2016年4月 7日

ナビスコマリノス戦

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担当:大重正人

今季公式戦8試合目、下平隆宏監督にとっての5試合目にして、ついに初勝利を挙げました。アウェイ三ツ沢での横浜F・マリノス戦、3点を奪い獲った逆転勝利でした。しかし今日またしても立ち上がりに先制点を許してしまい、船出は困難でした。中盤の秋野選手はこう振り返りました。「ボールを奪われた後は迫力を持っていこうというのがチームにあった。ただ強く行き過ぎてもいけないし、入れ替わってもいけなくて、そこの駆け引きで試合の入りが良くなかった。入れ替わってしまった時には失点に繋がった」と今日の反省点として悔やんだ点です。

それでも「自分とクリさんの所で止められたら、こっちが優勢になった」という言葉通り、今日は間違いなく守備での積極性やアグレッシブさ、球際での真っ向勝負により、リズムを引き寄せていきました。これまで、どうしても失点だけはしてはいけない、勝ちたいという思いから守備への意識が強まり、大事に戦おうとしてどうしても勢いや迫力を出せない前半が続いていました。それでも今日の選手たちは、そんな恐怖や不安を振り払い、前へ前へとパワーを出し続けました。

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攻撃でのビルドアップでは、秋野選手が中央に構え、その両脇から鎌田&増嶋の両CBがボールを持ち運んで、敵陣まで侵入。そうすることで、両サイドバックや中盤の選手たちはひとつ前のポジショニングが可能となり、パスコースを多く作りながら敵陣深くへ攻め込みます。時には五分五分の勝負のパスが相手にかかることやシュートが跳ね返されることもありましたが、そこでの攻撃から守備への切り替えの意識、迫力が今日は明らかに違っていました。

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「今日の試合は、今のチーム状況を考えれば前から行って勢いをもたらすことが大事だった。立ち上がりに失点したけど気持ちは折れていなかった。今日はみんな『俺たちが変えてやる』と気持ちが入っていた。とにかくボールを拾うことや競り合いに負けないこと。絶対に球際を怠ってはいけないし、自分は周りにも要求するし、今日はみんなも応えてくれた。」という栗澤選手。

レイソルには「ダイレクトプレッシャー」と呼ばれる守備のやり方があり、ボールロスしても瞬時にプレスに切り替えることが、今日は徹底されていました。一人がアタックし、かわされても次の列からまた一人。その次、秋野&栗澤のボランチコンビのあたりでボールを奪い返し、再び攻撃へ。このサイクルを作り、攻撃の時間を増やしていこうというのが下平レイソルのスタイルです。今日は試合を通して、そのサイクルが多く続いていました。

これだけ相手を追い回して、90分持つんだろうかと心配になるほどの鋭い出足。だからこそ「前半で追いつけたことが大きかった」と下平監督が称えた中川選手のミドルシュート。中央でボールを受けて、シュートを打つまでのモーションは小さく、時間が短い。右隅を狙った柔らかなキックは、GKが手を伸ばしても決して届かない場所へ、美しく吸い込まれました。「ずっと自分の課題にしてきた、ゴールに繋がるプレーがここで結びついた。素直に嬉しいです」

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ハーフタイムのロッカーは「絶対行けるぞ!大丈夫だ!」と大きな声が飛びかい、それまで見せていた闘志にさらに火が付き、自信や勇気がふたたび蘇りました。そして後半立ち上がり、その勢いのままチャンスを迎えます。口火はこの日初出場初先発だったルーキーの湯澤聖人選手。「前半最初に自分のミスから失点してしまい、取り返そうという気持ちと落ち着かなければという気持ちが入り混じったような緊張」だったと言いますが、吹っ切れたように右サイドから切れ込んでの強烈な左足のシュート。ここから生まれたCKのチャンスで、増嶋竜也選手のヘディングシュートが決まり、試合をひっくり返します。

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さらに同23分、同じく右サイド太田選手のキックを、鎌田選手がヘディングで折り返し、増嶋選手が懸命に伸ばした足で押し込み、3点目を奪います。「今まで勝ち越したところで守りに入って、同点にされ引き分けになっていたので、引くのではなくてもう一回点を取りに行こうというのを心がけていた。得点はセットプレーだったけれど、その前のプレーは前で仕掛けていたので、それがゴールに繋がった」。守りに入らず、攻め続ける気持ちがチームから漲り、試合を大いに優位に進めることができました。

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マリノスの攻撃は後半強まり、シュート11本を許しますが、GK桐畑選手を中心に2点のリードを最後まで守り切りました。「選手たちが積極的に前からプレスに行く、ボールを奪いに行くというアグレッシブな姿勢を見せてくれ、よく頑張ってくれた。今日は普段あまり試合に出ていない選手たちも多かったが、足がつったり、ヘロヘロになりながらも最後までチームのために頑張ろうという強い気持ちを感じられた」と下平監督。そんな選手たちを満面の笑みで出迎えました。

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昨日の前日監督取材、この三ツ沢での思い出の話になりました。今から4年前の2012年8月。下平監督率いる柏レイソルU-18は、クラブユース選手権決勝をこの三ツ沢でマリノスユースと戦い、延長戦の末に悲願のタイトル獲得を成し遂げました。このチームの主将が秋野選手であり、中川選手も92分までプレー。またマリノスの高野選手や喜田選手もこの試合に出場しており、今日の試合後には健闘を称え合う姿も見られました。
クラブユース選手権決勝公式記録

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当時のことがよぎったりした?とアキとヒロトに声をかけてみたところ「うーん、それはほぼないです」とちょっと期待外れの言葉に苦笑。それでも「僕はその試合、あまり調子が良くなかったんですよね」とヒロトが当時を振り返り、アキも「シモさんのトップでの初勝利がこの三ツ沢というのも、何か縁があるのかもしれませんね」とフォローしてくれました。

大切な思い出は良き思い出として、一方でプロとして4年目を迎える彼らは、このトップチームでいかに自分を発揮し、レイソルというクラブを自分たちが背負って戦っていくという「今」だけを見ています。そして「勝利は嬉しいことだけれど、ここで浮かれず、課題にしっかり目を向けて、次のリーグ戦に向け、反省すべき所は反省しないといけない。ベストな試合ではなかった(中川選手)」と、もうすでに明日を見ています。

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今日はクローザ―として試合を締めた大谷キャプテンは「ようやくみんなで喜ぶことができた。苦しんだ分ここから何度も味わえるようにみんなでやっていこう」と、平日のナイトゲーム、アウェイにまで駆けつけて声を枯らして応援してくれたサポーターの皆さんに感謝のメッセージを送りました。クラブとしましても、ここまで勝利できず、大きな心配をかけてきました。今度はこの一勝を、次の勝利へとつなげていき、リーグ戦の順位を上げていかなければなりません。来たる10日日曜日、19時からリーグ戦のFC東京戦です。次はホーム日立台で、勝利の喜びを分かち合えるように、勝利の歌、レッツゴーカシワを歌えるようにまた明日からトレーニングです。今日も大きなサポートを本当にありがとうございました。

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