2013年5月18日

また、イチから

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担当:大重正人

「こんな試合が前にもあった」と思い返しました。2011年の冬、瑞穂での天皇杯グランパス戦でした。試合開始から攻撃でも守備でも相手を圧倒。球際での強さ、状況判断の正確さと速さ、そして切り替えの早さ。ロングボールは2トップが高く力強くおさめ、中盤は奪い合いを制し、前線のプレスからショートカウンターを繰り出す。

今日のレイソル、前半の46分までは、そのときと同じように、本当にパーフェクトな内容だったと胸を張れます。しかし些細なボールロスからカウンターを許し、ファウルからの直接FKが壁に当たって入る。しかも前半の終了間際、アクシデントのような失点。ACLアウェイ韓国での激闘を制し、保たれていた気力が、そこで少し落ちたのかもしれません。その気力でカバーしていた体力は、後半に巻き返すためには十分でありませんでした。

工藤選手がプロ入り以来ずっと続けてきた「ゴールしたリーグ戦の無敗記録」が28試合でついにストップしました。この記録『リーグ戦』という注釈がついていたのには、たった1試合だけ敗れた公式戦の結果があったからです。それが奇しくも、2011年天皇杯の名古屋戦。後半21分に2点目を工藤選手が奪いました。しかし結果は延長戦を戦って3-3。試合の記録としては引き分けとも言えますが、PK戦の末の「敗戦」。ともにすばらしい内容で戦い、ゴールを決めた試合。しかし結果的に勝利を飾れなかったのは、なんとも言えない喪失感が残ります。でも工藤選手は言い切りました。「特に気にしていない。またイチから続けていけばいい」。次は、水曜日。ACLの第2戦がすぐに待っています。

本当にパーフェクトだったゲーム。それがひとつのきっかけで、これほどまでに脆く崩れてしまうサッカーの怖さを、改めて思い知らされました。そして苦しい時間帯を我慢しながら、数少ない決定的な場面で仕事を成し遂げ3点すべてに絡んだセレッソの柿谷選手。全北戦のレイソルの選手たちを思い出させるような、見事な仕事ぶりでした。

明日は、久々のオフです。選手、スタッフのみなさん、しっかり身体を休め、体力もメンタルもリフレッシュして、また水曜日のACLで今日の前半のようなすばらしい戦いを見せてください。あれを90分間やれれば、どんな相手にも互角以上の勝負ができるはずです。待望のレイソルでのプロデビューを果たした太田選手。「日立台の雰囲気はやっぱり良かったです」。サポーターの皆さんに温かく熱く後押しされた今日のことを忘れないでしょう。気持ちを奮い立たせ、選手たちはすぐに前を向いて立ち上がります。また水曜日、選手たちと一緒に戦ってください。

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