2015年5月15日

湘南戦

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担当:大重正人

0-0のスコアレスドロー。もう20年前以上、この日立台で出会った吉田監督と、湘南の曺監督はそろって同じような言葉を話しました。柏は柏のスタイルで、湘南はスタイルで戦った。相手に合わせるのではなく、自分たちのスタイルで戦いあった。そこについて、吉田監督は「こんなことを言っては怒られるかもしれませんが、とても爽快感のあるゲームだったと、今は振り返っています」、曺監督も「それぞれのスタイルで真っ向から行ったということに関してはすごく清々しい気持ちが残っています」と表現した、0-0の試合でした。

吉田監督のコメントです。
「ベンチに座っていた90分、0-0というスコア、本当にあっという間でした。とてもぶつかりあい、お互いが持っているものをすべて出し尽くそうという中で、戦った90分でした。もちろん引き分けという結果については満足していませんし、湘南の人数をかけた攻撃、カウンターには最後まで注意が必要で、体力や神経がすり減りました。ただその中で我々も、湘南のゴール前に運んでいくところ、湘南のとても強く洗練された、量の多いプレスをかいくぐっていくというところに関して、とても見ごたえのあった試合と思いますし、そう思わなければいけないと思います。

まず今日の試合に当たって、湘南というチーム、クラブが披露しているスタイルを完全にリスペクトして臨もうと、ミーティングで選手たちに話しました。とてもいいチーム、好きなチームだが、個人的には勝ちたいと、とてもいい試合になるのは間違いないと。ただ必ず自分たちが湘南に対して、持っているものを100%出す、何かを隠したり出そうとしなかったりすれば、最初から100%で行かなければいいゲームにならないし、あっという間に飲み込まれる、とミーティングで話しました。もちろん戦術的な話もいくつもしましたが、最も大事なのは、湘南が何年間かチョウさんのもと、貫いてやってきたスタイルに対して、我々もこの日立台でぶつかっていこうとやったことについては、今日の試合は無駄ではなかったと思います。勝ち点2を失ったととらえるか、勝ち点1を得たと取るかは、まだこの段階では整理できていませんが、あっという間の90分間でした」

曺監督 からも、旧知の吉田監督、そしてレイソルのサッカーについての話がありました。
「タツとは、ユース年代から何十試合もしていますし、中学生年代の頃は1カ月に1回ぐらい練習試合をさせてもらって、すごくボールを回されて何もできなかった試合もあるし、逆に我々がよさを出せた試合もある。

あいつとは僕は同じ部署(日立製作所)で2年間働いていて、この柏でトータルフットボールをやろうとする意気込みで育成から育てた選手が中心になってやっていることは、いちクラブとしての哲学として素晴らしいと思いますし、我々にはまた違った質のフットボールがあると思いますけど、どっちがいいか悪いかそんなことはどうでもよくて、やはりそういうチームが増えていくことが、偉そうな言い方ですけどJリーグ全体の繁栄に繋がると思っています」

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そして両監督から指導を受けた、武富孝介選手。「個人的にはもうちょっと決定的な仕事をしたかった。得点を獲れなかったのは、自分もそうだけど、もうひとつ落ち着いてとか、もうひとつ切り込んでとかそういう決定的な仕事ができなかった。特に後半はボールを受けられない状況になったので、そういうところは反省しなくてはならない」。湘南サポーターからもコールを受けた中、ACLでも活躍してきたプレー、あと一歩ゴールには届かず、悔しい表情でした。

2人の恩師からも、彼への言及がありました。
曺監督 「生き生きしてたし、きょうサポーターがタケにコールしてくれましたが、あいつも父親になったみたいなので、しっかり活躍してくれているのを見ると指導者としてうれしいです。それに怯まず我々もあいつらに負けないという気持ちでやれたのは、いろんなことありますけど、すごく人間らしい試合ができたんじゃないかなと思います」
吉田監督「湘南で2年間プレーして、こちらに来ました。彼のため、今後の成長のためにも、きっかけのためにも勝ちたい試合でした。それが叶えることができず、そこも残念です」

ただ、メディアの方からは、「爽快感」「清々しい」という感想のなか、一方でスコアレスドローに終わったこと、決定機が多くなかったことについての質問が吉田監督にありました。
「大きな課題だと思っています。我々の今置かれている状況、得点が...ちょっとビン・ズオンの試合は置いておかせていただいて、清水、山形と、今日と得点が生まれない状況が続いています。そういったものが普段見えるもの、普段見えるパスコース、あとはスピードの緩急といいますか間といいますか、そういったものをどんどん奪っていく要素がサッカーにあると思うんですけど、その調節と、あとはいわゆるスイッチをいつ入れるかというところに、今、若干の迷いと、迷わないと自分を信じたいがゆえの、決してポジティブではない思い切りというのがピッチ上で交錯しているような状況ではあったと思います。

今日もテンションの高い攻防の中で、そのテンションの高いままゴール前へ入っていってしまうようなシーンが続きました。得点の匂いということに関しては、相手のクリアミスとかを含めれば何回かはありますけど、我々が望んでいるようなゴールチャンスというのは数えるほどだったと、完全に受け止めています。その中でどう得点を取っていくかというところに目を向けてもいいんじゃないかと思えるような試合でした」

このあと、韓国へ飛び、ACLのラウンド16、水原三星FC戦が、来週火曜日に迫っています。4試合勝利から遠ざかるなか、試合までの4日間でなんとか立て直さなければいけません。試合が迫っています。サポーターの皆さんの応援と期待に応える試合を見せなければいけません。