ルヴァン札幌戦
担当:大重正人
アウェイ札幌・厚別では2008年10月19日以来、約9年ぶりの試合でしたが、結果は1-2。ルヴァンカップの最終戦を勝利で終えることはできませんでした。平日のナイトゲーム、しかもアウェイ北海道での試合、そしてグループ突破の可能性が潰えている状態にもかかわらず、100名以上のサポーターの皆さんが応援に駆け付け、最後まで声を枯らして声援くださいました。「遠く駆けつけたくれた皆さんに勝利を届けることができず本当に申し訳なく思います」。下平監督はまずサポーターの皆さんへの言葉を述べました。
「なかなか前線からのプレスが効かず、下がってしまい、後ろに重心がかかるような状態だった。下がること自体は決して悪いことではないけど、そこで誰が誰にマークに行くとかがはっきりできなかった」と栗澤選手が反省するように、前半から相手の攻勢に押し込まれ、レイソルがなかなか敵陣へ飛び出していく場面が作れません。守備でも攻撃でもダイナミックさが見られず、前半38分、後半12分と失点し、2点のビハインドを負ってしまいます。
息を吹き返したのは、後半27分。ゴール前へ攻め込み、クリアボールをつないで、最後は左サイドからの一閃がゴールネットを揺らしました。左足を振りぬいたのは宮本駿晃(としあき)選手、U-18からトップ登録され、この日は公式戦初メンバー初出場初先発。さらには初ゴールまでやってのけました。「シュートは落ち着いてボールに当てに行って、そしたら良い所に飛んでくれた。力を抜いて枠に打とうと思っていて、あそこまで狙って打ったわけじゃなかったので、自分でも少し驚いたゴールでした」。
ゴールを守っていたGK桐畑選手も「追加点を奪われてしまい、もう少しみんなの気持ちが落ちるかと思ったけれど、トシが素晴らしいゴールを決めてくれて持ち直せた」と、途中出場のクリスティアーノ選手が勢いをつけ、そこからようやく火が付いたように札幌ゴールへ襲い掛かりました。右サイドからのハモンロペス選手のシュートがクロスバーに直撃するなど、札幌を完全に押し込みましたが、最後の最後でゴールラインを割れず、無念のタイムアップとなりました。
この日、ルーキーの橋口拓哉選手にとっても、プロデビュー戦となりました。「前半、声援の応援の大きさや、初めてプロのピッチに立って、少し戸惑いがあったりして冷静さを欠いている部分があって、積極的にボールを受けに行けなかった。ただ試合が進むにつれ、周りも見えてきて、後半は落ち着いてプレーは出来ていたと思う。都倉さんの所は徹底的に潰さないといけないと思っていましたが、試合に入ったけれど、フィジカル面の違いを感じさせられたし、そこはJリーグで戦うためにはもっと僕自身トレーニングが必要だと感じた。僕のストロングポイントは、左足のキックと対人の競り合いで負けない所だと思うので、今日の経験を活かして、そこをもっと強化できるようやっていきたい」。
ここまでは出場機会がなかっただけに、この試合に懸ける思いは人一倍でした。「周りにとっては消化試合だったかもしれないけれど、ルヴァンカップの最終節にチャンスを貰って、自分にとっては人生をかける位の気持ちで挑んで、次のチャンスを掴みに行こうと思っていた」。
また桐畑選手も「高いモチベーションを持って試合に入った。失点するまでは、今日初出場のハッシーやトシも自信を持って出来ていた。失点した時も、もう一度頑張ろうと言っていた。「リーグ戦に出ているメンバーと紅白戦で戦うなかで、クリさんやハジくん、次郎くんたちと一緒に俺たちはやれるっていう気持ちを持っていたし、それを出せるのはどこかと言ったらルヴァンカップだった。何としても上位に行きたかったし、俺達もいるんだっていう強い気持ちも持っていた」
今日もハーフタイムから「2点目を取られたら苦しくなるぞ」「後半2点取ろう!」と誰よりも勝ちにこだわっていたキリ。GKというポジション柄、自分自身のゴールで点を返すことが極めて難しいなかで、何とかチームメイトの反撃に思いを託しながら、終了間際には自らもCKに参加するなど、最後の最後まで勝利にこだわる必死さがありました。この日は、その思いを結果で表せず、大きな大きな悔しさをのぞかせました。
応援して下さる方々がいて、目の前の試合に勝とうとするのはプロとして当たり前のことですが、ただ、こういう難しい状況のなかでも、どれだけの思いや気持ちでこの試合に懸け、勝利にこだわって闘えるか。キリのような選手が何人いるかで、2011年のようにチームはもっともっと強くなれます。「今日でルヴァンは終わってしまったけど、ただチームは暫定だけどリーグ戦首位で、次は浦和レッズ戦。練習の中から、出ているメンバーに何かあった時に自分たちが、という気持ちを持って、残りのシーズンに臨んでいきたい」
橋口選手や宮本選手がこの日初めてプロのピッチに立って、90分間プレーしたこと。キリをはじめとしたイレブン、またベンチから投入された選手、ベンチメンバーがこの試合に勝利をめざした戦ったことが、必ずや今後に活きてくると信じています。大津祐樹選手も無事に復帰することができました。来たる日曜19時。首位として、ホーム日立台で浦和レッズを迎え撃つという、近年でもこれ以上ないビッグマッチです。引き続きのご声援をどうぞよろしくお願いいたします。
最後に。アウェイ遠征先でレイソルのエンブレムが入ったトラックをお見かけの方も多いと思いますが、長年お世話になってきたドライバーさんが今回の遠征が最後となりました。近年の指宿キャンプでは全日程でいろいろとチームをサポートいただいていました。勝利をお届けできなかったことが心残りですが、これからも一サポーターとしてレイソルを応援します!とおっしゃっていただきました。今まで本当にありがとうございました!