相馬市を訪問
担当:大重正人
昨日のニュースでもお知らせしましたが、選手たちが東日本大震災の被災地を訪問しました。スポーツ界が一丸となって東日本大震災で被災した地域の子どもたちを支援する活動「スポーツこころのプロジェクト」に参加し、日本サッカー協会や日本プロサッカー選手など関係各所のご協力をいただいて、今回実施することができました。
ベガルタ戦を終えて仙台に一泊。翌朝、仙台から福島県の太平洋側を陸路南下し、相馬市へ向かいました。国道6号線などを通りながら2時間弱の道のり。この国道6号は柏市内を通っていて、土浦、水戸、日立、いわき、と北上すれば、相馬市まで一本の道でつながっています。しかし福島第一原発の事故の影響により、一般車両が通行可能になったのは、震災から3年半が経った先月の9月15日、つい最近のことです。いまだ二輪車は通行できません。同じく柏を通る高速道路の常磐道、JR常磐線も不通区間があり、いまなお復旧工事が続く現場がありました。
南下する6号線。「この道路の左側までは水没したそうです。塩分を含んだ水田での稲作はむずかしい状況です。イチゴの栽培が盛んな地域なのですが、ビニールハウスはこのように道路の右側へ移設されています」。たしかに車窓から見る景色、左手と右手は少し風景が違っていました。運営に携わってくださった協会の方が、ほかにも東北や福島の現況を教えてくださり、復興への道が険しいこと、まだまだ日本全体へ伝わっていない現状があることを深く感じさせられました。
ただ、この地域で生活をする皆さんの一日一日は、それ以外の地域と同じように進んでいます。それほど大きな被害はなかったという中村第一小学校は、ちょうど近年新築されて「木のにおいがして、本当にいい学校ですね。こんな学校に通いたかったよ」と大谷選手や栗澤選手がうらやましがるほどの校舎で、1年から6年までの活発な小学生の皆さんが元気に学んでいました。
5年生の2クラスを中心に、今回のふれあいが行われました。まずは1時間目、湘南や草津で活躍された元選手の高田保則さんのリードにより、まずは体育館での「遊びの時間」。1組は菅野、栗澤、大谷の3選手。2組は狩野、増嶋、高山の合計6選手が担当。それぞれ、金髪先生、クリ先生、タニ先生、ケンチャン先生、タッチャン先生、カオルン先生と親しみやすいニックネームで、身体を動かしながら緊張をほぐし、コミュニケーションを図る授業でした。
2時間目は、それぞれ教室に戻っての「夢先生」の授業。1組は金髪先生ことスゲ、2組はケンチャン先生ことケンタが、スーツに着替えての真剣な授業を行いました。仙台入りする前に2人ともノートにびっしりと伝えたい内容を書いてきました。それを前夜のホテルで、深夜遅くまで書いては直し、話しては直しを繰り返し、「なんて言えばいいんだろう?小学5年生にもわかりやすく言葉で伝えるのって本当に難しい」と相当に悩みながら、授業の準備を続けてきました。
金髪先生は「夢を叶える秘訣」をテーマに、とにかく熱く燃える熱血先生タイプで。ケンチャン先生は「好きなことに出会う大切さ」「感謝」をテーマに、やさしく問いかけるお兄さん先生タイプで、30分ほどの初授業を終えました。スゲは「いろんな大事なことを気づかされた時間でした。やっぱり笑顔でいることが一番だし、純粋な気持ちを感じられた」。ケンタは「子供たちの素直な反応が嬉しかったです。ケガを治して、一日も早く復帰したい」と緊張が解けての達成感を口にしていました。
そのほかの選手たちは、1時間目は低学年の子供たちとグラウンドで、2時間目は体育館で高学年とふれあい。「もうみんな可愛くて」と選手たちはすぐに打ち解け、そのあとは各教室に分かれて、給食の時間を楽しみました。その模様、選手と子供たちのこぼれるような数々の笑顔をたくさんお伝えしたいのですが、順を追って、またお伝えできればと思います。
サッカー選手として、サッカークラブとして、自分たちに何ができるか。サッカーを通して、ひとりの人間として。今回携わった選手、スタッフ全員が感じ取り、また逆に相馬のみなさんからいっぱいの笑顔やエネルギー、パワーをいただきました。今回大谷キャプテンを中心とした選手たちの意向を形にしてくださった、選手協会やサッカー協会の皆さん、そして我々を温かく受け入れてくださった中村第一小学校の皆さん、貴重な時間を過ごすことができて、本当にありがとうございました。