強くなる
担当:大重正人
「選手全員が強い気持ちとファイティングスピリットを存分に出し切って戦ってくれた」
記者会見でネルシーニョ監督がこれ以上ない賛辞を選手たちに贈りました。だれも異論はないでしょう、選手たちの頑張り、ベンチのサポート、サポーターの後押し、すばらしい一体感がカシマスタジアムを覆い尽くしていました。
今週、取材の方から選手たちに寄せられたのは「カシマスタジアムで、レイソルはリーグ戦で勝ったことがない」。しかし工藤選手はそんな質問に対しても「じゃあ、明日勝てば、自分の名前が歴史に残りますね!!」とはっきりと言い切りました。いい意味で歴史を意識せず、新しい歴史を作り出そうというポジティブかつ強気なクドーらしい言葉でした。「工藤は昔から大きな試合で決めてくれてましたから」とずっと同じチームで成長してきた酒井選手の言葉どおり、大仕事をやってのけました。ゴールはもちろん、1人少なくなったあと、相手のダブルボランチを1人でマークするべく、そしてハイボールに競り続けた働きにも大きな大きな拍手を送りたいと思います。
パク選手が思わぬ2枚目の警告を受けて、急きょ出場することになった安英学選手。「ずっと試合に出たかった」。JリーグやKリーグ、そして北朝鮮代表としてワールドカップに出場したほどの経験を持つ安選手も、ここまでレイソルでの出場機会は限られていました。ようやく掴んだチャンスでしたが、1人少なく数々のピンチが待ち構えている状況での出場でした。
菅野選手は「全員で守った勝利だけど、ヨンハさんは試合に出られなくても努力を怠らず、腐ったりすることもまったくない。ヨンハさんの存在と活躍で精神的に支えてもらった」。大谷選手も「ヨンハさんが本当にすばらしかった」とメンバーチェンジの際にはためらうことなく、キャプテンマークを託しました。そのヨンハ選手は「どんなピンチでもみんながカバーし合い、同じ方向を向いて戦い続けている。今日出場して、ピッチのなかで改めてそれを感じることができました。いまのレイソルはどんな山場でも乗り越える力がある」。来週には北朝鮮代表としてワールドカップ予選を戦います。どんなチームでも彼はその力を必要とされ、どんな状況でも100%以上の力を出し切ってチームのために闘う選手です。これからも優勝争いのなかでレイソルの大きな力になってくれることでしょう。
出場停止の近藤選手に代わって出場した増嶋選手も、試合途中でコンビが変わるという難しい「1点リードしていたし、余裕をもってやれた」。冷静な気持ちはもちろん、そして絶対に負けない!というほとばしる気迫が、スタンド最上部の記者席にまで伝わってきました。90分の激闘を終えたマス、ベンチに駆け寄ると、試合途中でピッチを離れざるをえなかったパク選手のもとに歩み寄り、がっちりと握手をかわしました。そんな男気、心遣いを持ち合わせている熱い選手です。
カシマスタジアムへ参戦いただいたサポーターの皆さんも勝者です。特にひとり少なくたった後半は、45分間ほとんどが逆サイドの陣地から攻め上がることができなかった。それでも遠くの選手たちまで届くように声と手拍子を送り続け、真正面から輝くイエローのユニフォームで奮い立たせ続けました。最後アディショナルタイムの手拍子が今でも聞こえてくるようです。今日は12人目ではなく、まちがいなく11人目の選手でした。あと6試合、これからも変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。