敵地で勝ち点1
担当:大重正人
2年ぶりのアジア挑戦、ACLがついに開戦しました。2012年、13年に続き五度目の対戦。当時とは両軍とも監督が変わり、メンバーも変わり、新しい体制での新しいサッカーのぶつかりあい。「今日はアウェイ、対戦した相手は韓国チャンピオン、とても質の高い選手が揃っていて、ものすごい勢いで来るという予想通りの戦いになりました(吉田監督)」。そのとおりに前からすさまじい勢いで襲い掛かってきて、序盤のレイソルはそれをどう凌ぐかという展開になりました。
ただ、それを想定して、この1週間、しっかりと準備をしてきたことも事実です。この日のメンバー表を見て、「どういう形で戦うんだろう?」と皆様も驚かれ、それぞれに考えを巡らせたことでしょう。エドゥアルド選手と栗澤選手が新しく先発に起用されました。キックオフからピッチの陣形を見ると、最終ラインに5バックが構えるような形でした。会見での質問に対し、吉田監督はその意図を話しました。
「高さに対応しなければいけなかった。あと、全北の試合が見られない状況でしたので、ただ、ワイドに強力な選手がいて上がってくる。そのサイドでの寄せ、アプローチでも時間を短縮したかったですから、そこにできるだけ選手が近くにいるような感じでいこうかというのが大きな狙いです」
大谷選手はこんな話もしていました。「達さんのサッカーは、『ポゼッション』とか言われたりすることも多いと思いますが、達さんは自分たちにそんな言葉は使わないし、まず試合に勝つためにやるべきことをする。今日は守備の時は5バック、攻撃の時は3バック、3-4-3のような形。ラインは4枚でやっているイメージで、人数が多くなったからといってあまり普段と変えずにやっていた。ディフェンスラインの選手は集中してやってくれたと思いますし、今日はエドゥアルドが入って高さができて跳ね返してくれたので、後ろの選手の頑張りで拾った勝ち点1だったと思います」
事実、全北の前線はサイドハーフも高い位置をとって、4トップのような形。フィードでレイソルの背後を狙ったり、FWに当ててきたり、高さというストロングポイントで攻め込んできました。昨日の会見で吉田監督は「高さは相手に分がある。そこをどう対応するか」という話がありましたが、エドゥアルド選手は186cmの長身を生かし、その役割をしっかり果たしました。前FC東京のエドゥー選手との空中戦に一歩も引かず、鈴木選手や増嶋選手も身体を必死にぶつけあって、跳ね返し続けます。相手のオフサイドも多く、勇気をもって高いラインキープをしていた証左です。菅野選手、すばらしい反応で好セーブを連発し、抜群の存在感でした。最初の20分、耐える時間を何とか凌いで、0-0の時間が過ぎていきました。
メディアから、この布陣をいつ使うと決めたか、あと攻撃の狙いどころをどう考えていたという質問への監督の回答です。
「システムについてはちょっと前、プレーオフを抜ければこういう戦い方になるだろうと、頭の中には入っていました。週明けのトレーニングからそれを実行できるようなトレーニングを積んできました。ただ、11対11の中でやったのは今日が初めてですし、とても、とても選手は勇敢に、勇気を出してトライをし続けたと思います。攻撃の狙いはもちろんありましたけれども、どうしてもあれだけ追い掛け回されると、狙い通りにいかず、ハーフタイムにポジショニングの修正を2つ3つ入れて、後半に巻き返そうとしました」
相手の攻勢を跳ね返し続け、徐々に勢いを削いできたなかで、最後に茨田選手を投入し、ラスト20分ぐらいは敵陣でのプレーも長くなりました。
「全北さんもメンバーチェンジしましたし、前の圧力をかけてきました。その反対に空くところも出てくるわけで、我々もそこに茨田が控えにいましたので、ボールを落ち着けたいという意図の中で茨田を入れて、ボールが循環するような、クリアボールがマイボールになるような狙いの中で残り20分はプレーしました」
試合の全体総括は以下のとおりです。
「全北は全体的に力強く、ポイントになるところでセカンドボールもそうですし、とにかく前線に入ったところでボールの処理にミスがないので、そこで我々がちょっと圧力を受けたという印象です。それに耐えなければいけない時間と、我々がそれを潜ると言いますか、時々穴を突いて攻めていくというチャンスを窺ったんですけれども、この引き分けという結果は、とても価値のある大きな勝ち点1だと思っています」
グループEのもう1試合、ビンズオンvs山東は、2-3で山東の勝利。勝ち点3でまず首位に立ち、それをレイソルと全北が勝ち点1で追う展開となりました。来たる第2節は、3月3日(火)、日立台でビンズオンを迎え撃ちます。山東戦では0-1から2点を獲って一時は逆転しました。自分たちの試合、そして相手を分析し、また最善の準備をしていきます。今度は日立台の心強い、圧倒的なアドバンテージがあります。ぜひ日立台へ参戦ください。現地韓国まで遠く足を運んでくださったみなさん、本当に心強く頼もしかった。気を付けてお帰りください。そして日本から念を送り続けてくださったみなさん、ご声援ありがとうございました。
※明日26日はOFF、27日は10時からトレーニングです。