本当に漲る自信が届いてきました。
そしてコンビを組んだのは、近藤選手。「ナベと一緒に組むのは初めてじゃないかな。ナベの方が左がいいという監督の指示で、今日は5、6年ぶりに右側をやりました。でも基本、右利きですし、やりづらさはなかったですよ」という言葉通りのプレーでした。鳥栖は、ユン・ジョンファン監督をはじめ、韓国人選手も多く在籍し、ロングボールを多用するスタイルや球際の激しさは、まるでACLの試合のようでした。
「そういうスタイルはJリーグにはあまりいないけど、自分たちは韓国や中国のチームと戦ってきてますから。経験や準備は他のチームよりはできていると思います」。昨年のベアスタ。主導権を握りながらロングボール一発にやられてリズムを失った苦い思い出、ハイボール、球際、セカンドボール。全員がそこで上回れたからこそ、3-0というすばらしい結果が得られたのだと思います。
明日は午後3時からリカバーなどトレーニング。月曜はACL公式戦練習を経て、火曜日にACL貴州戦を迎えます。連戦ではありますが、このいい流れと勢いをそのままつなげられる絶好機でもあります。引き分け以上なら1位通過、または他チームの結果次第でグループ突破が決まりますが「勝って決勝トーナメント進出を決めたい(近藤選手)」が、今夜からのチームの合言葉。さあ次はACLです!!