鹿島戦
担当:大重正人
キックオフから本当に息の抜けない、ビリビリするような緊張感のゲームでした。レイソルがボールを握って、じりじりと敵陣へボールを運び、リズムをつかんだ前半。秋野選手がレイソルのCBコンビと連携しながら攻撃の入口を作り出しました。ただ一方で鹿島の2トップはレイソルのビルドアップにプレッシャーをかけたり、一方で2度追いは控えて、全体のラインをコンパクトに保つようなポジションをとる場面もありました。逆にボール奪った瞬間には、一気にレイソルの高いラインの背後へ飛び出すために、息と体力を蓄えながら駆け引きしているようにも見えました。「常にカウンターの脅威があった」。下平監督がそう振り返った前半でした。
レイソルが逆襲を食らう場面もありましたが、今日のレイソルの4バックは果敢に戦い続けました。U-19日本代表から戻ってきたばかりの中山雄太選手、「優磨には得点させたくないという気持ちがあって、意識していた」という鈴木選手との1対1の場面がありました。お互いに激しいショルダーチャージで態勢を崩しながら、先に立て直した中山選手がボールを突っついてマイボールに。互いのクリーンなファイトには大きな拍手が起こりました。
今日は小林祐介選手が先発に起用されました。リーグ戦では6月の名古屋戦以来、13試合ぶりの先発。いつものボランチではなく、「守備のときは、ディエゴと並んで2トップのポジション(下平監督)」でした。「自分は中川やタケくんみたいなプレーはできないけど、自分ができることを精いっぱいやろうと思っていました」。前線からのプレッシングはもちろん、タイミングよく中盤に降りてボールの経由地点となるプレーなど、祐介ならではの特徴あるプレーで、チームのリズムを作り出しました。後半には左手を痛めるアクシデントもありましたが、勇敢に戦う祐介らしいプレー、今日は90分しっかり発揮してくれました。
0-0の後半、膠着状態を切り崩すべく、伊東純也選手がピッチに送り込まれると、試合が動きます。投入からわずか3分後の後半13分でした。右サイドバック茨田選手のパスを受けた伊東選手が反転して一気に加速。中央へシンプルにクロスを送ります。「ディエゴがヘディングに強いのはわかっているので、滞空時間の長いボールを、合わせるというよりもスペースに蹴るというイメージでした」。
中央はディエゴオリヴェイラ選手1枚に対し、相手DFは2枚。しかしファーサイドへ逃げる動きで見事に頭で合わせ、ゴールネットを揺らします。「伊東のスピードが凄いというのは皆さんも知っていると思いますが、伊東にボールが入った瞬間に間違いなくスピードで相手を抜ききると思った。まずエリアの中でポジションをしっかり取ることを考えた。伊東のスピードと対人の強さ、すばらしいボール、半分以上が彼のおかげで獲れたゴールでした」。互いが特徴を把握し、その能力を認め、しっかりした信頼関係があるからこそ、今日も見事な連携からゴールが生まれました。
さらに畳み掛けます。後半20分、左サイドから突進したクリスがユニフォームを引っ張られてPKを獲得。絶大な信頼感で私たちやレイソルサポーターが見守ったシュートはまさかのブロックに。正直、優位だったこれまでの展開が逆転するのでは心配がよぎりましたが、今日のレイソルにはまさに杞憂でした。「PKを失敗はしたけど、消極的になったりはしないよ。僕は子供じゃないからね(苦笑)。すぐに切り替えたし、いい形でプレーが続けられていたよ」。
後半36分、小林選手のスルーパスに右サイドから抜け出したクリス。中央には味方が2人3人と上がっていましたが、ここは何としてもPKの分を取り返したいという気迫がみなぎる単独突破からの強烈なシュート!試合を決定づけた2点目でした。最終ラインはもちろん、チーム全体の高い守備意識は最後の最後まで途切れることなく、2-0でタイムアップ。奇しくも4月のアウェイゲームと同じスコアで、2連勝の「ダブル」を達成しました。
すばらしい勝利、3連勝でまた勝ち点を積み上げたレイソル。ただステージ優勝へのライバルたちも、やはり強く、2位浦和に敗れた鳥栖を追い抜き、順位はひとつだけ上がって5位へ。それでも同勝ち点で並ぶ浦和と川崎との差を3差で保ち、まだまだ優勝争いに食らいついています。来週17日は、アウェイ神戸での4位ヴィッセル戦です。あのネルシーニョ監督との対戦。またしても勝ち点6の価値があるビッグマッチとなります。
「選手たちは最後まで走ってくれたし、満員に近いお客さんが入った。そして日立デーという大きな注目を浴びているゲームで、しっかり点を取って勝利し上位を追走できているということに満足しているし、選手たちに感謝したいと思う」。下平監督の言葉通り、選手やスタッフ、サポーター、そしてスポンサーとして支えていただいている皆様方の力を結集し、今日の大きな勝利をつかむことができました。2ndステージは残り6試合。地に足をつけ、ひとつひとつ勝利を積み重ねていきましょう。今日もすばらしい雰囲気を作ってくださったサポーターのみなさん、ありがとうございました!