湘南戦
担当:大重正人
今までチームには何度も勝利の喜びを届けてもらいましたが、でもやっぱり、ひとつ勝つ、ということの大変さ、苦労を改めて味わった気がします。先制して、追い付かれて、勝ち越して、最後は懸命に跳ね返す。その末の勝ち点3は、いつどんな試合でも格別で、特にこの日立台での勝利は昨年10月10日以来、約半年ぶりのことですから、余計に嬉しい気持ちが増します。
今日の主役は、文句なしで呉屋大翔選手でしょう。試合前には、開幕のセレッソ戦で到達したJリーグ通算100試合出場のセレモニーでご家族からの祝福をもらいました。「上は3歳の男の子、下は1歳の女の子です」という、まあなんともかわいらしい、まるで天使のようなふたり。試合中には、背番号19の小さなユニフォームを着た、下の女の子が試合そっちのけでメインスタンドのコンコースを闊歩していて、奥様が追いかけているところに遭遇しました笑。ゴールは見れましたか?と奥様に声をかけると「1点目は見られました」と笑顔でした。上のお兄ちゃんは座席でパパの雄姿を見ていたそうですが、今日のすばらしい一日のことが、これからもずっと家族の素敵な思い出として残っていくことでしょう。
「湘南はとてもスピーディーでハードワークできるチーム。まず守備をしっかりと安定して対応できるように。今日は3バックで挑んだ」と、ネルシーニョ監督は対ベルマーレ戦用に形を変えて準備をしてきました。立ち上がりからビルドアップと、スペースへのフィードを使い分けながら、攻撃の時間長く攻め込むと、前半14分でした。右サイドでフリーになっていた高橋峻希選手へ、クリスの大きなサイドチェンジが鮮やかに通ります。クリスはノールックパスのような形でしたが、チームとして相手のどこのスペースが空くのか、狙っていくのかという共通理解ができていたのかなと思います。
「普段の練習から、ヒロトからクロスを上げてほしいというのを要求されていた。1枚目のディフェンダーの頭は越えるようにというのを意識した。そうしたらヒロトが上手く合わせてくれたので、僕はただ蹴っただけのヒロトのゴールです(笑)」とシュンキは謙遜しましたが、点で合わせたすばらしいクロスでした。待ち構えていたヒロトは「相手がタイトにマークについてくるというのはわかっていたが、(マーカーが)それほど上背はなかったのでしっかり競れば勝てると感じていた」とゴール左隅へと難しいヘディングシュートを流し込みました。
その後は相手のペースが続き、このまま前半を無失点で終えられたらという43分、攻め込んでいた背後をとられ、湘南らしいカウンターを浴びて同点に。失点パターンといい、時間帯といい、本当にもったいない、下を向いてしまいそうなハーフタイムでした。
それでも監督は「焦って攻め込まず、落ち着いてつないでいこう」と選手たちを送り出します。そして後半10分過ぎに大谷選手と三丸選手を投入、中盤を3枚にするシステムに変更すると、流れが一気に変わりました。「大谷はゲームを落ち着かせる役割だった」と中盤でボールを保持して攻め込む時間帯に。「飲水タイムで流れが途切れる前に決めてほしい」と願っていたところ、21分に呉屋選手の勝ち越しゴールが生まれました。「ニアにシイが飛び込むのが見えたので、ファーで待っていたのがよかった」。先制点に続く、サイドからのボールにワンタッチで合わせる得意の形、これぞストライカーという2ゴールでした。
呉屋選手は、ゴールはもちろんのこと、相手ビルドアップへのチェイシング、味方からのロングボールを引き出すランニングや競り合いながらのキープなど、シュート以外の役割もすばらしかったと思います。それに加えて、周りの選手たちも今日は、湘南の持ち味であるハードワークを上回るようなファイトを見せてくれました。今日、先発のピッチに立った染谷選手の味方への「行け!行け!!!」という指示というか怒号も、苦しい時間帯のチームを強く引き締めたことでしょう。そして監督の選手交代や戦術変更の決断、そしてピッチの選手たちがそれをしっかり実行できたことも、大きな勝因のひとつだと思います。
この勝利をまた次に。次節はまた連戦で、水曜日にホーム日立台で名古屋グランパス戦。ここまで2連勝と、去年上位の力をすでに見せています。この強敵相手にどれだけの力を発揮できるか。緊急事態宣言のためキックオフが18時に変更となりましたので、改めてご注意ください。本日はスタジアムでのご観戦、DAZNでの応援など、レイソルへの後押しをありがとうございました!