2023年5月19日

監督交代のメディア対応について

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担当:大重正人

17日水曜、監督交代についてお知らせいたしました。井原正巳ヘッドコーチが新監督に就任し、新たなスタートを切っています。昨日はメディア皆様にお集まりいただき、山崎和伸社長、布部陽功GM、井原監督が報道対応を行いました。その要旨をまとめましたので、こちらよりご覧ください。

まず山崎社長より、ネルシーニョ前監督への感謝をお伝えさせていただきました。「シーズンの序盤からなかなか成績が上がらず、ファンの皆様にご心配をおかけしています。その結果と直近の横浜FC戦の結果を踏まえまして、布部とネルシーニョ前監督といろいろ話をしていただきました。その結果を踏まえまして、クラブとしまして交代を決定しました。ネルシーニョ前監督には柏レイソルに数多くのタイトルをもたらしていただき、大変功績の大きい監督でありました。ここで改めまして、クラブを代表しまして深く感謝の意を表します」

続いて布部GMからは、今年のチームの取り組みや、ここまでの経緯についての質問に回答しました。「ネルシーニョ監督が5年目で、補強もした中で、キャンプではチャレンジした部分がありました。相手を押し込んで攻撃的にいこうということで取り組んできました。J1の第1節・ガンバ大阪戦と第2節・FC東京戦は、どちらも引き分けでしたが、内容的にはやろうとしていたものが出ていました。その後勝てなかった時期にも、監督はこのままでは終われない、復活させたいということで、ずっと培ってきたミーティングのやり方や、練習方法も、監督なりに変化を持たせて取り組んでいるのを見てきました。鹿島と湘南に勝ち、試合内容的には少しずつ良くなっていたというのは、ネルシーニョ監督がチームにもたらしたものだと思います。ただ、連勝ができなかった。そして横浜FC戦では特にチャンスを作りシュートもたくさん打ちながらネットを揺らせなかったところで、もう一度監督と向き合って話をしました。そこでお互いにここで終わりにしようと。双方合意という流れになりました」

そして井原新監督には多くの質問が寄せられ、決意表明や現在のチームの課題や改善への方向性などをお話ししました。
「ネルシーニョ監督とともにコーチとして一緒にやっていた中で、これまで思うような結果を出せなかったことに対してはコーチである自分にも責任はあると思っています。その中で強化の方からネルシーニョ監督の後の監督をしてくれないかということで、自分であれば今現状のチームはよく知っている中で、なんとかこの状況を変えられるという思いと、もう一度選手とスタッフ全員で一体感を持って、この現状を何とか変えていくという思いで、監督を引き受けさせてもらいました。とにかくアグレッシブで組織的なサッカーをもう一度復活させて現状を改善させていきたいと思っています」

「ネルシーニョ監督が選手に対して厳しく要求してきた守備の強度、勝負にこだわる気持ちの部分など、そういう監督が残してくれた良い部分は継承しつつ、また新たに、レイソルには能力の高い若い選手がたくさんいますし、少し縮こまってプレーしていたようにも見えていたので、もっともっと溌剌としたプレー、アグレッシブに思い切ったプレーができるような選手たちに少し変えていくことで、チームは良くなると思っています。戦術的なところは一挙に変えていくことはできないと思うので、今まで監督が残していただいた良い部分に自分の色を少しずつプラスしていきたい。」

「レイソルというチームはアカデミーから含めて多くの選手がトップにも上がっていますし、伝統的な、ボールを大事にするところは今のチームにも必要な部分であると思うし、良いところを少しずつ伸ばしていきながら、自分なりのチームを作っていければと思います。すぐに結果も必要な時期だと思いますし、長い期間をかけて作っていくことが今はできる状況ではないので、とにかくまずは勝点を積み重ねていかなければ今の順位を上げていけないですし、そこにこだわりつつ、まずは少し上を見ていけるような状態になったときに、自分なりのサッカーというものに少し変えていけるのかなと思っています」

