ACL及ばず
担当:大重正人
ACL準々決勝の第2戦。第1戦を1-3で落とし、この第2戦は3得点以上2点差以上の勝利が必要でした。きわめて厳しい状況でした。それでも前半12分、セットプレーのチャンスでクリスティアーノ選手のヘッドが決まり、1-0。逆転を懸けるレイソルはこれ以上ないスタートを切りました。その後は広州が目を覚ましたように攻撃の圧力を加え、何とか跳ね返しながら、そのスコアをキープ。球際の争い、身体のぶつけ合い、恐れることなく、身体を張った肉弾戦でも今日のレイソルは互角以上の戦いを見せました。
前半30分、広州のファン選手のスーパーボレーが決まり、1-1となりますが、それでも「第1戦の最後に取った工藤のゴールが生きるような試合をしたい」という吉田監督の言葉通り、あの1点があったからこそ、レイソルは「あと2点」というノルマは変わらず、スコア上で踏みとどまったまま戦いを続けることができました。
後半8分、ペナルティエリア内へ攻め込み、小林選手の左足のシュート。大きな決定機でしたが、相手の10番キャプテンのチェン選手の身を投げ出したブロックに阻まれます。相手のカウンターを懸命に封じ、エデルソン選手、大津選手と攻撃のカードを投入。最後はエドゥアルド選手を前線に上げ、2トップにしてのパワープレーと、2点を奪おうとかなぐり捨てるような戦いを挑みましたが、そのまま1-1で終了。2戦合計2-4で、2013年同様にノックアウトステージで広州に敗退。アジア制覇、クラブワールドカップへの道もここで閉ざされることになりました。
「我々の、柏レイソルのACLが今日終わり、とても悔しいです。広州恒大という巨大な敵に1stレグも、2ndレグも我々はプレーしたと思っていますし、確信しています。ファーストレグの1-3というスコアが最後まで我々の道を晴れたものにしてくれませんでした。とにかく1stレグも2ndレグも我々が思い描いた通りのプレーをし、プレッシャーに負けず、スペースを探し、ボールを動かした。ただ焦りはありました。技術的なミスもありました。今日は何度も決定的なピンチを作られましたが、我々は何度もチャンスを作りました。
我々は負けをすでに受け止めていますし、選手たちは本当によく戦ったと思います。ここを勝って世界へという、我々が大事に思っている、今日も声援を送ってくれたサポーターからのその言葉を達成することはできませんでしたが、我々は堂々と胸を張って柏に帰れると思っています」
吉田監督が会見で触れたように、今日は約160名のレイソルサポーターが広州まで駆けつけてくださいました。今回も集団での入場、横断幕の持ち込み制限など、日本とは違い、不自由なアウェイでの観戦でしたが、45000人を超える赤い広州サポーターに囲まれながらも、レイソルの一団は鮮やかな黄色といつもの歌声で存在感を発し、選手たちに最初から最後まで勇気を与えてくれました。
「サポーターはホテルを出る時から盛り上げてくれて、この環境の中で最後まで応援してくれたのに次に進めないのは残念。この大会に出て感じたこと、足りないことを少しでも高めてまたこの舞台に戻ってきたい」(大谷選手)
「サポーターの方は最後まで信じてくれていて、すごく力になったけれど、それに応えることができなくて情けない。またこの舞台に戻って来られるようにJリーグ、天皇杯、また目の前の試合に勝つことだけを考えて頑張りたい」(菅野選手)
3度目のACL。ラウンド16、ベスト4、ベスト8。レイソルはJリーグからさらに広い世界、アジアの戦いを知り、全身全霊で戦い、AFCのクラブランクポイントでアジア5位となるなど、一定の成果は残してきました。ただこの上を目指すには、まだまだやらなければいけないことがたくさんあります。そして何より、再びアジアの舞台に立たなければ、再スタートすら切れません。残すはJリーグ、そして天皇杯。選手たちは敗戦を受け入れ、それでも切り替えて、次の戦いへ。まずは日曜日、日立台での山形戦から再出発です。