甲府から
担当:大重正人
2005年の入れ替え戦をはじめ、なかなか勝てなかった鬼門の甲府で、胸のすくような勝利をおさめました。まさに攻守のかみ合った試合でした。
今日はネルシーニョ監督が「チームの特徴を変えて、スピードをつける攻撃を狙った」と中盤には長短の鋭いパスが出せる兵働選手、そして前線には相手DFの背後を狙える工藤選手を起用しました。「兵働やレアンドロが中盤のいいところに顔を出してくれて、単純に裏を狙うんじゃなく、くさびを入れてからサイドの裏をつけた」と栗澤選手が振り返るように、スピードあふれるアタックを繰り返します。
そこで田中選手のファインゴールが決まります。「最近シュートの感覚がすごくいいので思い切って狙った」という超ロングシュート。「ジュンヤはシュートビジョンがすごくいい。だから迷いがない。あの距離のシュートは誰でも狙えるものではない」と監督も称賛したスーパーゴールでした。
2ゴールを奪って折り返した後半。ビルドアップで追い込まれたところから思いがけない失点を喫したものの、直後にジョルジ選手のこれまた見事なフリーキックが突き刺さります。田中選手の先制点同様、試合の流れを大きく決めた一発でした。その攻め上がりの裏のスペースを後ろの選手たちがカバーすることもあれば、逆に相手の戦意をそぐような強烈な飛び道具でゴールを決めて味方を助けることもあります。これもお互いを助け合うチームプレーと言えるでしょう。ハーフナー選手のアタックをことごとくはね返した増嶋選手のハードな守備もすごかった。靴磨きのパフォーマンスもナイスサポートですね☆
そしてレイソルのゴールを守りぬいた桐畑選手。「緊張しましたよ!いきなりカブっちゃいましたけど、みんなが『フリー』とか声をかけてくれて。でもこういうとき(取材)、何か言葉でてこないっす。とにかくレイソル、マジサイコー!勝てて良かったっすよ!」キリらしい、いつものまくしたてるようなトークが出てきません(笑)。昨日の出発前、本当に緊張感に満ちた、男らしい表情が思い出されます。いきなり巡ってきたチャンス、プレッシャーに打ち勝ち、仲間に支えられ、そして彼も仲間を支えました。J1デビュー戦、みごとな勝利おめでとう、キリ!!サポーターにもらった黄色い麦わら帽子をかぶって、嬉しそうにバスへ乗り込みました。
そして酒井選手。クウェート2連戦でいまや日本のサッカーファンの知るところとなりました。成田空港到着が予定より1時間ほど遅くなってしまいましたが、迎えにいった河原広報と成田空港を車で出発し、5時過ぎには甲府に駆けつけました。40度のなかの試合、10何時間にも及ぶ移動にもかかわらず、その充実感もあってか、元気そうな笑顔を久々に見せてくれました。監督に「試合に出たいです!」と強く直訴したように、フル出場も想定して、機内でもストレッチも繰り返し、食事もスタミナがもつように考えて摂取したそうです。後半頭から起用され、吉田強化部長が「酒井、今日はプレーに余裕があるな」と疲れも見せず、攻守に安定感あふれるプレーを見せてくれました。
これで6月怒涛の5連戦は、3勝2敗と勝ち越して終えることができました。ホーム日立台で勝てなかったことは残念ですが、逆にアウェイで3連勝。これもチームの強さと成熟を感じさせる結果です。そして、7月。Jリーグが「HOT6」と銘打つ夏の戦いは、レイソルにとって上位チームとの対戦、そしてタイトな日程となる連戦が続きます。選手たちはホテルで食事をとって、深夜に帰柏。ゆっくりオフを過ごして、週末のセレッソ戦へ向けて、じっくりと調整できる1週間となります。練習時間が当初より1時間繰り下げて、16時開始となりますのでご注意ください。どうぞよろしくお願いいたします。