天皇杯延長制す
担当:大重正人
昨日の広報日記での工藤選手の言葉。
「先に1点取れたとしても、簡単に勝てる相手ではないし、90分、120分、最後はPKになってでも自分たちは勝たないといけない」。
まるで予言していたかのように、ほとんどその通りになりました。しかし最後の最後でその言葉通りになりませんでしたが、イコール、レイソルにとって最高の結果になりました。
前半からレイソルがボールを保持する時間が多く、それを甲府が跳ね返すような展開に。ただ相手が得意とするカウンターやロングボールへの反撃の回数も少なく抑え、0-0のまま後半へ。その立ち上がり、レイソルが中央から相手を切り崩します。クリスティアーノ選手を起点にして、2列目から大谷選手が相手DFラインの背後へ飛び出すと、クリスから抜群の浮き球が通ります。中央には工藤選手が待ち構えており、GKと2対1の状況に。タニからクドーへ「決めてくれ」というやわらかなラストパス。これをクドーが蹴りこんで、先制します。
しかし甲府の反撃に遭います。6月、8月とゴールを許した阿部選手。最前線から少し降りた位置でボールを受けると、スルスルとドリブル突破。最初のピンチはGK菅野選手の好守で阻んだものの、2度目のピンチは見逃してくれませんでした。ゴール自体それはすばらしいものでしたが、レイソルにとっては非常に警戒していた選手、今季3度目の対戦で3ゴール目、悔やまれる失点になってしまいました。
さらに相手のカウンターをブロックした鈴木大輔選手が2枚のイエローカードをもらい、退場に。形勢はさらに厳しいものとなりました。ただ、そこからの粘り、集中力、10人となった選手たちの執念が、数的不利ながらも拮抗した試合に盛り返すに至りました。ベンチサイドも戦っていました。鈴木選手の退場で、同じDFの中谷選手のウォームアップは一層力が入ったものの、相手FWの交代など戦術的な理由で、3枚目のカードには選ばれませんでした。自分がピッチに立って戦いたいという思いもあったでしょうが、同じ右CBに入った茨田選手に向けて「バラ、もっと後ろ!」「下がって!」と懸命にポジショニングのアドバイスを送る姿がありました。
延長前半、後半と時間が進み、押し込まれる時間帯はあっても、無理に攻め急ぐことなく自分たちのサッカーを続けたレイソル。そして最後の最後、時計は120分のことでした。ロングボールを工藤選手が競ってのセカンドをクリスがキープ。ドリブルからの仕掛けに、右サイドから途中交代の今井選手が走りこんでサポート。「相手がだいぶ疲れていたので、チャンスがあればどんどん上がって得点の所まで絡むことを言われていた。今まで移籍してきてからチームに何も貢献できていなかったので、今日貢献することができて良かった」。
そのリターンパスを受けたクリスが右足一閃!ゴール左隅に決まって、これが決勝点になりました。「延長戦になって疲れていたけれど、勝ちたいという気持ちが強かったので最後まで頑張れた。レイソルのサポーターの前で次に進むためのゴールを決められたというのはすごく幸せなことだった」
今日の観衆はリーグ戦に比べると多くはありませんでしたが、それでもレイソルを後押ししてくれる熱や声量はいつもと変わりありませんでした。後半、苦しい状況のなか、工藤選手が相手GKへのバックパスを猛然と追いかけてのスライディング。OUTボールを誘ったプレーに大きな拍手が起こり、応援のボルテージがそこでまた一段上がった、あの一体感。
「日立台で試合ができたからこそ最後のゴールがうまれたと思う。」
大谷選手の言葉にすべてが表れています。暑く、眩しく、美しく、スタジアムがひとつに燃え上がった120分の死闘と劇的な勝利でした。
次なる準々決勝は、12月26日(土)、ベガルタ仙台との対戦に決まりました。会場、キックオフ時刻、チケット販売などについては、JFAからの決定連絡があり次第、追ってお知らせします。4度目の「柏から世界へ」まで、あと3つです。