水原戦前夜
担当:大重正人
ACLラウンド16、第1戦を明日に控え、水原ワールドカップスタジアムで会見、公式練習が行われました。このスタジアムはその名の通り、2002年の日韓大会の会場のひとつでした。ピッチへと続く中央通路には、日本が最もサッカーに熱狂したひとつの時代を思い起こす、パネル画像が並んでいます。エドゥアルド選手は優勝したブラジルイレブンの写真に見入っていました。現セレッソでウルグアイ代表だったフォルラン選手の名前もありました。
その11年後の2013年。レイソルはこの水原で6-2という勝利を収めました。レイソルのサポーターにとっては今なお語り継がれるような一戦であり、また水原にとってもそれは大きく深い記憶となって残っているのは間違いないでしょう。前日会見ではその話題、質問になりました。
MFぺク ジフン選手。
「明日ホームでの初戦は必ず勝利を収めたいという意気込みで準備をしています。以前、ACLでホームで大敗した経験がありますけど、その痛い記憶があるからしっかり準備をしてきたと思います。明日は前のACLのリベンジを果たしたい韓国の選手は日本の選手よりも強いメンタルや、いろいろな面で強さを持っていると思います」
ソ ジョンウォン監督です。
「2年前の大敗を挽回するために準備をしています。選手のメンタルが重要ですが、選手がやろうとする意志でいると思いますし、明日は良い試合はできると思います。2年前のPKのチャンスを逃してしまった選手もいますし、チョン テセ選手を含めて、多くの選手がコンディションを整え、明日の試合に備えたいと思います。柏は韓国のチームに強いですが、我々は浦和に2勝した経験があります。とても充実して、明日の試合を迎えられると思います。柏との対戦は選手にとって精神的な意味でモチベーションを与えていると思います」
グループリーグでは浦和と同組となり、ホームで2-1、アウェイでも2-1で勝利。それをふまえ、吉田監督の冒頭のコメントからです。
「水原は、非常に力のある攻撃的なチームと分析しています。(ACLグループリーグの)浦和戦ではシステムを使い分け、特に浦和のホームだった試合では、うまくレッズの良さを消し、5バックで、守り切るというよりはうまく凌ぎ、効率良く得点を重ねていました。
Kリーグの試合でも5バックではないですが、攻撃的にボランチを使いながら、サイドハーフの26番(ヨム・ギフン)、右サイドの13番のアタッカーの選手(ソ・ジョンジン)、チョン テセ選手、そこに7番の選手(イ・サンホ)が絡んでくる。左サイドバックの33番の選手(ホン・チョル)も攻撃力の高い選手だと思います。3番のセンターバックの選手(ヤン・サンミン)からの斜めのロングボールも特徴的で、我々は大きく警戒しています。ただ、そこに対する対応はしっかりして、この試合に臨みたいです。
いずれにしても良いチームと対戦するというのは、このACLの決勝トーナメントでの当然のことであり、我々が水原相手にどう良さを出していくのか、何をして、どう勝ち点を取りに行くのかは整理できているし、それを思いきってやろうという覚悟を持っています」
韓国メディアからの質問で「ヨム ギフン選手の左足に対する対策は?」という質問がありました。26番のサイドハーフ、とにかく左足のキックの精度が非常に高く、ゴール前のセットプレーでは脅威となる32歳のキャプテンです。動画サイトにはたくさん直接FKのシーンがアップされていて、たとえばジョルジワグネル選手や中村俊輔選手のような、と言えばイメージしやすいでしょうか。2年前の対戦では兵役のため別チームに所属していました。
吉田監督は「26番のヨム選手の左足は警戒していますし、それがあると頭にあると入れて戦わなければならないと思っています」。
対峙することになるGK菅野選手は「26番の選手ですが、ここまで来るチームというのは試合を決められる選手はオフェンス陣に関しては全員が持っていると思うし、もちろんセットプレーに関してもその選手のキックの質は僕たちの守備のポイントの1つになる。ただ、1人の選手を注意するのではなくて、やっぱりセットプレーでは全員に注意しなければいけないし、ほかにも試合を決められる選手が揃っているということで、特別彼だけというイメージではなく、常に集中してやっていこうと思います」と冷静に相手と自分たちの状況を見つめ、コメントしました。
また韓国メディアからの質問で、ソジョンウォン監督からレイソルの選手に対するコメントもありました。
「工藤選手は右から裏を取る選手というイメージがありますし、柏では一番点を取っている選手というふうに見ています。あと武富選手は2列目から上がってきますし、ストライカーの30番の選手(クリスティアーノ)は良い選手だと認識していて、我々はそういった選手たちの動きに注意をしなければいけない」
2年前の因縁もありますが、グループリーグ6試合を戦ってきていますから、両チームとも相手に対する分析も進めながら、準備してきた。そういった印象を感じ取れる会見でした。ここからは、ホーム&アウェイで行われる、まさに「ノックアウトステージ」です。「僕達が目標としているのは、このACLという大会で優勝すること。やっとスタートラインに立てたという思いです。ここからは負けたら終わりというトーナメントで、このチャンスを掴むか逃すかは、どれだけチャンピオンになりたいかという気持ちにかかっていますし、全員がその準備と覚悟を持って、この水原に来ています。必ず最高の結果を日本に持ち帰って、柏での第2戦に臨みたいです」。菅野選手の力強い意志、覚悟をチーム全体で共有し、明日19時30分の試合に挑みます。
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