「選手たちには、現状は16位なので、そこから下を見るのではなく、上を見て、もう一度チームが、選手、スタッフが一体感を持ってこの現状を変えていこうという話をしました。ゴール数は13試合で8点しか取っておらず、得点力をいかに上げていくかが大事。まずゴール前に侵入する回数を増やすこと、もう少し押し込んだ中でのチャンスを増やしていきたい。そのためにもここまでの練習では、栗澤コーチ、大谷コーチを含めて、いろいろなメニューを新たに出しつつ、スタッフ間でも協力し合って、少しずつ改善するようにしています」

「今回、監督交代したということで、選手たちにとってはまた新たなスタート地点、新しい競争がスタートしたと思っているでしょうし、日々全員が前向きに競争して、その競争に勝った選手が試合に出ていくというような雰囲気を作りたいと思っています。選手たちも前向きにしっかり取り組んで元気もありますし、すごく良い雰囲気でこの3日間はトレーニングできていると思います」

「我々は今16位のチームですし、監督が交代した非常事態ではありますが、チャレンジャー精神で、首位の神戸に怯むことなく、アグレッシブに戦えるような試合の入りができればと思います。まずはサポーターの皆さんに、昨年8月以降は不甲斐ないゲーム、結果の出せないゲームが続いていましたから、首位の神戸に対して我々の気持ちが伝わるような、勝ちたいという気持ちが伝わるようなゲームができればと思っています」

「現時点では、ネルシーニョ監督が立てた目標達成は現実的に難しいと思っています。そこから新たに勝点目標をいくつと定めていくかというよりも、今の状況で勝点を少しでも積み上げていくことが大事。一戦一戦とにかく勝点をまず積み上げていくこと。それで下を見ない状況になったり、そこでもう一度自分たちの立ち位置が変わってきたりしたところで、新たに目標を立てていきたいと思います」


最後に。
ネルシーニョ前監督から、一筆届けてほしいとメッセージが届きました。

長年仕えた井原新監督もその思いを重く受け止めています。「ネルシーニョ監督は偉大な監督だと思っていますし、このレイソルの監督になる時から、自分は一緒にコーチとして戦わせていただいている。これまでの功績には感謝しかないですし、勝負へのこだわり、哲学、選手に厳しさを持って接するところなど、自分が学ばせてもらったことはたくさんありますし、多くのものを残してくれました。監督への敬意を持ちながら次のゲームを戦いたいと思いますし、この後も引き継ぎたいと思います」

第一期政権での数々の成功やタイトル獲得については触れる必要もないほどの既知の偉業ばかりです。2019年、J2からの再起を懸けたレイソルからのSOSに応えてくれたのもネルシーニョ監督でした。昨年4月、トレーニング中にアキレス腱断裂という大きなアクシデントに見舞われました。普通なら長期入院、静養が必要な重傷だったにもかかわらず、勝負の現場から離れたのはごく数日。すぐに日立台に帰ってきました。車椅子に乗って、グラウンドから練習を見つめ、指示を出す。勝手な想像ですが「ここで倒れるなら本望だ」というような恐ろしいほどの監督の強く堅い信念を見たような気がしました。

リーグ戦3連敗で迎えた5月3日の広島戦。正直広島に行くのはまだ早いのではという周りの心配の中でも、柏に留まってはいられませんでした。森海渡選手を途中起用し、その逆転ゴールに松葉杖を振り上げて喜ぶシーンは、ネルシーニョ監督以外には今後も見られないのではないでしょうか。そして普通なら車椅子に乗って移動する状況だったと思うのですが、頑なに松葉杖で、自分の足で歩いていました。広島のスタジアムは、ロッカールームから会見場までがとても遠いんです。それでも、時間がかかってでも、何かに頼るようなことはありませんでした。戦場で、敵に対して、弱みは決して見せない。そんな監督の矜持だったのだろうと思い返します。

監督が最後に我々柏レイソルやサポーターに贈ってくれた言葉。勝利へのあくなき執念。未来永劫、引き継いでいかなければいけないVITORIAの精神です。長年にわたり、柏レイソルにすべてをささげ、勝利のために戦い続けたネルシーニョ監督、本当にありがとうございました。