第一関門
担当:大重正人
天皇杯の公式記録には、アディショナルタイムを含めた試合時間が書かれています。
前半46分11秒
後半50分57秒
延長前半17分05秒
延長後半17分13秒
所要時間を合わせると、152分32秒にもおよぶ、本当に長い長い試合。
近藤選手が無念の退場を喫してからは、およそ70分間も10対11の数的不利を耐え忍ぶ試合となりました。腕のストップウォッチの時間がなかなか進まない。1分1秒でも早く、懸命に走り続ける選手たちを試合から解放してあげたいと思うような、息苦しさがありました。
前半開始早々は相手のプレッシャーに押し込まれましたが、「11人同士だったら、有利にゲームを運べたと思う」とレアンドロ選手がふりかえったように、徐々にボールをつなぐサッカーで、J2リーグと変わらないレイソルらしいサッカーを展開しました。近藤選手の左足から、レアンドロ選手への鮮やかな縦パスが通ると、すばらしいトラップからヴィッセルDF陣を切り裂くドリブル突進。「ホジェルがDFを引きつけてくれたから」と仲間の助けをいかし、見事な左足の先制ゴールを決めます。
前半のシュート数は8対3。しかし後半15分で10人になってからは、ヴィッセルの攻撃のほとんどがシュートで終わるようになり、シュート数は17対6。相手のサイドバックはどんどん侵入し、同点弾も左SB茂木選手のシュートのこぼれ球を、大久保選手に詰められてしまいました。大久保選手はこの日が復帰戦。大きな気勢をあげるヴィッセルサポ、スタジアムのムードは一変します。「でも、ここでズルズルいかなかった」と栗澤選手ら守備陣が試合を立て直しました。
そして延長戦、「70分プレイヤーだったので、相当しんどかった(笑)」と言いながら、北嶋選手の動きだしのスピードは衰えません。レアンドロ選手からの右サイドへのスルーパスに飛び出し、そのままペナルティエリアへ。切り返しから得意の左足シュート!これをGKがはじいたところ、レアンドロ選手が胸で押し込むシュートでついに勝ち越し。延長前半、大久保選手のボレーシュートを弾きだした菅野選手のビッグプレー、さらに勢いを増す相手のパワープレーを跳ね返し、ついに152分32秒の激闘に終わりを告げるホイッスルが鳴りました。
北嶋選手は「この先J1で戦っていく上で、今日は絶対に必要な勝利だった」と語気を強めました。ヴィッセルは現在リーグ16位ですが、10人になったとはいえ、今季レイソルがここまで守勢に立たされる試合はなかった。十分に脅威を与える力をもったチームで、J1の力を改めて見せつけられました。でも、もっといえばヴィッセルよりも上位のチームが、あと「15」もいるのです。今日勝てなければ、J1昇格しても、すぐにその地位は危うくなる。それぐらい、今日は大切な試合だったと思うのです。そして非常に大切な一勝を手にしました。でもレイソルのゴールはまだまだ先です。もっともっと強くならなければいけません。ただ今日最後まで走りぬいた選手たちからは、そんな気概を十二分に感じさせてくれました。また来週、アウェイ大分戦が待っています。
※なお明日12時から予定していた神戸戦先発選手のリカバートレは14時からに変更となりましたのでご注意ください。