松本山雅戦
担当:大重正人
松本山雅戦、3-1で勝利し、リーグ戦での連敗を2でストップし、勝ち点7となりました。今日の松本アルウィンは18514人の観衆を集め、スタジアム最高記録となったそうです。山雅のクラブの力やサポーターの動員力はもちろんですが、そこにレイソルのサポーター、大挙約1500人が応援にかけつけたからこその記録です。
両者が作り出したアルウィンのすばらしい雰囲気に、大谷選手は「選手としてこういうスタジアムでプレーできることは、本当に幸せだと思う」とツイッターで振り返り、また吉田監督も試合後会見の冒頭で「この会場に着いて、すぐに我々の左手にたくさんの黄色が見えて、そこから来る声援と後押し。試合前からとても良い、とても気持ちの良いパワーをサポーターから貰い、気持ちもかなり引き締まった戦いになったと思います」とサポーターの応援についての感謝の言葉がありました。
立ち上がりは、山雅のロングボールからビッグチャンスを許し、相手のシュートがポストを叩くなど、肝を冷やす場面もありました。ただ、そこからしっかり自分たちのリズムを取り戻し、左サイドから中央で起点を作り、右サイドのキムチャンス選手からのクロスに飛び込んだのは大谷選手。ヘディングシュートが決まり、ACLに続き、今季2ゴール目を奪います。
ここ3試合、新潟、マリノス、山東とリードしながら逆転を許してきただけに、ここからの戦いがキーポイントでした。鈴木選手は「得点した後に追いつかれるケースが多かったので、得点後にプレスはかけるけどあまり行き過ぎないようにというところと、引き過ぎないというところは意識した」と、細心の注意を払いながら前半を1-0で折り返し。
そして後半から投入された太田選手が、チームに勢いと安心をもたらしてくれました。後半18分の2点目は、左サイドでクリスティアーノ選手が起点となり、大谷選手が浮き球をペナルティエリアへ。右サイドから斜めに入り込んできた工藤選手が胸で落とし、太田選手がゴール左隅へ流し込みました。「あれでだいぶチームに勢いがついたと思います」。そして3点目は、太田選手の鮮やかなダイレクトシュート。入ればまさにスーパーゴールでしたが惜しくも右ポスト。「完全に徹郎のシュートに見惚れていて、良いシュートだなと見ていたら、良い感じに目の前に落ちてきたので、身体が反応した」。そこをさすがストライカー、工藤選手がきっちり右足で合わせて、大きな3点目を奪いました。
吉田監督の会見コメントです。
「我々が3点を取って、最後に1点を返されましたけど、得点はどれも我々の『今日はこういうふうに点が取れたらいいよね』というようなゴールであり、それが実を結ぶというか、選手たちの高い集中力と、前回ACLで激しい試合をした数日後の試合ということを考えても、選手たちの成長といいますか、集中度の高さ、ゲームを決めに行くときの気持ちの強さというものを感じながら見ていました。
ただ、松本さんの堅い守備、多彩なセットプレー、あとは堅いだけじゃなくかなり激しく身体に来るディフェンスというのは今日、我々かなり苦しみました。これから当たるたくさんのチームは苦しむことになるだろうなと、そこがスコアになるのかならないのかというすれすれのところですけど、プレーオンになって流れていくことを考えると、とてもたくさんのチームが苦しんでいくだろうなと感じています。最後に失点しましたから、もちろんすべてOKではありませんし、その失点の原因も、先ほどどうしてああなったかということを簡単に選手とミーティングをしてきました。ただ、久しぶりの勝利で、選手たちを称えたいですし、彼らにおめでとうと言いたいです」
またここ数試合、逆転を許してしまいましたが、それを受けての今日のゲーム運びについて、
「これからすべてがうまくいくとはもちろん思っていないですし、ただ選手たちが先手を取って逆転されていく過程というものを、1回目(新潟戦)は戦術的に、2回目(マリノス戦)は気持ちの高揚というところで、見えるべきものが見えなくなってしまったという試合を繰り返してきた中で、この前のACLの中国の戦いで、ミスも不運もありましたけど、ピッチの中で、彼ら自身が解決して勝ち点を取ってきたことが、1つの彼らに取っての指標というか、自信になったんじゃないかなと思っています。特に試合運びが急激にうまくなるわけがないですし、ただ試合を運んでいくという意識が彼らの中に生まれていくのは確かだと思います」と、しっかり勝ちきれたことへの選手たちの変化、適応についての評価がありました。
とはいえ91分、元レイソルの阿部吉朗選手に3-0から1点を返されました。ピッチサイドで試合を見ていましたが、その隣にいた渡辺毅ダイレクターは「昨日のヴェルディのことがったからね」。試合後の会見でも松本の反町監督からも「昨日の東京Vじゃないですけど一つ点を取ることで流れが大きく変わるのもサッカーの恐いところ」と言及がありました。
昨日の岐阜vs東京V、岐阜が難波選手のハットトリックで3-0とリードしますが、84分のヴェルディ平本選手のゴールで信じられない展開に。88分、93分、96分とヴェルディがたった10分強で未曾有の逆転を成し遂げました。私は、昨日味スタ西競技場でU-18プレミアリーグが終わり、松本へ向かおうとしていた時、「これからヴェルディの試合があるんだ」とは思ったものの、あのあとにそんな出来事が起こるなんて想像もつきませんでした。日本サッカーで多くの経験を積んできた2人にとっても、強烈に印象が残ったのでしょう。何が起こるかわからないのがサッカー。いつ何時も決して緩めてはなりません。
堅く激しい守備で定評のある松本山雅を崩しての3ゴールでの勝利。もちろん自信になるでしょうし、無失点で終わりたかったこともあるでしょう。今日の経験を、次は16日木曜の鹿島アントラーズ戦へ。まだまだ連戦が続いていきます。