鳥栖戦
担当:大重正人
前半に先制され、後半には追加点を許して、反撃に出たものの無得点。対する鳥栖は、この試合まで3勝1分と無敗で、しかも無失点。この日はすこしメンバーを入れ替え、チャンスを得た選手たちが攻守に躍動。現時点での成績が表す通りの結果で、レイソルにとっては完敗と言わざるを得ない悔しい結果に終わりました。「今日は開始早々から非常に良くない出来で、攻守においてこちらが狙いとしていた試合展開にできなかった」。同じ敗戦でも先日の川崎戦とは異なる内容で、ネルシーニョ監督も非常に厳しい表情でした。
前半28分の失点は、前線からプレスに行って相手をはめ込もうとしたところでしたが、ハーフウェイまで最終ラインを押し上げていたところの脇のスペースから飛び出され、そのままゴールまで運ばれてしまいました。一本の縦パスから、という点でももったいない失点でした。後半から3人を交代投入し反撃に出たところの17分、レイソルのクリアが短くなったところ、前に出てくる相手の勢いに押し込まれ、ミドルシュートのこぼれを冷静に繋がれて2失点目。ピッチサイドには、この日復帰のサヴィオ選手がスタンバイし、さあここからと矢先の本当に痛い失点でした。
「ただ、後半の残り25分間は、レイソルが狙いとしていた攻撃の形、良いボール回しのテンポを作れていたと思う」。そう監督が振り返った通り、直後に5人目最後の交代枠で瀬川選手を投入してからの時間帯は、非常にアグレッシブで、サヴィオ選手と三丸選手が左サイドから果敢に仕掛けたり、細谷選手や瀬川選手は背後への動き出しやドリブル、また守備でも身を投げ出すような激しいタックルで、チーム全体に推進力を生み出しました。
昨年8月以来の出場となったサヴィオ選手です。「怪我をして離脱してから苦しい時期を過ごしたが、まずはこの日を迎えられてよかった。 ピッチ上で最大限の力を発揮しようとしたが、結果に繋がらず残念だった。この苦しいチーム状況の中で、積極的なドリブルや思い切ったロングシュートなど、彼らしいプレーが随所に見られたことは、今後のレイソルにとっての大きな収穫です。「これからはもっともっとチームに貢献していきたい。チームは今苦しい状況ではあるが、みんな監督を信頼しているし、必ずこの悪い状況を脱出できると思っている。これから練習の中で課題を克服していきたい。柏レイソルは勝者であるべきだと思うし、今後チームが進化するために自分たちが全力を出して、結果を生み出していけるようにしていきたい」
監督がサヴィオ選手についての質問の最後に、わざわざ付け加えた言葉がありました。
「今日の試合を通して、レイソルというチームが試合に勝つためには、やはり選手全員が攻守にわたってハードワークをする必要があることを感じた」
サガンは先日、測定が始まってからリーグ史上最長の走行距離をマークしたほどの走力、運動量を誇るチームです。なおかつ、最終ラインからのビルドアップも巧みで、選手たちがよく動いてより良いポジションを取ってきます。そういう相手に勝つために、同じ距離を走ることは難しくとも、チーム全体で監督が立てた戦術に基づいて狙いを定め、局面局面の戦いで高い強度で相手を潰し、上回っていかないと到底勝つことはできません。
試合の最後、大谷選手がクロスに飛び込んで、この日一番の決定的な場面がありました。後ろの選手たちもタイミングを見てペナルティエリアに入っていく、このような人数をかけた攻撃を仕掛け、もっとシュートを増やし、得点のチャンスを生みだしていかないといけない。この日の残り25分は、このままでは終われないという強い気持ち、気迫、積極性が見られました。この強度をキックオフから見せて、そしてベンチ入りしている18人全員で90分間できるだけ高いレベルでキープできれば、結果は自ずとついて来るはずだ。そう思えたラストだっただけに、この戦いぶりをなんとか次の日曜、清水戦につなげてほしいという思いでいっぱいです。
「この状況を打開するのは自分達しかいないので、それぞれが責任を持って役割を全うするという思いでピッチに立つということが何よりも大事だと思う」(大谷選手)