旅立ちの前に
担当:大重正人
今日の大阪地方も、梅雨の合間のさわやかな快晴!気温がぐんぐん上がり、30度を超える陽気。ここちよい風が吹くなか、選手たちはリラックスゲームなどでガンバ戦へ向けて最終調整を終えました。レアンドロ、ジョルジ、ジュンヤ。このトライアングルが絶好調で、一方的な展開になりながらも、対する青チームも後半は巻き返します。そんななか、攻守に駆け回ったのが酒井宏樹選手。明日6月30日がレイソルでの移籍前最後のプレー、すなわち今日が仲間との最後のトレーニングになりました。
ユース時代を思い出すかのように左サイドバックでプレー。こういう日では、最後に点を獲りたいとか、獲らせようとか、そういう雰囲気になりそうなものですが、まったくいつもと変わらない控えめさ。「酒井蹴れよ!!」というFKのチャンスも、結局味方がキックしてゴールならず、地面にはいつくばるように悔しがったり、うまくいかないプレーには頭をかいたり、もちろん普段通りの笑顔も。みんながいつものような自然体でした。
万博でのガンバ戦と言えば、2010年の天皇杯を思い出します。J2でベンチ入りし、デビューを果たした酒井選手。天皇杯3回戦のヴィッセル戦は初めてのJ1チームとの対戦、近藤選手が退場したあとにセンターバックでプレー。続く4回戦、ついにJ1勢相手に右サイドバックとして先発した初めての試合でした。ですが北嶋選手や大谷選手が「サカイがやべぇぞ。11人じゃなくて10人でやってるみたいだった」と心配し、のちに笑い話にするほど。今では見たこともないような信じられないトラップミスなど、緊張感がありありの前半でした。
しかし「緊張もありましたけど、あのときはウチの中盤が中央に寄ったボックス型だったんで」とサカイ。サイドで相手の2枚をひとりで対応する難しい状況で苦戦したことをしっかり状況を覚えていました。茨田選手のスーパーゴールで先制し、最高の試合展開でしたが、残り10分で追いつかれ、延長では3失点。J2にいながら、J1勢とも互角に戦えるという手応えをつかみはしたものの、ガンバに決定的な差を見せつけられたのも事実でした。
去年も2戦2敗。ガンバはここまで順位こそ上がってはいませんが、近戦の復調、そしてその地力は選手たちが身にしみて感じているでしょう。でもJ1優勝を果たし、相手をリスペクトしながらも、絶対に勝つんだという自信を持って戦えるはずです。酒井選手にとっても、あの21か月前の万博から、ここまで成長してきたという姿を見せるには絶好の機会です。
なんていう美談にしたかったのですが、サカイ自身は「そういうのは(過去を振り返ったり、感傷的になるのは)あまり好きじゃないんで...。いつも通りプレーして、とにかく勝ちたいです」。こちらが苦笑するしかないほどの自然体。酒井選手もチームも、ラストだからとか、ガンバ戦だから、と変に気負わず、目の前のこの試合に勝つために、全力を注ぎます。明日の夜7時、しっかりと見守りたいと思います。レイソルの勝利を信じて、ご声援をどうぞよろしくお願いいたします。