マリノス戦
担当:大重正人
今日は首位の鹿島が0-2からの逆転勝利、2位の川崎も3-0と快勝。そのなか、追走するレイソルとマリノス、どちらが勝ち点3を獲って追随していくかという試合になりましたが、結果は1-1のドロー。ただ88分に追いついたクリスのフリーキック、苦しい苦しい前半から後半は立て直し、そして上位争いのライバルであるマリノスに勝ち点3を与えなかったこと。7月上旬に同じライバルである鹿島とセレッソに逆転負けを喫したことを思い返せば、今日得られた勝ち点1、相手に与えなかった勝ち点3は今後大きな意味を持つ結果だと思っています。
選手たちは、よく我慢して戦い続けたと思います。立ち上がりからレイソルの右サイドを突かれました。伊東&小池コンビに対し、マリノスは左ウイングの斎藤選手、サイドバックの山中選手にトップ下から天野選手が加わり「3対2を作られた(伊東選手)」状況が続きました。山中選手の猛然と駆け上がるスプリントで数的不利を作られ、そこにキレキレの斎藤選手。縦を切れば、インサイドへ切れ込み、ドリブル、シュート、そしてラストパスまで。8分の失点は不運なこぼれ球からでしたが、あの位置で持たれたら決まってしまう、と思ったとおりの鮮やかなゴールでした。
「前半、前と後ろで守備の意思疎通ができていなくて、相手にうまくスペースを使われてしまった。自分は前から行って、でもリュウは後ろに構えていたり、ボギョンがプレスできていなかったり。でも後半は修正できたと思う」と伊東選手。この改善が勝ち点1につながった要因のひとつでしょう。
前半に、クリスが顔面を負傷し、流血しました。相手の肘が当たったとクリスが血を流しながらアピールするも聞き入れられません。それでもチームの為に一刻も早くピッチに戻らねばと、バック側からメイン側まで猛ダッシュで治療を受けに戻ってきた姿には胸を打たれました。包帯を巻いた痛々しい姿でしたが、レイソルの左サイドからの攻撃でボールを失い、決定的なピンチになりかけたとき、逆サイドからクリスがまさにすっ飛んできました。マルティネス選手の突破をブロック。こういう献身的なプレーをする選手がいれば、」いつか必ず報われる。そう信じて試合を見守っていました。
クリスが治療していた時間帯。レイソルは10人でしたが、マリノスの襲い掛かるプレスをものともせずボールポゼッションを続けました。クリスが戻るまでの時間を使いながらも、それまで圧倒されていた試合展開を振り出しに戻すような落ち着いたパスワーク。今日はしっかり回せると自信を取り戻したように見えました。
このポゼッションが後半にさらに輝きました。1点リードのマリノスが自陣を固めてカウンターに徹したこともありますが、前半とは一変してレイソルがボールを握り続けました。なかなか決定的な場面が作れず、時間が過ぎていくなかで、それでも焦って強引なロングボールに頼ることなく、丁寧に何度も何度もサイドへボールを送り、攻撃の起点を作り、マリノスを追い込んでいきました。そして88分、待望のゴールが生まれたのです。
「エリアの外からのFKを蹴りたいとずっと思っていて、ようやく今日自分の思い描いていた場所にボールを置けたので、ゴールに入ったボールの軌道も自分が思い描いていた通りで、非常に良いゴールだった。自信を持って蹴ることが出来た。ボギョンともどっちが蹴るか話したけれど、今週の練習でFKに関しては良い形で決められていたので、自信を持って自分が蹴ることにした」
ボギョンがファウルを受けて、クリスがボールをセットして、キックするまでの間。アウェイスタンドに広く陣取った黄色いサポーターからの応援、ゴールを信じてやまない歌声。それまでよりもさらにボルテージが上がっていました。攻めども攻めどもなかなかゴールが割れない中、それでも我慢し、信じて応援を続けてくれていたサポーターのみなさんの思いが届き、ホームチームとサポーターに大きな大きな一矢を報いました。
来週は20日水曜日に天皇杯のラウンド16があります。アウェイ吹田でのガンバ大阪戦。そして週末23日土曜にはホームでFC東京戦、さらに翌週30日は甲府戦。日立台でのホーム2連戦です。タイトルへの道、アジアへの道。本当の正念場です。残念ながら今日つかめなかった分までの勝利をここで取り返したい。引き続きの後押しをどうぞよろしくお願いいたします。